川崎戦~同じ失点、同じ負け方

2022年3月19日 サンフレッチェ広島 vs 川崎フロンターレ エディオンスタジアム広島

 春の明るさがありながらも雨が降り注ぐ。それほどの寒さはないものの屋根のないスタジアムは観客の足を遠のかせていた。ただでさえ集客に苦しむのに入場制限が消えてないことに改めて違和感を感じるのだった。
 スキッベ監督の2戦目。メンバーは変わらない。先制点が取れない。一瞬の隙でやられる。善戦しつつも勝つことができない。果たしてこの課題にどれだけの改善がみれるか。昨シーズンの王者、今シーズン初勝利を願うには厳しい相手であった。
 雨に濡れながらのキックオフは早々に川崎ボールへと代わってしまいやはり防戦一報になる展開なのだろうかと苦行を耐える心構えを始める。ボールホルダーに対して高い位置からプレスをしていくも、軽くいなされるんだと思った。が、意外にも簡単に交わされることもなくビルドアップにもたつきを与えた。そこで余裕を得たつもりでいたら一気に縦へ抜けていく。DFが食らいつくも逆サイドのスペースへ。そこに駆け上がった選手がシュート。GK林がストップしたものの、やはり一瞬で打開してくるのだった。
 やはり早いうちに先制したい。プレスを高めボールを回収すると左サイドの満田が高い位置で受ける。相手のプレッシャーに後ろを向くもバックパスに逃げず切り抜けた。縦へ抜ける、抜ける。それに連動して攻撃陣が前掛かりになると逆サイドの藤井からクロス。ゴール前を越えると待ち構えてた満田のシュート。GKが収めるもファンブル。勢いのあるボールはそのままゴールに転がったものの最後の最後に谷口にクリアされてしまった。惜しい。あと10センチ。あと10センチの差でゴールできなかった。
 その後も左サイド藤井が受けると縦へのスピードでクロス。サントスが入るもヒットしない。ペナルティエリア前での浮き球を浅野がトラップと共に反転シュート。枠に入ったもののGKキャッチ。そして左からの展開に藤井がシュートも枠に飛ばず点が入らない。入らない、入らない。いい攻撃はしているものの相変わらず点が入らないのだった。
 ほぼ一方的に押し進め前半だけで11本のシュート。それなのに点が決まらない。ここまでの流れ、これって前節と同じではないか。後半になって立て続けに続いた失点。そんな嫌な記憶が蘇ったものの、まだ序盤は前半の勢いは感じられることができた。が、メンバーを3人交代すると全くボールが奪えなくなってしまう。そして効率よく前線に運ばれてしまう。ただそれでもまだ余裕があったのは前半の優勢さが余韻として残っていたからだった。
 スルーパスへの飛び出しに荒木が対応しCKに逃げる。このスコアレスの状態を後数分続けられれば川崎も交代の活力をなくしていくだろう。その為にもこのセットプレーは凌ぎたい。そう思った矢先だった、コーナーから蹴り込まれたボールは速い速度で向かってくると次の瞬間にはゴールに入っていたのだった。ああ、やられた。だが後でリプレイで見ると野上のオウンゴールだった。セットプレーでオウンゴール。あまりにも辛い失点に愕然となるのだった。
 何とか追いつきたい。だが流石にこのゴールは今まで保ってた均衡を崩してしまった感がある。川崎はプレーの端々に余裕を感じさせる。ボールの奪えないサンフレッチェ。そしてサイドからボールを運ばれるとペナルティエリアの中へ。折り返しからのシュートに反応しGK林が止めた。が、そのこぼれを詰めてシュート。見事ゴールネットに叩き込まれてしまった。2失点目。もはやこれで勝負あった。点の取れないチームにとって2点というのはもはや天文学的スコアの差であったのだった。
 セットプレーでやられ、相手の速い攻撃に少ない人数により効率的に追加点を決められる。これは正しく前節と同じパターンだった。それならばせめて前節と同じように1点だけでも返したい。そこで鮎川がサントスに代わって入る。それにより相手を押し込めるとこまではいく。だけど最後が崩せない。人数を掛けたゴール前の守備を崩せないのだけは監督が変わろうが選手が変わろうが変わらないこのチームの伝統である。その癖ボールを大事にするあまり手数を掛けすぎて守備の陣形を整える時間を与えてしまう。同じことの繰り返し。だが一つだけ前節と同じではないことがあった。それは最後まで得点を返すことができなかったこと。つまりは2点差のまま、このまま試合を終わらせてしまったことだった。
 勝てない。勝てない、勝てない、勝てない。そもそもがゴールが奪えない。浅野は単独で中盤からボールを持ち上がる場面を何度かつくった。森島も効果的にパスを散らせて活性化させた。サントスもテクニカルなボールキープと前からの守備をする献身性を見せた。だが皆シュートを決めることができない。森島に至ってはシュートすら打てなかった。前線の3人が決めれない中で一体誰が決めればいいんだろう。
 最後の最後になってCBの住吉を前線に入れるという力技をしようとしたものの、ほとんどボールをさわれないまま終わった。どこをどうしたらいいかわからない。相手を圧倒しつつも決めきれない前半は相手に守備への自信を与えただけだった。そしてそのことが後半相手に勢いを与えている。満田のシュートが決まっていれば結果は違っていただろう。あと10センチが足りなかった。その後10センチの差が何万光年先のように遠く感じられてしまう。一体このチームは誰が点を取る役目になってるんだろう。
 結果が徐々に悪くなっている。攻めて攻めて攻めまくった挙句相手の効率良い得点によってやられる。少なくともこの流れを断ち切りたい。攻めてる時に決めたい。チームの中に決め切れる選手が一人もいないというのはまさにミステリーでしかないのだった。

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