天皇杯2回戦~想定以上の大勝

2024年6月12日 天皇杯 JFA 全日本サッカー選手権大会 2回戦 サンフレッチェ広島 vs FCバレイン下関 福山通運ローズスタジアム


 おこしやす京都び1-5の敗戦。

 天皇杯で下部カテゴリーとの試合となると絶対に頭をよぎる過去戦績である。選手層を厚くする為にはターンオーバーはしたい。だけどそれをやるととんでもない痛手を被るのでは。そんな疑念で揺れ動くもののスキッベ監督は全選手入れ替えを取ってきたのだった。

 ただそうはいっても満田、ヴィエイラ、野津田という実績はあるがチーム事情で出場が制限された選手もいる。更に柏、青山といった実績のあるベテランもいる。その為試験的な出場はシャドーの小原、CBの細谷、松本大哉といったとこだろう。彼らにとってはここで結果を出さないと本当に出場の目処が立たないのだった。

 まだ明るくはあるが日が徐々に傾きかけ選手が入場してくる。青山の久々の公式戦出場に胸が熱くなる。相手はこの一戦に賭けてくるだろう。速さと当たりの強さは覚悟しないといけないかもしれない。そんな中で福山の陸上競技場での試合が始まった。

 トップにヴィエイラがいることは懸念事項だった。この前途中交代で出場はしたものの動きは緩慢でボールの収まりはなかった。怪我が多くやはりもうプロとしては厳しいかもしれない。そしてトップが駄目だと点を取るのは難しい。だがこのヴィエイラがペナルティエリアに入る動きを見せると倒された。PK。そしてこのPKをヴィエイラ自ら蹴るのだった。

 さすがにこれは簡単に決める。プレーを不安視しながらもPKだけは安心感がある。そしてこのゴールが皮切りとなってゴールラッシュが始まるのだった。

 これまで出場機会をもらいつつも全くアピールできなかった小原が2点目を決めた。ゴール前で後は入れるだけというシーンにありながらシュートすら打てなかったというのを2回もやっただけにもはこの選手は枠には期待をしてなかった。それを決めたのはちょっとした驚きだった。

 そしてこれに続くように満田が決める。今シーズンPKによる1点だけだった為に嬉しさとホッとした安堵感の入り混じったものが湧き出る。ただこの後失点したことにより兜の緒を締め直すとアディショナルタイムにヴィエイラがまた決めた。前半の内に3点差をつけたと思ったらその直後に満田がまたしても決める。それにより前半5-1というスコアで折り返すことができたのだった。

 もはやこうなると後半この得点をどれだけ伸ばすかの結果を出す場となってくる。すると後開始6分で小原が決めた。その後しばらくゴールがなく停滞するのかと思ったらヴィエイラが決めハットトリックである。ここでもうヴィエイラと満田は役割を終えたという判断の下、エゼキエウとマルコスに交代するといきなりマルコスが決めた。さすがに5部のチーム相手にマルコスは格が違いすぎるのだった。

 ところがこの後ゴールの奪えないまま時間が経っていくとまたしても失点。ゴールラッシュに浮かれてばかりはいられない。これだけ押した試合をしていながらも相手に失点を許す守備には厳しい眼を向けざるを得ない。DFだけの問題ではなくチームとしても穴があったのだろう。

 そんなちょっとしたノイズのような感情が入る中、それを打ち破ったのは小原だった。9点目を決め本人もハットトリックである。そしてこのゴールによりアクセルが踏まれたかのように青山がミドルシュートを決める。公式戦3年ぶりのゴールである。これが観れただけでもこのスタジアムに来たサポーターは良かったのではないだろうか。

 残り時間も少なくなり前後半同じスコアで終わるかと思いきやここでエゼキエウが決める。締めて11-2。圧倒的な力の差を見せつけて2回戦を制したのだった。

 この試合での収穫は何といっても出場機会を与えての圧勝である。それぞれのポジションでのバックアップは必要である。そして途中から出て点を取る役目のジョーカーが今のところ存在しない。ヴィエイラと満田は早々に交代を告げられたということはある程度評価されたということだろう。そして小原も終了間近にベンチに下げられたということは次の試合でのメンバー選考に入ったかもしれない。

 当たり前の結果かもしれないがそれでも公式戦である。当たり前の結果を出すことによって信頼を積み重ねていくことができる。そして勝ち上がることで試合が増えて出場のチャンスは広がる。果たしてこれを機会に何人の選手がリーグ戦に名乗りを上げていくのか期待したいところだった。

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