天皇杯いわき戦~4ゴールの勝利

2024年7月10日 天皇杯3回戦 いわきFC vs サンフレッチェ広島 ハワイアンズスタジアム


 いわき駅前バス停に停まってたマイクロバス。まさかこれじゃないだろうなと思って覗いてみると無料シャトルバスと確認できると共にドアが開いて挨拶を持って迎えられたのだった。紫のレプリカを着ているというのに来場者は誰でもウェルカムという雰囲気を感じるのは運転手だけでなく乗客からもこんにちはという声を貰ったことからだった。

 そんなもてなしを受けたが為、気分よくバスには乗り込んだもののやはり少し窮屈だった。しかも雲行きが怪しい。よりによって雨の中の観戦かと思うとせっかくの遠征も高揚した気分が少し萎んできてしまうのだった。

 小高い山の上に登ったとこにスタジアムはあった。広島広域公園にどことなく似てる。だがサッカー専用スタジアムなのでピッチまで近い。その為熱が入りそうだったもののやはりこのロケーションでの平日開催では限界があり3,074人しか入ってないのは応援の迫力としてはどうしても限界があるのだった。

 とはいえいわきにしてみれば滅多にないJ1クラブとの対戦。当然モチベーションは高くなる。フィジカルに強みがあるだけに肉弾戦に持ち込もうとしてくるはずだ。その為にCB荒木の復帰は心強く他のポジションもレギュラーメンバーをそのまま持ってきた。連戦による疲労という懸念もあったものの、雨で気温が高くないのは幸いな点だった。

 試合が始まるといつもの如く前線からプレスを仕掛けていった。その甲斐あってか開始間もない時間に右サイド新井がクロス。ここに飛び込んだ大橋。が、枠を外れる。こういうのを決めないから苦労すると話していたら本当にいわきが攻めてきた。一旦ボールを取ると次々に選手が上がってくる。右から左に振られ西川がボックス内でのヘディング。外れてくれた。外れはしたがタイミングは合っていた。枠に入らないことで命拾いするのだった。

 カテゴリーが違うとはいえやはり侮れない。繋ぎのパスではマークを厳しく行くことでボールの行き場をなくさせる。その結果ロングボールが多くなるのだがここで競り合いとなりいわきが収めると速い展開からゴール前へ顔を出しシュート。佐々木がコースを切ったことで枠を外れるもシュートはいわきの方が打ってる。このまま勢いを与えるとマズい。浮き球に対してはもっと積極的にアプローチしてマイボールにしたい。そんな思惑が強まったのだろうか、中盤で舞い上がったボールに対してヘディングに行った加藤。が、これが佐々木とプレーが重なり見方同士で接触してしまう。うずくまる加藤。結局立ち上がることはできずヴィエイラとの交代を余儀なくされてしまうのだった。

 予定より早い時間の登場となったヴィエイラ。ただヴィエイラがターゲットになるのはやりやすかった。アバウトなボールでも大抵は収めてくれる。雨で濡れたピッチにおいては特に有効なのだった。ただそれでも有効なシュートを打てずに前半を終えてしまうのだった。

 後半のメンバー変更はなし。満田が2度追い、3度追いを繰り返す。そしてGKまで下がったとこにヴィエイラが追い込みをかけ窮屈なキックを出させることによりボールを拾える。そこからパスを回すことで前線へ持ち上がる。ゴール前を固めるいわき。シュートはブロックされてしまう。が、ゴールラインを割りCK。こういう場面を何度もつくり出した。が、決まらない。サンフレッチェのCKは本当にチャンスに繋がらないのだった。

 一体今日は何本CK蹴ったんだ。そんな呟きが漏れてしまう。キッカーを新井から東に変える。インスイングからアウトスイングのボールを織り交ぜる。それなのに弾き返される。キックを入れれば入れるだけゴール前の守備の密度は濃くなっていくのだった。そして今度は満田がキッカーとして入る。右からアウトスイングのボールを蹴る。ゴールから逸れていくボールに佐々木がフリーで飛ぶ。ガツンと頭に当てるとボールは地面に叩きつけられるようにゴールにぶち込まれていったのだった。

 先制、遂に先制。やっとのことでこじ開けた。これも度重なるCKによりゴール前への意識を高めさせた反面少し下がったところではノーマークになったことで佐々木が自由にヘディングできたのである。何気に前半から続いた立て続けのCKがゴールに繋がったのかもしれないのだった。

 ただここでいわきは追いつこうと圧を掛けてくるはず。そこに脅威はあるもののチャンスでもある。そしてビルドアップで中盤に差し込んできたボールに塩谷が食らいついた。満田を経由して再び塩谷が受けるとフリック。そこに飛び出した大橋。ダイレクト。DFを背負いながらも押し込んだのだった。

 決まった、決まった、決まった。2点差は大きい。張り詰めてたものが一気に抜けていく。それはもっといく、まだ攻めれるという機運につながっていきまたしてもCKを得ると満田のキックから佐々木。同じ軌道、同じパターンで3点目を決めたのだった。

 これで勝負あった。その為次々に選手交代で選手の温存を行なっていく。とはいえここで出てくるのがマルコス、中島、柏、茶島、ピエロスである。やはり選手層の違いがあった。とはいえ途中交代で入った選手も結果が欲しく一切手を抜かない。そんな中でマルコスのがクロスを放つ。脚を伸ばしたDF。これが当たりどころが悪くゴールに吸い込まれてしまった。

 4点目。こういう形ではあってもマルコスがゴールという結果を出したのは大きい。今後においての弾みとなるきっかけになってもらいたい。

 そしてこのままシャットアウトした形で90分を終える。0-4、数字の上では上々の結果である。ただそこで加藤の怪我の具合が気になりつつもやはり挨拶に来た選手達には惜しみない賞賛を送ってしまう。この勝利の中、大粒の雨に打たれながらも陶酔感はいつまでも収まらないのだった。

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