名古屋戦~無惨なる敗戦

2024年5月6日 サンフレッチェ広島 vs 名古屋グランパス エディオンピースウィング広島


 それは開始2分ことだった。GK大迫へのバックパスは佐々木へとリターンされるとこれをトラップミス。その隙をプレスに入られたまらずしたバックパスはGK大迫にパトリックに詰められることにより掻っ攫われそのままゴールに流し込まれる。失点、あまりにも早い失点だった。そしてそれはあまりにも安い失点でもあった。

 このような安直な失点は一昨年のルヴァンカップ決勝でもやってしまった。同じような失敗を繰り返す。あの時も大迫と佐々木の関係だった。失敗が糧になってない。いやむしろこんな開始早々にやらかしてしまうところは退化と見ていいかもしれないのだった。

 点の取れないチームが早くも追う展開になってしまった。それだけで絶望的な気分である。だがその絶望感に拍車を掛けたのは森島の浮き球に対して稲垣の飛び出し。そのままファーサイドへのふわりとししたシュート。GK大迫が懸命に手を伸ばすもかすることすらできないで決めてしまったのだった。

 2失点目。どうしちゃったんだろう。確かにパスは上手かった。だけどあまりにも簡単に決められた。得点力のないチームにとって2失点というのはもはや終わりである。この時点でもはや諦めてしまった。

 ゴール前を固めた相手を崩しきれない。左右にボールを回しながらただ無意に時間だけが過ぎていく。そんな様相を呈していたもののCKを得るもいつもの如く弾き飛ばされる。が、越道が拾うと出しどころがなく中央へドリブル。パスコースを切ろうと追い掛ける名古屋の守備。ここで越道は打った。スルスルスルと地を這うボール。それがGKランゲラックの逆を突きゴールの隅に入ったのだった。

 決まった、決まった、決まった。越道初ゴール。吠える越道。それに釣られてこちらも吠えそうになる。思わぬタイミングによる思わぬ選手のゴール。この1点は大きい。2点差は絶望であるが1点差は希望が見える。追いつける、追いつける、追いつけ。俄然生気が舞い戻り血流の温度が高まるのだった。

 気運が高まっただけに前半の内に追いつきたかったがそれはできなかった。早く追いつきたい。その為にハーフタイムで松本泰志に代え切り札であるマルコス・ジュニオールを入れる。違いをつくれる選手。ここから追い上げに向かう。

 前掛かりに攻める。ゴール前にブロックをつくった名古屋。マルコスがバイタルエリアで受けると食いつく。そこで中央へライナー性のボールを流すと中野が受ける。ボールがホイップするとコントロールせずにボレーシュート。密集した名古屋のDFをものともせずゴールに突き刺さったのだった。

 決まった、決まった、決まった。追いついた。まさかまさかの2点差の追い上げだ。これは大きい。越道が決め中野が決める。共にサイドの選手が決めたのは驚きであり僥倖であった。これで本来の点を取るべき選手が仕事をしてくれれば出し抜くことができる。いける、いける。追いついた方が勢いがあり有利。今日こそは勝つぞ。そんな気概に包まれるのだった。

 左右からクロスが上がる。だがどれもクリアされる。そしてボックス内からマルコスがシュート。これもGKランゲラックのセーブ。シュートは打つ。FKでのセットプレーもある。でも決まらない。圧倒的にボールを支配しながらも決め切ることができないと名古屋に守備のリズムが生まれる。いや、これはいつもの光景。なぜかこちらが攻めてるのに相手にコントロールされてるような感覚。すると時間の経過と共に本当に名古屋はこのゲームの締めに入るのだった。

 相変わらず入らないシュート。それが名古屋に自信を持たせ途中投入のユンカーが中盤で溜める。その落としから椎橋のパスがスピードスターの永井に渡るとそのままゴールに向かいシュート。塩谷ブロックで跳ね返る。が、そのセカンドボールに反応したユンカーがシュート。佐々木のブロックに遭いながらも見事なループシュートとなりゴールに吸い込まれてしまったのだった。呆気ない、呆気ない失点だった。

 せめて追いつきたい。今期まだ負けてないというのが唯一のプライドだった。波状攻撃を仕掛ける。だけどどれも直線的でまるで相手に守備練習でもさせてるかのような攻撃しかできない。打てども打てども入らないシュートはいつもの光景ながらも時間の経過と共に悲痛さを感じるようになった。そしてそれはタイムアップを迎えると今シーズン初の敗北を喫したのだった。

 後味の悪い敗戦だった。前節も後味の悪い引き分けをして気合いに満ちてるかと思ったらすっぽ抜けたような失点をやらかしてしまい追加点も簡単に与えてしまった。そして尚も点の取れない攻撃陣。やはり前線では大橋しか点の取れる選手がいないことを露呈してしまった。

 昨シーズン、満田がいなくなって瞬間勝てなくなったが今シーズンは大橋、川村がいなくなって勝てなくなった。どうしてここまで選手層が薄いんだろう。出場のチャンスに結果を出してアピールしようとする選手はいないんだろうか。

 たった一人や二人の選手がいないだけでここまで弱体化するとは。こういうことも含めてどうして毎年毎年同じことを繰り返してしまうのだろう。さすがにこのショックの大きさは尋常ではないものがあるのだった。

 

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