城福監督退任

 シーズン残り5試合を残して城福監督の退任が決まった。勝てない時期が続き散々批判もしてきたものの、いざいなくなると思うと寂しいものがある。それもこの監督の持ってる熱さのなせる業だったかもしれない。
 2018年の就任発表には誰もが意表を突かれた。前年の残留争いに見事生き残ってみせたヨンソン監督がそのまま就任するとばかり思ってたもののいつまで経っても正式発表がなく、結果的に誰も予想しなかった人事となったのである。FC東京、ヴァンフォーレ甲府と実績を重ねてきた人だがあまりにもサンフレッチェのイメージとはかけ離れ、疑いの眼の方が大きかったような気がする。
 そんな周囲の懐疑の眼にも関わらずチームは連勝を重ねリーグ単独トップ。その快進撃には大きな衝撃を与えた。あの時はよくぞこの監督を選んでくれたとフロントを喝采したものであった。
 しかし、問題はリーグ終盤にかけてだった。あれだけ首位を独走していたのに一旦負けが込むと本当に勝てなくなりあれよあれよと首位を奪われてしまう。そして最終戦かろうじて札幌に引き分けることで2位の順位だけは確保することができた。上位ではあるもののあまりにも苦い記憶として刻まれる。
 そもそも城福監督はどのチームに行っても最初はいいが段々と停滞していくという特徴があった。それはサンフレッチェでも例外ではなく、何らかの戦術の変更を必要だった。それなのに開幕から通してきた4バックを頑なに貫き通す。そしてどのチームにも同じように対策され同じように負けていく。元々が3バックだったチームなのにそこを変えないというのは頑固というか融通が利かないというか表現に迷うところだった。
 そして4年間指揮してきたチームでは年を追うごとに順位を落としていく。いつもシーズン初めはいいのだが結果的によかったのは最初だけ。3バックで上手くいかないので試合中4バックに変更するという柔軟性がない。その辺が相手にとっては簡単に攻略できてしまう。どちらも経験済みのフォーメーションでありそれに相応した選手も揃えてるはずなのにそれができないというのが不思議でしょうがなかった。
 それでも功績はあった。カップ戦に若手を使うことでそこで結果を出した選手をどんどんリーグ戦へと抜擢する。これが功を奏して森島、荒木、藤井、大迫、東が主力へのし上がっていった。その成功体験から今シーズンも長沼、鮎川、土肥辺りを使っていくものの思ったような成果が上げられない。更に飛躍したと思ってた大迫はゲームの流れを読めない致命的なミスを連発してついにはスタメンを林に明け渡してしまうようになり、森島は怪我で悩まされるようになっていった。こうなるとせっかくの積み上げも朧げになってきてしまったのだった。
 そして決定的だったのは仙台に手も足も出せず負けたことである。同じ相手に1分3敗。しかも毎回同じパターンで同じようにやられたことに修正能力のなさを露呈してしまった。その試合をもって今期の残留が決まったことで見切りをつけたという形だろう。せめてシーズンは全うさせていいような気もするが、退任が決まった状態で指揮するというのはモチベーション的に難しいものがあるので致し方ない処置とも思えるのだった。
 こういう形での退任となり、城福さんの今後の監督としてのキャリアはどうなるのだろうと心配にもなった。だがそれ以上に気掛かりなのは残された選手である。特に若手の中には城福さんだから出場させてもらってた選手もいた。新監督が来た場合、実績として数字を残してない選手はまず使われないと考えた方がいい。
 そういう意味で残り5試合で個々の選手は実績を残さないといけない。それにより自身のプロとしてのキャリアに大きく影響してくるかもしれなく、より一層の激しい戦いが要求されるのだった。

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