見出し画像

清水戦~塩谷退場するも勝利

2022年9月3日 サンフレッチェ広島 vs 清水エスパルス エディオンスタジアム広島


 激しい雨の後の試合だった。今シーズン4度目の対戦となる清水であるが一度として勝ってないのは相性のせいだろうか。それだけに今度こそはという意気込みがあるものの攻守でのキーマンとなる満田がいない。代わりにナスとソティリウがスタメンに名を連ねてるが、2人のストライカーの同時起用は破壊力がありそうでそれはそれで楽しみだった。主導権を握ることができればゴール前で相手を薙ぎ倒してでもシュートをする姿が思い浮かんだ。が、効率的のいい攻撃をしてきたのは清水の方だった。

 GK権田からDFに出し中盤に繋げると一気に前線へ。サンタナ、カルリーリョスが突進して左右の乾、ピカチュウがシュートを放つ。この迫力がすざましくやられてもおかしくはない場面でその都度GK大迫が最後の砦として立ちはだかる。元々高い身体能力はあったがこのところポジショニングや飛び出しのタイミングが神がかってるのだった。

 そんな我慢の時間帯を過ごしていく内に徐々にサンフレッチェにペースがやってくる。前線でナスがボールを触る機会が増えてくる。右サイド茶島も高い位置でボールを受ける場面ができてくる。ただ、ナスにはスピードが欠けていて、そして茶島には縦への突破力がなくて打開が図れない。こういう時こそソティリウの個人技に頼りたかったもののどうもボールに絡むことができないである。森島のヘディング、ナスのヘディングという場面を生み出しはしたもののどうにも攻め切って終わることができないのだった。

 この状況を打破すべくハーフタイムで交代があるだろうと思いきやメンバーの変更はなかった。そして依然として中途半端な攻撃が続きヤキモキする。やはり満田がいないとダメなのか。たった一人選手がいないだけでこうも変わってしまうものかという程に攻撃に躍動感がない。清水の守備もサンフレッチェの攻撃パターンを全て読んでるかの如く蓋をしてしまう。それがリフレクションを生み前線に残ってたサンタナに渡ると数人がかりでもボールが奪えず一気に前線のスペースに出される。走りこむ乾に塩谷が食らいつく。だがボールタッチの瞬間激しい当たりで倒した。塩谷のファール。これは文句の言いようもなく清水のFKに守備を整えようとしたその時、VARが入り塩谷にレッドカードが提示された。均衡された試合はこれによって大きくパワーバランスを崩してしまった。

 まずは攻撃の森島を下げてDFの住吉を下げざるを得なかった。そして一人少ない相手に清水は一方的に攻めてくるようになる。たまにボールを奪ってパスを回してもナスが当たり負けして奪われてしまう。防戦一方。もはやこのままクリアするだけで引き分けにできれば御の字であった。

 さすがにここでテコ入れが入る。ソティリウとナスに代わりヴィエイラと川村である。ヴィエイラは前線のターゲットとして適当に蹴ったロングボールでもマイボールにすることができる。川村にも一人少ないことを穴埋めする運動量を期待できる。そしてその狙いはそれなりに的中し、クリアボールを2次攻撃に繋げられるまでに若干の時間的余裕を生み出していったような気がしたのだった。

 残り時間を常に気にしながら耐えて耐えて耐え抜いていく。サイドを切り裂かれ、何度もクロスが飛ぶもののゴール前で弾き返す。ペナルティエリアへの侵入されても最後の最後はDF陣が食い止めてくれる。そして急な出場にも関わらず住吉の粘っこい守備が右サイドからの侵入を摘み取ってしまう。試合はもうサンフレッチェ陣内でしか行われてないもののその集中力は途切れることがなかった。

 そんな時、1本のロングボールがヴィエイラ目掛けて放たれた。競り合いから潰されるもボールはこぼれる。するとそれを拾った川村が中央をドリブルで駆け上がる。すると駆け上がった左サイド柏に振るとドリブルで縦へ行く動きからカットイン。マークについた2人のDFの間を通すスルーパス。これに反応した川村。ペナルティエリア深い位置に入るとファーへと流し込む。入った。入った、入った、入った。一人少なく堪えるだけの状況から先制点を決めたのだった。

「うおおオオオゥ!」

 声出し応援の解禁されたスタジアムに地響きが起こる。ヴィエイラの落としから川村が決めるという交代選手がこのまま決めてしまったこのゴールは神がかってた。あとは本当に堪えるだけ。アディショナルタイムが掲示される。9分。なんでそんなに。どうしてサンフレッチェが勝ってる時はこんなにも長いアディショナルが取られるんだろう。

 全員でゴール前にブロックをつくる。シュートが外れるとそれだけで息がつける。もはやGK大迫のキックも安全に遠くへ蹴るだけになってしまう。人数を掛けて雪崩こむ清水の攻撃。松本や野津田はポールホルダーに対してのチェックで走り回る。それでもそこをすり抜けゴール前へと入り込むと荒木や佐々木が最後の最後で止める。それは薄氷の上を歩くかのようなギリギリの緊迫感だった。

 長い、長いアディショナルタイム。時計の針の進が遅い。そんな時左サイドにいたヴィエイラ目掛けてボールが飛ばされる。それを川村に落とすとそのままサイドを駆け上がるとロングキック。時間稼ぎのクリアだと思った。が、軌道がおかしい。高く舞い上がったボールは放物線を描き落下していく。するとゴール内でバウンドするとそのままゴールに入ったのだった。

 入った、入った、入った。あんな超ロングシュートを放って決めてしまうとは。初ゴールの時泣いていたこの選手は試合を決める選手へとステップアップしたのだった。

 喜びを爆発するサンフレッチェベンチ。スタジアムにも渦が巻く。長いアディショナルタイムに愕然としつつも結果としてその為に追加点を入れることができたのも前説と一緒だった。このまま2-0で試合を終えることができ連勝を5と伸ばすのだった。

 一人少なくても勝ったことは大きな自信となる。特定の選手がいなくても別の選手が活躍する。そんないい環境が循環している。天皇杯もルヴァンカップも残されてる中、これはポジティブな要素である。胸の高まりが止まらない。それにより、まだまだこれで終わらないという欲求が出てくるのは当然の成り行きでもあるのだった。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?