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柏戦~解消されない課題

2022年5月3日 サンフレッチェ広島 vs 柏レイソル エディオンスタジアム広島


 突き刺すような日差しは体温の高さを招き、上着はとても着ていられなくなってしまった。その気温に対して少々大袈裟な格好をしてしまったのは朝が寒かったからであるが、この寒暖差の激しさはこの時期特有のものかもしれない。

 そんな座ってても汗ばむような気温でありながら山の方からの風が吹き込んでくる。ボールの軌道に影響しそうなその大気の流れは試合にどういった結果をもたらせるのか。そんな予測をしつつも試合が始まると選手はいつもながらのハイプレスで運動量を高めるのだった。

 ところがボールはレイソルが支配してしまってる。迫り来るレイソルの攻撃はクリアするのが精一杯。この一方的な展開にもどかしさを覚えながらも愚直なまでに続けるゲーゲンプレスはいつしかボールを収めることができ、相手ゴールへ迫るとこまでいくのだった。そしてゴール前の混戦、ごちゃごちゃっと入り乱れると最後にレイソルゴールに押し込んだ。途端に走り出すサンフレッチェの選手の先頭にサントスがいた。ああ、サントスが決めたんだ。サントスの今シーズンのリーグ戦初ゴールという縁起のいいものを早くも魅せてくれたのだった。

 これにより勢いづいたサンフレッチェ。次々に波状攻撃を掛けていきレイソルゴールを脅かす。左サイドからは柏が仕掛け2人目、3人目の攻撃で相手の裏を突きゴールに迫る。ただ、これが入らない。打てども打てども入らないのはもはやサンフレッチェの宿命だろうか。結局このまま1点差のままハーフタイムを迎える。圧倒的有利な展開でありながらもやはり得点力のなさは解消されてない。それでもまだ勝ってるから気分は悪くない。このまま後半も同じペースで続けていってもらいたい。

 後半、当然のとこながらレイソルのプレスは強まる。トップのサントスへは2人掛かりで潰しに来る。粘るサントス。するとフィジカルの強さと巧みな足わざで抜け出す。それがスイッチとなり攻撃が前掛かりになると再びレイソルゴールに襲い掛かる。森島がミドルシュートを狙うもGKパンチング。それによりCK。森島のキックは精度が悪く難なくクリア。何度かあったセットプレーも森島はみんなニアの1番近い相手選手足元に当てている。風のせいだろうか。いずれにせよそのせいで攻めてはいるもののやはりゴールが入らないのだった。

 それでも押してるだけにメンバー交代にはいかない。そして先に動いたのはレイソルで2枚替え。ただそれくらいで戦況が変わる訳がない、それが甘い希望的観測でしかないということに思い知らされるのだった。

 ボールの回収率がレイソルの方が上回ってくる。どうしてこんなにボールが奪えないんだ。サンフレッチェも交代すべきでは。そんなことを考えていたらカウンターが入り、中央を破られる。ゴール真正面からシュート。弾丸のようなボールがゴールに打ち込まれてしまったのだった。

 やられた。これを機に2人の交代に入ったものの遅過ぎる。事実、この後ある程度持ち直したことでスキッベ監督の判断の遅さが招いたと言わざるをえなかった。だがこの後、右サイドに移った柏が追い込まれ、バックパスで逃げようとするもそれを掻っ攫われてしまいそのままゴールにぶち込まれてしまう。ああ、なんて不用意なプレー。こんなんで失点してしまうのかよと腰をガクッと落としてしまうのだった。

 トップをサントスからベン・カリファに代え、前半から飛ばしてた満田、森島、藤井を下げてフレッシュな選手を入れたつもりだったろうが、よりによって残した柏の不用意なプレーで逆転された。やはり外れてる。この日のスキッベ監督の采配は悉く外れているのだった。

 そしてもっと外れてるのが審判のジャッジだった。レイソル側の副審はラインアウトのボールに旗を上げない。CKをゴールキックと表示する。ペナルティエリアで満田が倒されたシーンではまるで知らん顔。本当にプロの審判かよ、アルバイトじゃないか。ぼくの座席の後ろからはそんな会話が聞き取れるのだった。

 そんな疑念を抱えてしまってるがため、もはや審判への信頼は無くなってしまっていた。圧倒的な柏レイソルの猛攻に一点の隙を見つけ前線に一本、ベン・カリファにパスが通りミドルシュートを決めた際にはオフサイドの判定。それには本当かよと副審に厳しい眼を向けてしまう。しょうがない、あまりにも不安定なジャッジを繰り返していたのだから。

 最後の最後、CK。もはやこれがラストプレー。GK大迫までゴール前に上がる。だがこれもブロックされ、あえなくタイムアップ。善戦はしたものの1-2の逆転負けで終わってしまったのだった。

 敗因は同点にされるまでの交代の遅さだった。そして逆転弾を食う決定的なミスパスを出した柏を最後まで使ったこと。それら監督の采配ミスもあったもののやはり最後は決定力不足に尽きるのではないだろうか。前半にあった再三のチャンス。その内のどれかを決めていれば。レイソルがあまりにも簡単に得点を重ねていったが為に何であそこまで攻め込んでゴールが割れないのか不思議でしょうがないのだった。

 そこはゴール前での精度。そして打つべき場面で無駄にワントラップ多くしてしまったりと理由は幾らでも見つかる。だがそれらの要素は皆城福監督時代にも指摘されたことだけに未だに解消されないことに暗澹たる想いになるのだった。

 眩しいくらいの日差しが落ちていく中、これから東京行きの夜行バスを待つ。気温はみるみる下がっていくことによって気候が敗戦の心境に同化していったのだった。

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