ガンバ大阪戦~手も足もでず打ちのめされる

2022年6月29日 ガンバ大阪 vs サンフレッチェ広島 パナソニックスタジアム吹田


 前節から中3日。真夏を思わせる猛暑にスタミナの回復への影響が懸念される。しかもボランチのキーマンとして試合を動かしている野津田の出場停止は大きな痛手だった。そこで野上がDFに入り塩谷がボランチに入った。そしてトップにサントス。野上、サントスにとってはアピールのチャンスでもあった。

 煮えたぎるような猛暑の中、試合は始まった。どちらもが主導権を握ろうと激しいヘディングの応酬が繰り広げられる。落ち着かないボールの行方は次第にサンフレッチェに傾き森島がコントロールする姿が目立つようになる。ところが前を向いた時にはガンバのDFはガッチリ陣形を整えている。そこから打開を試みるもボールを動かしてるだけでボックスまでは入り込めない。そこで3列目から飛び出した塩谷が遠目からのシュート。威力はあったものの枠に入らない。早い時間だし打てばよしと賞賛するべきだったのだろうか。

 それ以後もこう着状態は続く。そしてこういう困った時、右サイド藤井の突破に頼るべくボールを預けるものの蓋をされてしまった。前を向けない。たまに突破できることもあるものの抜くだけで精一杯なのか、その後のキックは敵のいるとこにしか行かない。それ故藤井の仕掛けは全て相手ボールになってしまうだけに使うだけ損のような気になるのだった。それだけに奪ってからの速い攻撃に活路を見出したいのだが、カウンターからの森島のスルーパスに満田は間に合わなかった。あれだけ綺麗に決まるタイミングで出したボールに合わせることができなかった。そこに今日の異変が垣間みれるのだった。

 優勢に進めながらも相手を脅かす攻撃ができてないような気がする。どことなくパスが各駅停車。ボールは動いても守備も余裕で対応できてしまっている。何かが物足りない。そういえば肝心のトップのサントスがまるでボックス内でプレーしてない。それどころか存在として希薄だ。ワントップとしてまるで機能してないのだった。

 そんなサンフレッチェの停滞感に気をよくしたガンバはサンフレッチェのプレスを物ともせず前線へと繋げてくる。サイドからドリブルで仕掛ける。怒涛の波状攻撃が始まる。完全に前が空きシュートはバーに救われるもセカンドボールを再びシュート。GK大迫が触ると逆サイドに流れ藤井がクリアしそこなうことで拾われてシュート。DFのスライディングも間に合わず綺麗にゴールネットに突き刺さった。呆気ない、あまりにも呆気ない失点だった。あれだけ攻勢に出てたサンフレッチェとは違って実に効率の良い得点だった。

 ところがガンバの猛攻はこの後も続き簡単にゴール前まで運ばれると真正面からシュート。野上のブロックが坂本の足下に入りそのまま反転シュート。これを決められ3分のうちに2失点をしてしまうという失態を犯してしまった。もう勝てない、正直この時諦めを感じてしまった。

 後半、メンバー交代で再開する。サントス、野上のアウト、ナス、ヴィエイラのインである。これは交代した2人にしてみれば大きく評価を下げた通告でもあった。そして戦況もこれによって幾分改善されるようになっていった。が、それでもやはり有効な攻撃に至らない。ブロックを敷いたガンバは余裕を持って守っている。そんなブロック網を突き崩すべくDFから上がった佐々木が裏への浮き球を入れる。これに満田が飛び出したものの足に当たらない。いや、それはもっと足を伸ばせば当たったはずだ。タイミングはあってただけにボールに触れることすらできなかったとこに満田の限界を感じた。あれを決めなかったら絶対に決めることはできない。攻撃のキーマンとなってただけに交代を告げられたのは本人も痛手だったろう。今までが好調だっただけにこの1試合でその印象が薄らいでしまったのは否めなかった。

 そして東、松本も抜け、柴崎、柏、青山が入る。するとヴィエイラが前線でボールを収めナスがボールを運んでいく。それが攻撃の活性化につながりゴールへと向かっていく。だが崩せない。ゴール前を固められるとものの見事に守られてしまう。そして引きこまれた時の定石で塩谷のミドルシュートは力無くGK東口が余裕でキャッチ。CKからの荒木のヘッドがあるも枠の外。入らない。まるで決めることができない。それはガンバが3分の内に2点取った攻撃の鋭さとは対照的だった。

 そんな攻めあぐねに余裕のあるガンバは更に3点目を狙いにくる。前からのプレスはいとも簡単にかわされゴールまで迫ってくる。やっとのとこで掻き出すもCK。これは何とか防いだもののヴィエイラが倒れたまま起き上がれない。このCKの時、ゴール前の混戦に身体を倒してきた昌子が脚に乗っかってきたのだった。故意ではないかもしれないがあの状態で倒れて来られると事故が起こるのは明白だった。故意ではないとはいえカードも何もない。そして故意ではないとはいえこの後昌子は笑ってプレーしていた。対するヴィエイラはこの負傷でリタイアしてしまったというのに。既に交代枠を使い切ったサンフレッチェは1人少ない状態で戦わなくてはいけなくなった。

 もうこの時点で試合は終わったようなものだろう。それでも点を取りに行く姿勢を止めることはない。ナスは相手のパスミスを拾うとゴールへ向かって突き進む。まさに決定的チャンスだったものを倉田がファールで止めた。100%故意によるタックルで止めて潰されたにも関わらず掲げられたのはイエローカードだった。もはや審判もガンバの味方をしてしまってるようだ。そんな中よく戦ってる。最後の最後まで諦めない選手達の姿勢には尊敬の念すら覚えた。

 このまま2-0での敗戦する。ヴィエイラという得点源を失いサントスの得点の可能性のなさに先行きに不安が募った。トップで点を取る選手がいない。いっそのことゼロトップを試してみるべきではなかろうか。

 手も足も出なかった試合を後に、もしかして今までが上手くいきすぎてただけなんだろうかとただただ打ちのめされた感覚だけが残るのだった。

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