鳥栖戦~中断前に2連勝

2024年6月26日 サガン鳥栖 vs サンフレッチェ広島 駅前不動産スタジアム


 全国的な猛暑。座ってるだけでじっとり汗ばんでしまう。それに加え日没が遅く涼しくなる気配は一向に訪れず、明るいままのキックオフはまるでデーゲームのようでもあった。

 ピッチには病気により欠場した佐々木に代わり初スタメンのイヨハが入っている。当然佐々木の強度は期待できそうもなく、鳥栖はそこを攻めてきそうである。今までも東が代役で入ったことがあるが、やはりそこを狙われた。そして左CBへ向けてボールが飛んだ。するとイヨハは弾き返していた。そして競り合いにおいてはマイボールにすると自陣でのボール回しにおいて停滞感がない。むしろやれてる。佐々木の代役、いや、次なる主力へとアピールをしているのだった。

 そんなイヨハの守備に安堵しながらも鳥栖はサイドにボールを預けてくる。左サイドでは中原がグイグイとドリブルで押し込んでくる。食い止めたいイヨハが前を塞ぐとカットインからバイタルエリアに入られる。そこからシュートへと持っていかれるがここは荒木がコースを切ることで枠にいかない。だがそこで安堵すると今度は右から横山が仕掛けてくる。スピードに乗ったドリブル。守備で破綻を見せることのない中野が振り切られる。ペナルティエリアに入られ折り返し。マルセロ・ヒアンのシュートは荒木のブロックにより食い止めることができた。だが鳥栖の両サイドの脅威は続く。こんなにも速く切れ味のあるドリブルがあることに戸惑いは隠せなかった。

 更に狭いスペースにパスを通すことでポケットに入られシュート。これをGK大迫が飛び出すことによりシュートが逸れる。だがこの後も鳥栖の攻撃は続きシュートを打たれる場面が続く。その度に大迫のビッグセーブによって救われる。まずい、このままだといずれ守備も守りきれなくなる。それだけにマイボールの時間をつくりたいものの前線がまるで機能してないのだった。

 前線のターゲットであるヴィエイラに出しても収まりが悪い。そのせいでせっかくマルコスがいるのに相手ボールにばかりなってしまう。そして前から嵌めようにもヴィエイラのスピードがないので簡単にプレスを回避されて前線へ運ばれてしまう。それによって再びサンフレッチェは守勢に回らざるを得なくなるのだった。

 そんな時相手シュートが枠を外れゴールキックになったことにホッとする。とりあえず一息つくことはできた。GK大迫によるゴールキックが飛ぶ。最前線のヴィエイラ目掛けてボールが飛ぶ。競り合いから頭に当てる。それが後ろに逸れフリックとなるとマルコスが抜け出した。完全にGKと1対1。ここでゴールに向かうボールへダイレクトシュート。バウンドをしながらゴールに向かう。GK朴一圭が飛びつくもゴールの隅に吸い込まれていったのだった。

 入った、入った、入った。圧倒的に悪い流れの中、1本のゴールキックで決まった。相手が力でねじ伏せようとしてただけに出鼻を挫くことができた。守って、守って、守り続ける中、先制したことに試合巧者を感じる。それだけに早いところ追加点を決めておきたい。相手が猛攻を仕掛ける展開は続くだろう。だからこそカウンターによる得点の積み重ねは相手に攻撃することのリスクを与えることができるのだった。

 だが実際には鳥栖の攻撃が続き、前半を終了した時には失点が出なかったことに安堵する。とりあえずこの流れを切った。後半に入って仕切り直し。今度こそ優位に試合を進めよう。そんなことを思って臨んだ後半戦、鳥栖のロングボールから始まるのだった。

 大きく上がったボール、荒木が追うがマルセロ・ヒアンに身体を入れられ後追いになるとゴールを向かれた。イヨハがサポートに走る。が、マルセロ・ヒアンのシュート。グラウンダーのGK大迫の股下を走るボール。触ることすらできずそのままゴールに入ってしまうのだった。

 失点。何たること。あまりにも呆気なかった。再び振り出しに戻ってしまった。あまり攻め手がない中、1点を守り切ることができなかったのは痛かった。どうにも前線が活性化されない。シュートシーンがない訳でもないのだがヴィエイラはCKに合わせるも枠の外、マルコスも左からのシュートは決めきれない、新井のクロスからの東のヘッドも枠に入らない。その反面鳥栖の攻撃はますます圧を強めてきている。一体いつまでこの苦境を耐え切ることができるだろうか。

 もはや限界を感じたスキッベ監督はマルコス、ヴィエイラを下げて満田、加藤の投入を決断する。2人共負傷明けの為、あまり長い時間のプレーはさせたくなかっただろう。だがどこかで切り札としては考えてたはずだ。それだけにこの交代こそが勝負の分かれ目でもあるのだった。

 するとここからペースが変わってくる。スペースが空きオープンな展開に。そして満田の2度追い、3度追いが鳥栖のビルドアップに窮屈さを与え進行を鈍らせる。そしてそのもたつきがボール奪取につながり前線へのフィードを生むと加藤が球際勝負を制しマイボールにすることで高い位置を確保すると鳥栖に余裕がなくなっていった。

 鳥栖のクリアも繋がらずサンフレッチェが拾うことで再び前線へ繰り出されるとペナルティエリアへ。これをクリアされるも味方に当たることで再度ゴールに向かう。DFの圧に左に逃すと加藤がクロス。これは山を越え逆サイドに流れ新井が拾う。中にいた松本泰志に預ける。中野がオーバーラップ。その動きにDFが釣られたその一瞬の隙を逃さなかった。中に切り込みシュート。鋭い弾道。わずかに開いたスペースを抜け吸い込まれた。

 入った、入った、入った。勝ち越しゴール。これをシュートを打っても打っても枠に入れられない泰志が決めたのである。喜びを爆発させる泰志。そこはやっと決めることができたという達成感もあるだろう。

 このままリードを保てば勝つことができる。時間的にも守るのか攻めるのか微妙な時間である。だがここは攻める方を選んだ。時間稼ぎではなくゴールを目指す。これこそが加藤と満田がいることによる効果である。右サイドに出たボールに加藤がフリーで受けた。そこで溜めを入れゴール前へのグラウンダー。ニアで東が潰れる。そして中央に飛び出した大橋。GKの逆を突き押し込んだのだった。

 3点目。この時間での2点差は大きい。勝利がグッと近づいてきた。もはや守りに入ってもいい。だけどまだ攻める。手を緩めることはない。ゴール前を固める鳥栖にシュートはブロック。リフレクションを満田が拾う。逆に動かし、動かしシュート。グラウンダーのボール、ゴールの隅にスルスルスルと入って入ったのだった。

 4点目。決まった。ダメ押しゴール。こういうスペースのない中でも決める。これこそが満田の真骨頂だった。そして2点目以降のゴールには加藤がほぼ絡んでいた。2人が活躍できる状況、これこそが待ち望んでいたものだった。

 1-4、大量点により締めくくることができた。マルコス、ヴィエイラのブラジル人コンビではあまり攻撃の形がつくれなかったがこの2人がペースを変えた試合もある。逆にこの試合は満田と加藤がペースを変えた。お互いに違った個性によっていい循環ができている。そして松本泰志がゴールを決めたこととイヨハがでて勝ったというのも大きなプラス要因だった。

 いい形で中断期間に入れた。ACL2、天皇杯、ルヴァンカップ、Jリーグ。多くの試合が待ち受けてるだけによりチーム力を高めたい。過密日程前にしばしの休息を幸福な感情で迎えることができるのだった。

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