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磐田戦~決めきれず敗戦

2022年4月17日 ジュビロ磐田 vs サンフレッチェ広島 ヤマハスタジアム


 パラパラと落ちてくる雨はピッチをスリッピーにしていた。ミドルシュートを使っていきたい。だがそれ以前に松本、東というリーグ戦初のボランチの組み合わせがどれだけ機能するのか。正直なところ不安の方が大きかった。それでも試合開始と同時にチャンスを作り出したのはサンフレッチェだった。

 満田の運動量から押し上げをはかる。東が浮き球でペナルティエリアへ入れれば満田が入り込みループシュート。枠外。サントスのドリブルから得たCKもシュートを放った。これも枠外。後方からのロングボールを収めたサントスがドリブルで駆け上がり出したスルーパスも満田が打つも枠外。決定力。シュートは打ってるものの決定力のなさは如何ともし難かった。

 それでもこれだけ攻勢を掛けれるということはチームとしての状態は悪くない。松本はミドルシュートを放ち野上もオーバーラップからクロスを入れる。どれもGKNI阻まれる。特にサントスの放つシュートはGK真正面か枠に入らないかの2択。あそこまでゴールに縁のない選手いないのではと思ってしまうのだが裏を返せばそれだけシュートを打ってるということでもあった。

 だがそんな得点機会の損失は磐田にカウンターを与えた。前線のスペースへ出た長いパスに追いつくと縦へドリブル。そこへ守備で追いつくと中央へ出され人数を掛けて奪いにいく。ボールを受けた鈴木はそれでも強引にシュートを放つと食らいついた守備陣を蹴散らすかのようにゴールに叩き込んでしまったのだった。

 失点。なんということだ。あれだけ優勢に進めておきながらも一発に沈められた。とにかく前半の内に返しておきたい。返しておきたいがこうなると磐田のカウンター戦術がよりやりやすくなる。守備でブロックをつくり奪ったらカウンター。無理に出てくることもなく攻めるだけ攻めさせてくる。ただ最後はやらせない。そんな磐田の術中に見事に嵌りそのまま無得点のまま前半を終えるのだった。

 後半。また引き篭もられるとキツいなと思っていたら満田が左のスペースに躍り出た。フリーになりゴール前へ入れる。森島が詰めるも間に合わない。するとそのまま通過したボールがスライディングに入ったDFの足に。微かに当たったそのボールはボテボテとゴールに吸い込まれていったのだった。

 同点。オウンゴール。ラッキーではあるがあれもゴール前に入れたのが功を奏した。点が入る時はいつも満田と森島が絡む。やはりこの2人は攻撃に必要不可欠な選手なのだった。

 これで振り出し。磐田も引き篭もってばかりもいられないはず。ここで畳み掛けようとまた前掛かりに出ていくのだった。

 小気味よくボールが動く。一人がボールを失えばもう一人がそのフォローに回りそれをかわすように出した前線へのボールは全てDFでカットする。そして再び前を向くと左サイドへ。柏がワンタッチで裏へ。飛び出した森島ワンタッチで中。逆サイドから走り込んだ満田押し込み決めた。逆転ゴールだった。

 全てワンタッチで決めたプレー。それは優勝した頃のゴール前を数人で関わることで崩していく光景を思い出させた。肝心なところでパスを出すと批判してたものだがそのパスだけでフィニッシュを決めるとこれこそがサンフレッチェの攻撃だったと思い出してしまうのだった。

 その後も攻めて攻めて攻めまくる。クリアされてもセカンドボールは回収してしまう。左から右へと展開すると藤井が縦への突破を掛けてくる。いいクロスが入る。ただ、中央では決定的に合わず流れてしまうのだった。

 すると磐田はメンバーを代えて前線にゴンザレスを入れる。速くて馬力のあるこの選手を入れることで途端に磐田のロングフィードが生きてくる。ゴール前までドリブルで運ぶことができる。そしてCKでは頭で合わすことができる。そんなゴンザレスの存在感は脅威だったものの追加点を取るべくジョーカーの柴崎を入れてくる。交代したのは柏。それにより満田が左サイドにコンバートしたのだった。

 するとその左サイドの守備で満田はスカッと抜かれてしまった。広大なスペースでフリーでゴール前へ入れられる。荒木がクリアしようと足を振るも空振り。中央に入ったゴンザレスに収まりシュート。野上がブロックするもゴンザレスのボール保持は切れない。アタックするサンフレッチェの選手もものともせず打ち込むと弾丸のようなシュートが打ちこ荒れてしまった。もはやあと10分くらいしか残されてなかったというのにここにきて失点してしまったのだった。

 せっかく逆転したのに追いつかれた。しかも今度は磐田の方が勢い付いてしまい守備で精一杯。耐えて耐えて耐える中でタイムアップした時には正直助かったという感覚があった。ただ、数秒経った後でやはり勝てなかった悔しさが滲み出る。何であれだけシュート打ってて決められないんだよ。最終データでは21本のシュートだった。対する磐田は7本。両者の効率の度合いが鮮明な形となってしまった。

 ゴンザレスを止めきれなかったサンフレッチェ。そして満田の守備の甘さ。更には勝ってる状況にも関わらずその配置転換をしてしまったスキッベ監督の采配。そして何よりもあれだけあったチャンスを生かしきれなかったサントス。FWとして決めきれないというのは致命的だった。ただ、強引なドリブルやシュートがチームに活力を与えたのは間違いない。ただ、やはりトップが決めないと厳しいという現実を痛烈に感じざるえを得ないのだった。

 3連勝でストップ。ボランチを東、松本の2人でこなせたというのは大きな収穫だった。そして先制されても一度は逆転したというのは昨シーズンと違う。ただやっぱり勝てた。勿体なかった。そんな悔やみがいつまでも腹の中から抜けきることができないのだった。

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