鳥栖戦~3位確定させた引き分け

2022年11月5日 サガン鳥栖 vs サンフレッチェ広島 駅前不動産スタジアム


 リーグ戦最終節。荒木の欠場にやって住吉がCBに入る。今期4試合目のスタメン。リーグ戦で一度としてスタメンで勝ってないだけに住吉にとって勝敗は大きな意味合いとしてのし掛かるのだった。

 対する鳥栖には長沼、ファン・ソッコという元サンフレッチェの選手がいるだけにこちらはこちらで高いモチベーションを持ってきた。が、自分達のスタイルを貫いて最後を締め括りたいという気概はサンフレッチェも負けず、前線から高い強度のプレッシングを仕掛ける。その圧力に屈しバックパスが強くなりゴールラインを割ってしまい開始早々CKを得ることができたのだった。

 野津田のアウトスイングのキック。ゴール前の混戦に入るも頭には誰も当てることができず落ちていくと佐々木の腿でのトラップ。それが浮き球になるとGKを真正面にしつつもヘディング。それがゴールに押し込まれることで先制点を叩き込むことができたのだった。その時間、開始2分。早い早い得点は肩の荷を下ろす幸先のいいものとなった。

 その後は鳥栖がボールを握る場面が続いていくもののシュートを打たすまでは至らない。それでも最終ラインど真ん中の宮代にボールが入ると反転してシュート。距離はあったもののバー直撃というすざましいシュートに肝を冷やす。マークについた住吉も見事に振り切られてしまうのだった。

 他にもサイドの長沼は果敢に勝負を仕掛けて打開を試みる。ドリブルでカットインしコースが空いていれば迷わずシュート。枠に入らなかったもののこんなにもシュートへの意識強い選手だったろうか。やはり古巣に対し燃えたぎるものを持っているらしい。

 そんな鳥栖の思い切りは前への推進力を高め受けに回る場面が増える。それでも集中を切らさない守備はシュートまで至らせずボールを奪うとロングキック、左サイドへ出すとナスが囲まれながらも巧みにキープ。それをサポートに行った柏が前線へスルーパス。広大なスペースで満田が受けた。

 全速力で戻る鳥栖のDF。それを見越して身体を内に向けて打った。角度のないとこからのシュート。GKの届かないとこにボールは飛びそのままラインを割るかと思いきやスワーブを描くとゴールポストに当たった。ガツンという音と共に跳ね返った。が、それはゴールの中へと入り込んだ。ここしかない。まさにここしかないという場所に決めてしまったのだった。

 2点目。凄い、凄い、凄い。針の穴を通すようなシュートを流れの中で決めてしまうとは。満田これで今期9点目。チーム内得点王である。それにも関わらず本人は大して嬉しそうでもなかった。これでは足りない。そんな意識さえ伺えるのだった。

 前半の内に2点差にした勢いは後半に入り更にギアアップした。そこから何度もチャンスをつくっていくも追加点とはならない。それでも触れることすらさせないボール回しにもはや試合は一方的になっていく。これは大勝出来そうだ。そんな弛緩した思考が湧き上がったのは嘘ではない。そのせいだろうか、左で詰まった柏のバックパスを佐々木がトラップミス。そのこぼれを掻っ攫われてしまった。ゴールに向けてドリブルで突き進まれる。全速力で戻るしかしあっさり宮代に振られGK大迫の脇を掠めるシュートを打たれ決められてしまった。ミスによる失点。つまらない。そこにシュンと萎むような雰囲気を感じた。

 それを機に鳥栖は魔力が掛かったかのように前への推進力を得る。その圧力にクリアするのが精一杯。だがCK。こういう相手が勢いを持った時のCKには嫌な予感がする。すると放たれたキックに対してニアに向かっていく選手がいた。完全に置いて行かれた住吉。それ故にフリーでのバックヘッド。ファーに飛ぶとそのまま押し込まれ同点。そしてそれを決めたのはよりによってファン・ソッコだった。

 たった一つのミスが振り出しに戻されてしまった。そこからも鳥栖の攻撃は続きその波を止めることができない。堪える、堪える中で徐々に勢いを押し戻していくとゴールに近づく場面が増えてくる。満田がペナルティエリアに入るも倒される。ファールの笛はならず起き上がりシュート。角度がなくゴールネットに当ててしまう。決めたかった。ここまでゴールに近づいたのはこのプレーだけではなかろうか。

 それでもまだ時間はある。だが再びゴールに迫ることができずむしろ鳥栖の攻撃を食い止めるだけで精一杯になる。そしてそのままタイムアップ。引き分けのまま今シーズン最後の試合を終えることになってしまったのだった。

 終わりよければいいイメージのままシーズンを終えただろう。あれだけ有利に進めてた試合をミスにより失ってしまったことで後味の悪さが残った。が、それでも引き分けにしたことで今シーズンの3位が確定した。そして2つのカップ戦で決勝まで進みルヴァンカップでは優勝した。その中で満田や川村という新たなヒーローが生まれよくやったシーズンではあった。ここは賞賛を送るべきだろう。それでもこの試合で見せたこのチームの脆さは肝に銘じないといけない。

 果たして来シーズンはどんなチームになるだろうか。ほんの小さな匙加減一つでいい方にも悪い方にも進んでしまうサッカー。それでありながらもう来シーズンのチームが楽しみでならない。そんな感覚にしてくれたチームに感謝しつつシーズンを終えるのだった。

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