マリノス戦~乏しき選手層による苦悩

2024年6月19日 横浜Fマリノス vs サンフレッチェ広島 ニッパツ三ツ沢球技場


 川村が抜け野津田もいなくなった矢先、佐々木が出場停止でボランチと左CBがいないという事態は苦しかった。まずはボランチに満田が入り左CBに東、左サイドに志知が入ることになったが、まず東のとこを狙われるのは明白だった。スピードとテクニックのあるヤン・マテウスを当ててくる。サポーターもそれが分かってるのでやたらとヤン・マテウスコールが繰り出されるのだった。

 守るのは厳しい。攻めることで相手の攻撃を抑えていきたい。その意図によりキックオフから白いアウェイユニフォームのサンフレッチェは果敢にプレスで嵌めていくのだった。そしてその圧はマリノスの押し上げを制する。相手のパスをカットし、マイボール。スローインから中盤で繋ぎ縦への浮き球。加藤が抜け出す。GKとの1対1。ダイレクトシュートはゴールに突き刺さっていった。

 開始間もない時間に先制。立ち上がる紫のサポーター。幸先のいいスタート。守備への不安を抱いていたもののそれを上回る攻撃力を見せることができた。その試合の攻略法を早くも実践してしまったのだった。

 その後もサンフレッチェの勢いは止まらず前線へフィードを送られる度に中野が跳ね返す。そして右サイドからの突破には塩谷が蓋をして対処する。1番の懸念である左サイドも東は何とか踏ん張っているのだった。それにより中盤へボールを預けることができる。左右に散らしてバイタルエリアに持ち込むとシュート。が、それをことごとくブロックされてしまう。その粘り強い守備は徐々にマリノスに勢いを与えることになってしまった。

 プレスが掛からない。中盤を経由され左サイドのマテウスに流される。ここに志知が対応するも転けることでスカッと抜かれてしまい完全に置き去りにされてしまう。スピードに乗ったマテウスを東と中野で迎え討つもカットイン。その動きに間に合わず打たれる。GK大迫、横跳びするも届かずゴールの隅に決められてしまったのだった。

 同点。せっかくのリードはあまりにもあっさりと決まってしまった。これも佐々木がいたら止めてた気がする。そして志知が防波堤として機能してないことに気付く。攻撃時にもクロスを上げればいい場面で上げない。上げたかと思うと蹴った瞬間クリアされるプレゼントのようなクロス。そしてそれに呼応するかのようにチームのパス精度が落ちてくる。パスが繋がらない。高精度のキックによって何本もゴールに繋げてる東でさえキックがラインを割ってしまう。恐らく守備で一杯一杯でキックにまで余裕がないのだろう。

 完全なマリノスペース。そんな焦りからか満田が相手陣地で入れ替わられた際に腕を掴んだことでイエローカードを貰ってしまう。余計なカードを貰ったがそれ以前に満田のパスがズレまくっていることでチームにリズムが生まれないのだった。

 もはやこのまま同点のまま前半を終えて欲しい。そんな願い叶って1-1のままハーフタイムを迎えたものの後半でのメンバー交代はなし。そして戦況も変わらずマリノスペースのままなのだった。そんな折、中盤から裏へのパスが通る。カウンター発動に満田が追う。そしてゴール真正面に来るとシュート体制。そのコースに満田が間に合った。だが切り返しに遭うと打たせまいと足を出す。するとここで相手は倒れた。ギリギリ足が掛かったのだろうか、多少遅れたかもしれない。笛が鳴り駆け寄る審判。するとイエローカードを提示し、2枚目として満田にレッドカードの退場を指示したのだった。

 正直このイエローは厳しすぎた。ただ満田も1枚目の手を使ったファールは印象を悪くしていた。せっかく出場機会を得たのに自らピッチを去ることになってしまった。そしていい位置でのFK。固唾を飲むも枠外に飛んだ。ここはホッとした。だがホッとしたのはここまでだった。

 1人少ないのをいいことにカサになって攻めてくるマリノス。相変わらずマテウスのドリブルを使ってくるが何とか凌ぎ切る。だが苦しい。マイボールの時間をつくりたい。それなのにパス回しがことごとく上手くいかない。もはや後ろで繋ぐのはピンチを抱き込みようなもの、ロングボールによってピエロスに収まりを託すのだった。

 繰り出す度に跳ね返されるロングボール。そこに儚さを感じながらもそれしかない事実。もはや1秒でも2秒でも時間が稼げるのならそれでもいいような気がしてきた。そんな時右サイドにボールが入ったことで空中戦から地上戦へと切り替わったのだった。

 ゴール前をガッチリ固めたマリノス。それに対してサンフレッチェの頭数は足りない。パスの出しどころがない。大橋が単騎で切り込む。数人で包囲網を敷かれ閉ざされる。だが縦に切り込むと1人かわし2人かわす。そして深く入ったとこでシュート。決まった。この絶望的な状況の中で勝ち越し点を決めてしまったのだった。

 沸騰するアウェイゴール裏。守るだけの展開からリードをすることができた。大橋のストライカーとしての能力の賜物だった。サンフレッチェに永らく欠落してたゴールを奪うということを実践できる選手だと改めて思い知らされるのだった。

 そしてこの後は守りに徹する。その為にボランチに松本大弥を投入し、右サイドに越道を入れ新井を左サイドに移す。その途端左の守備が安定すると今度は右が不安定になってくる。宮市のスピードに苦慮する越道。ゴールライン際で入れ替わられると折り返しを入れられ無惨にも同点ゴールを決められてしまうのだった。

 だが悲嘆はそれで終わらない。再び右サイドにドリブルで切れ込まれると切り返しについていけない。そして縦へのスルーパスを通されると簡単に中央へ通され決められてしまったのだった。その時ゴール前には人数が揃ってたというのにたった3人の選手に崩されてしまったのだった。

 もはや点を入れないと負けてしまう。この状況でマルコス、ヴィエイラ、エゼキエウを入れる。守備要因で入った大弥はここで下がってしまうとここからチームは活性化。ゴールは奪えなかったものの少なくとも守備で破綻することはないのだった。

 3-2での敗戦。勿体無かったというのが正直な感想だ。松本大弥は前節も交代で入った瞬間失点したという事実がある。そして昨シーズンの天皇杯栃木戦でもやらかした。カードを貰った満田を早目に代えればよかったとも思ったもののさすがに交代要員がこれでは代えることはできなかったのも納得が入った。

 選手層の薄さ。それは痛烈に感じた。さすがにボランチが2人抜けDFが2人も怪我をしてしまっては苦しい。補強、それは視野に入れないといけない。そしてそれ以上に次節誰をボランチに入れるのか、とても乏しい選択の中からどう考えればいいのかと途方に暮れてしまうのだった。

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