京都戦~茶島の2ゴール、川村のダメおし

2023年6月4日 サンフレッチェ広島 vs 京都サンガFC エディオンスタジアム広島


 チームカラーを紫とする同士の対戦。その為、ホームもアウェイも同系色を纏ったサポーターがいるのがどことなく紛らわしくもある。ただ当然のとこながらピッチの京都の選手は白のアウェイユニフォームを着ていた。

 その京都、スタメンを5人替えてきた。それに対してサンフレッチェは少ない変更だったものの、トップにヴィエイラが入っていた。スタメンで出場した3試合はいずれも負け、前節の試合の空気っぷりにもうスタメンで出ることはないと思ってただけに意外な選出であった。

 ところがそのヴィエイラ、この日は最前線でボールがよく収まった。それにより溜めができ左右両サイドが押し上げを図れる。左の柏がライン側でボールを受ければそれを追い越す動きを佐々木がやってくる。そこへボランチの野津田を絡めてヴィエイラ目掛けて放り込みをやるとヘディングで当ててくる。ただこれがファーへ逸れた形になるも森島が追いつきクロス。そこに反応しようとゴール前へ雪崩れ込んだもののラインアウト。なんだよと舌打ちをしそうになったもののその一連の動きは悪くない。いい形はできている。あとは決めるだけ。決めるだけであるのだった。

 ところが京都もマイボールにになるとサイドを起点に攻めてくる。個での打開からチャンスを作り出していく京都。ゴリゴリとドリブルで仕掛けてくる京都の選手には怖さがある。逆にサンフレッチェの両ウィングには個での打開という要素では大きく遅れを取ってる印象があった。左の柏はカットインと他の選手との連携には秀でてるものの縦への突破がない。右サイド茶島はサイドから中に入るプレーにより他の選手を生かすことでものの自分でDFを抜いていくことがないのだった。

 そのせいだろうか、京都の方がアグレッシブなサッカーをやったという印象のまま前半を終えた。その修正として後半から柏、松本を下げ東、エゼキエウを投入する。これによりシャドーにいることで一番シュートを打ってた川村はボランチに下がることになった。

 するとここからトップのヴィエイラがよりボールに関われるようになる。中盤で川村が狩りエゼキエウが至るとこに顔を出しヴィエイラへ出す。それをヴィエイラがポストプレーで森島が攻撃へ関わりやすくなり意表を突くクロスを放つ。これはラインを割ってしまったがその後も遠目からのシュートを狙う。これもGKにキャッチされてしまったものの明らかに森島は前を向けるようになっていた。

 そんな中での京都の攻撃。右サイドを突いてくる。だがこれを荒木が絡めとるとGK大迫へバックパスで繋げる。そこから京都のプレッシャーを感じながらのロングキック。左サイドでDFと競り合う森島。上手く身体を押さえつけ抜け出した。抜け出し、抜け出し、抜け出すとペナルティエリアに入る。京都の守備も戻ったもののここでフェイントから縦に抜けグラウンダークロス。エゼキエウが放つ。GK太田に当たりボールはポストに跳ね返される。リフレクションのボールが転がりそこへ詰めたのが茶島。放った。次の瞬間ボールはゴールネットに突き刺さったのだった。

 入った、入った、入った。よくぞあそこに詰めてくれた。人数の揃ったゴール前だったのでよく決めた。攻撃に関して鋭さがないと感じてた茶島が均衡を破った。今シーズンは出番がなく、やっとここにきて試合に出れるようになった茶島が結果を出した。これは先制点が入ったという以上にポジション争いの活性化という意味でも大きな1点なのだった。

 そんな歓喜の中、京都も黙ってなかった。ゴールキックから右サイド深く、豊川にボールが出るとワントラップで茶島を抜く。そしてボックスに入り込むと今度は荒木とのマッチアップ。フェイントを掛け縦へ抜けると打った。ニアを狙ったシュートはGK大迫も触れることも出来ずゴールに打ち込まれてしまったのだった。

 呆気ない。せっかく先制点を決めた茶島はいとも容易く抜かれてしまうことで同点に追いつかれてしまった。GKからのキックによって決まったというのも同じ。ここで先制しながらも逆転された前節の悪夢が蘇る。このまま京都にペースを持っていかれてしまうのだろうか。得点力のないサンフレッチェにとってはもはやこのまま引き分けを狙うべきなのだろうか。

 だが再開されたゲームでは引いて守る気配は微塵も感じさせなかった。そんな中で左サイドでフリーだった東にボールが出る。縦へと持ち上がる。深く食い込んだとこでDFに詰め寄られるとボールが跳ねるも何とか収める。フォローに来た野津田に落とすとゴール前を横切るクロス。逆サイドに飛び込んだのは茶島。飛びながら当てたボールはゴールに飛び込んでいったのだった。

 決まった。決まった、決まった、決まった。またしても茶島のゴール。さっきやられた借りを自ら取り戻した。正直ゴールに関しては全く期待してなかっただけに意外な活躍だった。ただここで気を抜いたらまたやられる。せっかくのリード、無駄にはしたくなかった。

 追いつくべく前掛かりになる京都。それを食い止めるサンフレッチェは更に攻勢を仕掛けオープンな展開となる。両者撃ち合いの様相を呈した時、茶島、野津田を下げて中野、山﨑を入れる守備への後退を行う。その中でヴィエイラが足を攣ると最後にナスへの交代したのはアディショナルタイム。あと少しの我慢どこだった。

 攻勢を仕掛ける京都。中盤、山﨑と川村でサンド。こぼれ球を拾った川村。ドリブルで上がる。上がる、上がる、上がる。最終ラインでギアアップ。置き去りにされたDFが追う。ゴールに向かって突き進む。GKと1対1。ペナルティエリアでシュート。斜めに放ったボール。突き刺さった。矢のように突き刺さることで3点目を決めたのだった。

 勝った、勝った、勝った。これはもはや勝利を確信していいゴールだった。この終了間際の時間においても単独でゴールまで持ってきた川村。前節でも似たようなシーンがあったものの決められなかったが今回は決めた。素晴らしい。素晴らしすぎた。

 そしてこのまま3-1で終えることができ無事勝利を掴むことができた。この試合に勝った意味は大きかった。この1ヶ月、負けが込んでいた為どことなく疑心暗鬼にもなっていた。その暗雲を晴らすことができた。それは茶島の2ゴールにより、川村がとどめを刺した。

 ただまだ連戦が続く。天皇杯とはいえ舐めてると足元を掬われる。それでも今度はどんなメンバーで行くのかというのを期待感を持って迎えられるのは大いにポジティブな要素なのだった。

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