京都戦~拭えない決定力不足

2023年9月23日 京都サンガF.C. vs サンフレッチェ広島 サンガスタジアム by KYOSERA


 9月も後半が過ぎ流石に日が落ちると涼しさを感じるようになった。暑さがない。それは本来のスタイルであるハイプレスをやりやすい気候とも言える。そしてそんな試合に満田をアタッカーの位置まで上げボランチを川村、野津田を置き、左ストッパーに体調不良の佐々木に代わり東が入るのだった。東にしてみれば久々のスタメン、アピールのチャンスである。本来中盤の選手であるがそれ故に攻撃面でのアクセントを見せたいとこだった。

 照明が落とされスタンドではペンライトが揺らめく中での選手入場。最初から飛ばしていく。相手を押し込む。そんなパフォーマンスを期待するとキックオフから前線の選手はトップスピードで走り込んだ。ボールを追い、プレッシャーを掛け外されても2度追い、3度追いを繰り返す。愚直とも言える程のプレッシングは京都に時間を与えない。が、マイボールにしてからは京都も同様に高い運動量で追い込んできた。お互いハイプレッシャーを繰り広げる。それにより目まぐるしい展開が続くのだった。

 サンフレッチェがチャンスシーンを迎えれば決めきれなかったことで反転される。高い位置で潰そうとすればする程裏返される。そして左サイドから抉られゴール前へ入れられる。全速力での帰陣によりゴール前へ人数をかけることによって相手のシュートが枠を逸れる。だが危なかった。一見どちらにもチャンスがあったように見えながらサンフレッチェの方が崩された感じがするのだった。

 それでも先制すれば精神的にも優位に立てる。相手が攻めることで防げばカウンターに繋げられる。トップのピエロスに収まりそのまま縦へ持ち運ぶ。右サイドのスペースへ出すと中野が追いつき縦へ抜ける。ペナルティエリアに入るとシュート。が、枠に入らない。この後も中野は決定的シーンに遭遇しながらも決めることができない。右サイドからのビルドアップに参加し最近では縦へ勝負するようにもなった。そしてクロスも鋭いのを蹴ってくる。だがシュートだけは入らない。あらゆる能力を持ちながらもシュートだけは欠落してるのだった。

 それだけにトップのピエロスに決めて欲しいものの京都のアグレッシブな守備はフリーにさせてもらえない。それだけにシャドーに入った満田がミドルシュートを放つ。が、これがことごとくGKク・ソンユンにセーブされてしまう。シュートは打ってるもののDFに上手くコースを限定されているのだった。

 運動量の多い前半。だがシュート数は明らかに上回っていた。それでいて少ないチャンスを活かしたという印象では京都の方がインパクトが大きい。ある意味シュートを打たされてるとも言えなくもない。それだけに壁を突き崩すあとひと突きが欲しい。その為の切り札、マルコス・ジュニオールが後半に入るのだった。

 ところがその後半開始早々京都のスローイン。これを大きく縦に出されると裏へ抜けられる。荒木が追いかけるも完全に後手に回る。ゴーララインまで抉られ折り返し。これに東と川村がチェックにいくも落とされる。走り込んだ豊川がダイレクトシュート。ゴールに向かった真っ直ぐな弾道。GK大迫飛びつくも触れず。ゴールに打ち込まれてしまったのだった。

 失点。ギアを上げる為の交代をした直後だったものの決めたのは相手の方だった。なぜか守備にポッカリ空いたような瞬間が訪れる。そしてその全てが左サイドから崩される。左サイド、それは東のポジションだった。今までも何度かDFでの起用はあった。その時はそれなりにこなしていたと思った。だが今回は明らかに穴になっていた。京都に狙い撃ちされていたのだった。

 追い上げたい。その為にピエロス、中野を下げヴィエイラ、エゼキエウが入る。前線にブラジル人トリオを揃えることで活性化を試みる。トップでヴィエイラが収めエゼキエウがドリブルでアクセントを与える。そしてマルコスにフィニッシュに行ってもらおうとするもそこは寄せが速く打てず落とすと左右に散らす。クロスを入れる。跳ね返される。ショートパスで中央を崩す。GKのセーブに遇う。そして相手のビルドアップの間隙をついて高い位置で奪うとヴィエイラのシュート。が、これをGKにぶち当てるとリフレクションをマルコスがループシュート。これもGKにキャッチされてしまう。ああ、ヴィエイラだけじゃなくマルコスまで。なぜにサンフレッチェの選手はこんなにもシュートが下手なんだろう。本来上手い選手でもサンフレッチェに来ると入らなくなるのだろうかとマルコスが決定的シュートを決められなかったところで思ってしまったのだった。

 CKを蹴っても競り勝てない。FKを蹴れば壁にぶち当ててしまう。入らない。何をどうやろうと入らないのだった。すると京都は息を吹き返し攻勢に出るようになる。まずい、2点目を食らうと致命的だ。チームの重心を下げ守備に徹する。点を取らなければいけないのに守備の時間が続く。が、相手の攻撃を食い止め一本のロングフィードが出るとそれに志知追いつく。ゴール向かって突き進む。DFと競り合いながらもボックスに入ってシュート。ネットは揺れた。が、サイドネット。入らない。やはり枠に入らないのだった。

 この後も満田がゴールを横切るグラウンダーを放てば誰も飛び込めない。シュートを打てばふかしてしまう。そして川村がペナルティエリアまで飛び出しクロスを放つもゴールラインを割ってしまう。精度がない。最後の精度がなさすぎる。ああ、この台詞また言わないといけないのか。加藤やマルコスといったアタッカーが加入したことによって解消されたかと思った課題はちっとも解決されてはいないのだった。

 刻々と過ぎ去っていく時間。焦れば焦るほど雑なプレーが多くなり最後はGK大迫のロングキックで一発を狙うようになる。ヴィエイラがいるせいか一応はマイボールにはできる。が、最後はクリアされてしまう。最後が押し切ることができない。人数をかけた守備を突き崩すことができない。かくしてずっと抱えていた課題を再露呈する形となりそのままタイムアップの笛を聴くことになる。1-0、京都が少ないチャンスを効率よく決め切り逃げ切られてしまったのだった。

 一番苦手な展開に持ち込まれてしまった。先制されそのまま守備固め。いつもこういう戦法にやられてしまう。加藤、マルコスが入っても突き破ることができない。結果的にシュート22本打ったが一つも決め切ることができなかった。一体こういう相手にどうやって勝てばいいんだろう。調子が上向いて来ればくる程守備固めをされて苦手な戦いをさせられる。すると決まってラストプレーの精度が落ちてしまう。そしてシュートは入らなくなる。何度こういう光景を観てきたことだろうか。

 そして東のDF起用が穴となりボランチの川村も相手の攻撃を止めることができなかった。やはり上位進出には無理があるんだろうか。そこに落胆しながらも失望感は意外と低かった。それは最後の最後まで走った運動量の多さによるものが多かった。

 それでもやはり勝ちたかった。いい時間に確実に仕留めたかった。決定力、決定力。今シーズン、やはりこの課題には悩み続けなければいけないようなのだった。

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