セレッソ戦~予定調和的な引き分け

2024年5月26日 セレッソ大阪 vs サンフレッチェ広島 ヨドコウ桜スタジアム


 セレッソに所属していた加藤がトップに入った。それ以外は前試合と同じスタメン。ただ、その中に新井、松本泰志もセレッソに所属していたことから因縁めいたものを感じる。それでなくてもセレッソとは毎回接戦になる上に今回は勝ち点も1差しかない。この試合、勝った方が上を目指すことができる。順位的にもそんな様相を呈していたのだった。

 暑い日差しの中試合は始まった。立ち上がりからプレスを仕掛ける。前から前からボールへの寄せを行いパスの出所をなくす。それによりGKからのロングフィードを繰り出すものの全て佐々木が跳ね返してしまう。そしてそのセカンドボールを収めて前を向く。危うい場面はつくりだしてない。あとは決めるだけ。ところが有利な場面をつくりだしてるように見えてやはり決めきれないのだった。

 左サイド東が受ければそのまま持ち上がりクロス。いい軌道はしているもののDFに触られる。だが逆サイドから入って来た新井が拾い威力のあるシュート。が、これもDFが当てることにより枠を外れる。それでもCK。新井が蹴ると佐々木が当てる。が、GK真正面。最後の最後が決まらない。どことなくこの時点で感じるようになる。いい攻撃はしてるのに点が入らない流れ。シュートは打ってるのに決まらない。CKもあるのに活かせない。そして引き分けた試合が何試合あるか。このまま点が入らないと絶対にそうなってしまうような気がした。

 それでもこの試合は大橋がいる。何度かボックスに入る動きは見せている。そして泰志がペナルティエリアで縦に抉りマイナス。マークに入ったDFも捕まえきれず大橋の下へ。が、DFの足に当たったことで軌道がズレると大橋のシュートはジャストミートできず。そのままGKキムジンヒョンの掌に収まってしまうのだった。

 ああ、大橋までもが。ゴール前数メートルというとこまで来ておきながら決めきれない。この決定力のお陰で相手は余裕を持って守備に構えることができる。このままスコアレスのまま前半を終えると後半は相手の流れになってしまう。取れる時に取れ、取れる時に。が、結局ゴールを割ることはできずこのままハーフタイムを迎える。セレッソに思い入れのある泰志も新井もある程度は存在を見せつけた。が、加藤は希薄だった。それもそのはず、トップに入ってるにも関わらずシュートすら打ってないのである。セレッソから電撃移籍した当初はサンフレッチェにとって希少なアタッカーが入ったことで歓喜したが当時期待した結果はちっとも残してないのだった。

 後半の交代はなし。押していたのだから確かに替える必要はない。ただ本当に前半のペースが続くのだろうか。勢いを殺さない為にも後半の入りも強くいきたい。

 すると高い強度のプレスが続くことで主導権を引き寄せる。そして右のスペースに出ると新井にミドルシュート。強烈なグラウンダーがコースぎりぎりに飛ぶ。GKキムジンヒョンが飛びファインセーブ。が、CKを得た。このCKを新井自らが蹴ると中央の山を越えたところで荒木。真正面で捉えたボールをゴールに叩き込んだのだった。

 決まった、決まった、決まった。荒木今シーズン2点目。そしてそのCKを蹴ったのは新井。自ら得たCKを自ら決めた。新井が蹴るようになって2点目である。ちっとも入らなかったサンフレッチェのセットプレーに光を差したのだった。

 ただ、ここで相手の尻に火の付くと押し込まれてしまうのがサンフレッチェである。なのでせめて5分持ちこたえてほしい。5分我慢しろ。そうすれば戦況は落ち着くはず。セレッソが前への圧力を高めるとラインは下がり後ろに重たくなる。サイドからクルークスやルーカスフェルナンデスがキレのあるドリブルで仕掛けてくる。こういうとこがパス一辺倒のサンフレッチェと違う。個による崩しと共に連動した動きを織り交ぜて来て捕まえきれない。それでも5分は凌ぐことができた。そして相手が前掛かりになってる分カウンターも効いてくる。最終ラインの裏にボールが出て泰志が抜け出した。飛び出すGKジンヒョン。泰志のシュート。が、これをGKジンヒョンに当ててしまい決めることができないのだった。

 ああ、まただ。泰志のシュートはいつも入らない。バーに当てたりGKにブロックされたり。ゴールの目の前に入りながらも決めきれない。こういう攻撃的なポジションの選手に決定力がないせいでいつも勝ち点を逃してしまう。これさえ決めれば試合を制することはできた。だけど決まらないものだからセレッソは息を吹き返してしまった。

 パスがフリーの選手に行き渡る。そこをアタックしても個で剥がされることで余計に前進させてしまう。後追いの展開になりクリアがCKとなってしまう。立て続けのCK。こうやって続くとその内やられそうだと思ったらやられた。ファーに向かったボール。GK大迫触ることができず抜けたボールを西尾が押し込んだ。せっかくの先制を振り出しに戻してしまったのだった。

 もはや疲労からか中盤でのプレスも掛からなくなってしまった。早目に選手交代をしたい。が、動かず押し込まれる状況が続く。加藤が負傷したことでやっと満田が入るも戦況は変わらずボールが持てない。そしてヴィエイラ、越道と入れるも大したカンフル剤にもならない。遅すぎた。交代するのが遅すぎた。そのせいで交代で入った選手がまるで試合に入らないまま守ってばかりとなってしまうのだった。

 そしてこのままタイムアップ。なんか最後は攻められっぱなしだった。CKに関しては相手は色んなところにボールを蹴ってきて的を絞れないがサンフレッチェはワンパターンである。そしてせっかくの先制点を守りきれない。まるで引き分けに帳尻合わせしてるかのようである。

 アタッカー陣が点が取れない。相手の勢いに飲まれる。結果1点を守り切ることができない。同じ事を繰り返しに暗澹たるものを感じる。負けなかったからよかったとすべきかもしれないが、とてもそんな気分にはなれないのだった。

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