横浜FC戦~雨の中のアウェイ勝利

2023年4月15日 横浜FC vs サンフレッチェ広島 ニッパツ三ツ沢球技場


 降りしきる雨。それは体温を奪い体力を消耗させる。暖かくなってきただけにこの気温低下は余計のこと身に染みるのだった。

 この試合、サンフレッチェにメンバー変更はなし。ルーキーの越道も右サイドにしっかり入っている。それだけに起用されてる内に目に見える結果を出してポジションを確固としたものとしたい。こういう悪天候のコンディションでどういうパフォーマンスをしてくれるかが注目する点でもあるのだった。

 対戦する横浜FCには吉野恭平がいた。サンフレッチェ在籍時は中途半端な起用しかされなかっただけに闘志を燃やしているはずだった。そして実際試合が始まると最終ラインでガツンと強い当たりでアタックにくる。それにより攻撃を展開してもポストプレーで潰しにくる。そこがサンフレッチェの攻撃に正確性を与えなかったという面はあるだろう。が、パスを繋ぐスタイルはこの雨の中、どうしてもズレとミスによりチャンスを潰していくのだった。

 そんなサンフレッチェのビルドアップを自陣で奪い切ると速い展開で押し上げを図る。次々に湧き上がるように出てくる横浜FCの選手。裏への浮き球パスが通る。カプリーニがコントローしてシュート。GK大迫弾き返す。セカンドボールは横浜FC。シュート。DFが壁となり弾くもこぼれ球を折り返し。ゴール前に入りこみ押し込まれる。失点。なんと早い時間にやられてしまったことか。ああ、ゴール前人数は揃ってたはずなのにどうしてクリアすることができなかったんだろう。

 悔やみが身体の中を駆け巡る。兎に角、気を落ち着けよう。まだまだ時間はある。終わったことはしょうがない。そう思ってた矢先だった。VARチェックで試合が中断する。固唾を飲んで成り行きを見守る。モニターでの確認後主審が判断を下す。カプリーニのハンド。ノーゴール。助かった。VARに救われたのだった。

 危なかった。横浜FCの攻撃は手数をかけず素早く鋭い。トップの小川航基はサイドからのアーリークロスを頭で叩き込む。これはGK大迫が弾くも右サイドの新井はボールを貰うと必ず仕掛けてくる。対面する塩谷が振り切られる。中を固めることで防いだもののこの後何度となく個での打開を図っていくのだった。

 やはり早いとこ先制したい。ところがサンフレッチェの右サイド越道は何度となくクロスを上げるもふんわりとしたまるで得点の匂いのないキックを蹴ってしまう。ゴール前陣取る横浜FCのディフェンスに簡単にされる。そして中央からは川村がミドルシュートを狙っていくもGKに処理される。満田が抜け出しペナルティエリアに侵入するもシュートは枠の外。入らない。決め切ることができない。シュートを打ってるようでいい形では打たせてもらってないのだった。

 後半に入りメンバー変わらず。森島が変幻自在な動きを見せ相手の守備を撹乱させることでナスが強烈なシュートを放つもGKに止められる。やはり仕留めることができない。そして今度は右サイド越道からの展開でトップのナスが落とすと森島のミドルシュート。これもGK市川に弾かれた。が、そのこぼれを拾った越道がクロス。綺麗にスワーブの掛かったボールがゴール前に軌道を描く。ターゲットのナスはマークが着いている。が、その背後へ飛び込んだ東。ヘディングで叩き込むとバウンドしたボールがゴールネットを揺らすのだった。

 決まった、決まった、決まった。越道リーグ戦初アシスト。しかも前半あれだけ質の悪いボールを蹴ってたのに修正してきた。そして決めたのが左サイドの東。両サイドによって決めたのが素晴らしかった。

 でもまだ1点。安心はできない。追加点を取るべくCKからの流れで波状攻撃を繰り広げるも横浜FCは粘り強い守備で打たせない。一旦下げることでゴール前へ放り込むもGK市川との競り合いにより突っ込んだ荒木のヘディングは枠を外れる。そんな我慢の時間を堪えることによって横浜FCに流れがいってしまうのだった。

 左サイドから新井がドリブルで上がってくる。縦を封じるとカットイン。それについてくると縦を突きクロス。小川航基が合わせる。またしてもGK大迫が防ぐ。危なかった。この2人はやはり脅威である。追加点が欲しい。そこでナス、森島に代わり切り札であるヴィエイラとエゼキエウが投入されるのだった。

 すると最終ラインからの展開でヴィエイラに当てるとエゼキエウが受けドリブルで持ち上がる。縦を警戒されると中央へと横へ切り込んでいき左サイドへ出す。フリーで受けた東。ゴール前へグラウンダーのクロス。詰めるヴィエイラ。マークを離さないDFンドカのスライディング。が、次の瞬間ボールはゴールの中に入っているのだった。

 決まった。あまりにも簡単に決まった。あれだけ手数をかけた挙句決められなかったシュートはヴィエイラとエゼキエウが入ることで決まった。ただ残念なのがこの記録がオウンゴールでヴィエイラの得点とならなかったことだ。それでもゴールはゴール。2点差にできたというのは変わりはない。そしてこの点差を縮められない為に前からのチェックをしていき相手のボールを下げさせていくのだった。

 相手を追い込むことで攻め手を与えない。それによりボールを奪うと無理して攻める必要もない。後ろに下げ最終ラインの塩谷に。そこにプレスを掛けられると縦へロングフィード。エゼキエウが縦のスペースを駆け上がる。そしてDFが追いつく前にゴール前へ流すとそこへ詰めたのがヴィエイラ。決まった。今度こそ自身のゴールとして決めてしまったのだった。

 0-3。もはや試合としては決まったようなものだった。そこでピエロス、中野、志知とアピールしたい選手を入れる。ピエロスはフィジカルの強さを見せ、中野も中盤での踏ん張りを見せ、志知もゴールへ向かう推進力を見せた。限られた時間だっただけに終了のホイッスルはもどかしさすら感じてしまうのだった。

 5連勝。雨のせいでミスも多く精度としては落ちる試合だった。それでも間違いなく熱狂できた。絶対にゴールを破らせない相手に対してヴィエイラが突き破る。もはやこれが王道のパターンとなっている。でもこれもその内対策されてしまう時が来るだろう。その為にもわずかな時間でもアピールする選手が出てほしい。勝利に酔いしれながらもふとそんな冷静な考えが浮かんでしまうのだった。

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