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福岡戦~ヴィエイラ2発で勝利

2022年6月25日 アビスパ福岡 vs サンフレッチェ広島 ベスト電器スタジアム

 激しい雨の後のナイトゲーム。湿度が高く体力の消耗を起こしそうなコンデイションでまたしてもメンバーの変更はないように思われた。が、一人だけ違った。松本泰志が入っている。天皇杯での2ゴールが評価されたのだろう。対してシュートを外しまくったサントスが外れたという形だ。
 このわかりやすい起用法は選手に緩みを与えない。結果を出せば使うし出さなければ使わない。その為3連勝中にも関わらずそこに一切の妥協がない。相手のボールには食らいつき高い位置でのボール奪取を常に狙っている。あれだけ走り回って大丈夫なのだろうか。身体がオーバーヒートすることはないのだろうかと心配にすらなってしまうのだった。
 ところがこの激しいプレスのお陰でロングボールを蹴らしてDFで跳ね返すことによりマイボールになる。そこから前を向き上がって行こうとすると今度は福岡の激しいプレス。自由な攻撃ができない。武器である右サイド藤井がまるで縦への突破を図れない。ボールを動かすも、打開ができない。そして突き崩そうとトップのナスへボールを当てるとそこはガツンと跳ね返される。それにより攻守が入れ替わるのだった。
 福岡も後ろからの繋ぎを見せてくる。前の様子を伺い鋭いパスを通そうとしたとき、野津田が食らいついた。一瞬の判断の遅れが生じそこをタックル。ボールがこぼれるとナスが受けると前はDFだけ。猛然とドリブルで駆け上がる。左から森島が追走。そして右にも満田が走りパスが出た。ダイレクトでシュート。縦へと走った勢いそのままファーサイドへと強烈な勢いのボールが突き刺さったのだった。
 先制。凄い。本当に決めた。ダイレクトでなければDFに詰められていただろう。それを決め切るスピードとパワー。改めて今の好調さが満田の攻撃力にあることを思い知らされるのだった。
 均衡を破ったサンフレッチェ。このまま追加点を入れて突き放していきたい。そう思っていたものの福岡は先制されたことによって逆に火がついてしまった。
 前線からのプレスを掻い潜るとサイドへと渡される。ゴール前人数を掛けボールへのチェックに行くも右から左へと展開される。ボールを持った志知が縦を塞がれるもカットイン。間髪入れずゴール前へ速いボール。ゴール前へ向かうボール。そこへ飛び込んだ渡。GK大迫の頭上へと突き刺さるダイビングヘッドをかましてしまったのだった。
 追いつかれた。なんというヘディング。これだけゴール前人数揃ってたのにたった2人で決めてしまった。2年間サンフレッチェに在籍した渡。結果が伴わなく戦力外としてチームを離れただけに期する思いは大きかっただろう。こんなプレーを在籍時にやってくれていたなら。あまりにも簡単に振り出しに戻したのが渡というのは言いようのない衝撃でもあるのだった。
 試合は優位に進めてた。が、時折入るサイドからのクロスに対しては先に触られる場面が目についた。それだけに最初からそこに弱点があったのかもしれない。ハーフタイム、そんな修正があっただろうか。そして後半に入りヴィエイラが入る。イエローカードを貰ったナスに代わるもののこの交代で戦況が変わるような気はしなかった。事実、より前からプレッシャーをかけてきた福岡は高い位置からの攻撃ができるようになってきた。ゴールに襲い掛かる。何とかラインを割ってゴールキックにより息をつけるのだった。
 それでもGK大迫はロングキックに頼らず後ろから繋いでいく。DFに入ると福岡の前線はボールへと食らいつく。パスを出せばそこにもチェックが入る。そして次の預け先にも。前からのチェックは圧力を高めサイドに追い込まれる。出しどころがなくなり中のスペースへ。そこへ野津田が走り込んでいた。前を向きドリブル。最終ラインを越える浮き球を放つとバウンドでブレーキが掛かった。それにより最前線にいたヴィエイラが追いつく。飛び出すGK。が、ループで放ったシュートはそのままゴールへと吸い込まれていったのだった。
 勝ち越し。ヴィエイラ公式戦3戦連発。出場機会に恵まれなく今季初ゴールに涙したこの長身FWはまたしても決めてくれた。特に福岡が点を取る為に前への圧力を高めてたところでそれをひっくり返したこのゴールは精神的なダメージとして大きなインパクトを与えるものとなった。
 その後もヴィエイラのボールの収まりが大きくチームを前を向かせる。それにより守りに入ることなく更にゴールを目指すプレーが出てくる。ペナルティエリア前で森島が受ける。ボックスの中で人数を掛けてる福岡のブロックをどう崩すか。するとヒールで流しボールはペナルティエリアに。そこへオーバーラップした佐々木が追いつく。追いつくも追走したクルークスによって倒された。笛が鳴る。主審はPKを宣告したのだった。
 やった、やったと拳を握り上げる。だけどまだ決まった訳ではない。PKをセットしたヴィエイラ。これを決めれば断然有利。逆に決まらないと福岡が息を吹き返しかねない。そんな緊迫の中、ヴィエイラのPK。助走からステップを刻みタイミングを測ったシュート。GKにコースは読まれてた。それでも掌をすり抜けゴールへと突き刺さったのだった。その巧みさ、ヴィエイラのPKには安定感がある。
 2点差。もはや勝ちを意識していい時間だった。それにより野上を入れ守備固めに入る。最後の最後まで戦いの炎を絶やさない福岡の攻撃は威圧感があった。それでも残り時間の少なさが幸いしそのまま1−3で試合を終えることができたのだった。
 ヴィエイラの2得点で決まった。トップにゴールを計算できる選手がいるというのは頼もしい。ただ、得点は入れても今後もこういうジョーカーとしても起用となるだろう。怪我が多くあまり多くの時間出場させるのは無理があるからだ。
 ただ、中盤のキーマンとなってる野津田が累積警告で出場停止。次節のメンバーが気になるとこだった。が、今日はとりあえずこの勝利を噛み締めよう。そして次なる活躍する選手を夢想しようではないか。そんな想いになるのだった。
 暑さの中の連戦。それは厳しくもあるものの、勝っていることが心地よい疲労感となり更なる次の試合への欲求を生み出していくのだった。

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