名古屋戦~同じパターンの負け

2023年5月20日 名古屋グランパス vs サンフレッチェ広島 豊田スタジアム


 ドウグラス・ヴィエイラ、エゼキエウのスタメン。両者にとってはやっと訪れたチャンス。途中出場で結果を出していたもののいつまでもサブという立ち位置にはもどかしさを感じていただろう。

 そんな2人の鬱憤を晴らすかのように試合を支配することができた。エゼキエウがドリブルで相手の網を抜けフィニッシャーとしてヴィエイラに出す。そんな流れの中から川村が抜けシュート。これをGKランゲラックが足を出しセーブ。入らない。あれだけいいタイミングでペナルティエリアに入りながらも入らない。この試合はまたシュートを打っても入らないのだろうか。

 そんな懸念を具現化するかのように攻勢を続けつつもシュートが入らない展開が続く。ヴィエイラのシュート、エゼキエウがブロックをかわしてのミドル、CKでの荒木のヘディング。どれも決定機でありながらも枠に入らない、もしくはGKに止められてしまう。もはやこのままシュート数だけ異様に重ねて惜しかったで終わる試合となってしまうのだろうか。そう思った時、相手陣内でFKのチャンスを得るのだった。

 右寄りで多少距離があルコとから野津田が的役だと思われた。だがボールには3人が並ぶ。誰が蹴るか的を絞らせないまま蹴ったのは川村。グラウンダーのボール。名古屋の壁に当たり方向ずれるともう一人当たりさらにズレる。ピンポン玉のように蛇行したボール、ゴールに吸い込まれた。入った。川村が決めた。誰もが予想しなかった軌道を描くことによってゴールを決めることができたのだった。

 先制。川村今期2点目。チームでも一番シュートを打ってる川村がやっと決めることができた。打っても打っても入らなかっただけに本人も励みになっただろう。幸先がいい。このまま畳み掛けてやりたい。

 ところがここでサンフレッチェはペースダウンしてしまう。相手ゴール前まで持ち出すもパスを連発しカットされてしまうとそのままカウンター。そこは一旦は食い止めたもののクリアしてもクリアしても相手の元へ落ちる。2次攻撃、3次攻撃が止まらない。そこでたまらずゴールラインを割るクリアで逃げるのだった。

 ここは防ぎたい。ところがこのCK、ニアで永井にフリックされるとファーサイドにいたユンカー。見事に合わされ同点にされてしまうのだった。

 見事だった。あまりにも呆気なかった。サンフレッチェがあれだけシュートを打ちまくってやっと奪った1点を最も容易く取り返してしまった。ハーフタイムまであと2分。どうしてこの2分を耐えられなかったのか。そんな悔やみが残ってしまうまま前半を終えたのだった。

 後半、メンバー交代はなし。そして仕切り直しのはずがここで名古屋の勢いが止まらなかった。どうにか押し戻そうとするサンフレッチェ。だがここで力負けするかのように押し戻され右サイドを破られる。個での突破を図られた越道。食らいついていくも最後の最後で追うのを諦めてしまうとゴールラインぎりぎりで折り返しのクロス。そこに入ったユンカー。佐々木をなぎ倒しながらも2点目を叩き込んだのだった。ファールを主張する佐々木。だがそれは明らかにユンカーの押し切られただけだった。

 後半早い時間での失点により追う展開に。これは前節と同じ状況だった。2試合続けて同じ失敗をやってしまった。そしてそれは越道の気の抜けたプレーのせいでもあった。どうも越道は良くない。存在感が希薄。そして守備では相手に決定的な2点目を献上してしまった。どうしてこうなったんだろう。スタメンで選ばれ続けることによって慢心してしまったのだろうか。だがここで思い出したのが満田の存在だった。前線から続けるハードプレスは相手のプレーを制限させた。それにより越道も守備への役割を明確にできた。そして攻撃時でもスペースが見つけやすかった。つまりは越道が活躍できたのは満田がいたからこそだったのだ。そしてこの後守備を固めた名古屋を崩せないのは満田の不在を痛感させられることとなった。

 守備ブロックの周りを周回するだけでフィニッシュまで辿り着けない。それは中央突破ができないことが大きく影響した。満田の強引さ。推進力。固めた中を打ち砕くことのできる個での強さ。それがない為にパスで繋ぐ。クロスでゴールを託す。だがそのことごとくは跳ね返される。怖さがない。攻めていても点の入る気配が一向に湧いてこない。そこでメンバー交代により攻撃的な布陣にしてスクランブル体制に入るのだった。

 そこで左サイド志知からクロスが入る。中央を越えファーに流れるとそこにいたのは途中出場のナス。ゴール前にはGKランゲラックのみ。が、ここでこのボールをトンネル。トラップでもない、シュートミスでもない、トンネルというこの場面において最悪のパフォーマンスをしてチャンスを潰してしまったのだった。ナスではジョーカーにならない。それを痛感させられた場面であった。

 そこからは密集に放り込まれたボールをヴィエイラがヘディングが枠外になった場面があったもののもはやそこまでという感じだった。名古屋は特に脅威に感じることもなく無難に点差を守り切りキッチリと勝ち点3を奪ったという感じで終わってしまった。

 勿体無かった。先制しつつ逆転負け。それは奇しくもルヴァンカップと同様の負け方だった。あの時も終始圧倒しながらも少ない決定機を決められて逆転された。そしてゴール前を固めた相手を崩せないのも同じだった。

 2連敗。これでチームもリセットせざるを得ない。スタメン出場でゴールのなかったヴィエイラはやはりスーパーサブに戻す。満田不在の中では生きることのできなかった越道を外す。全く試合に絡めてない選手の起用。それらを考える時期に差し掛かってるかもしれない。

 果たしてこれからの連戦でそれらの解答を見つけ出すことができるか。唯一の光は川村のゴールが決まったこと。そこを足掛かりに浮上していくことを願うのだった。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?