マリノス戦〜3戦未勝利

マリノス戦~東のゴールもあっさり追いつかれ引き分け


2023年3月3日 横浜Fマリノス vs サンフレッチェ広島 ニッパツ三ツ沢競技場


 金曜の夜、日差しのあった昼間からは信じられないくらいに冷え込んだ夜だった。凍てつくような寒さの中、スタメンの発表。ピエロスとナスの2トップ、森島のシャドー、東と満田がワイドという陣容のようだった。前節後半、チームを生き返らせたメンバー、現状におけるベストメンバーであろう。ただしそれで結果が出なかった場合、頭打ちとなってしまう危険性も孕んでいた。

 ところが試合が始まると序盤から前からのプレスが効きまくる。相手陣地に押し込め自由を奪う。そして中盤、高い位置でボール奪取。右サイドへの展開。深く食い込み速い弾道のクロスを放った満田。ニアに飛び込んだ森島は空振り。が、東が詰めた。逆サイドからゴール前に入り込み押し込むことでネットを揺らす。文句のない、間違いないゴールが決まったのだった。

 先制。得点力不足に喘いでいたチームがこんなにも早くも得点してしまった。この勢い、本物だ。引き続き高い位置でプレスを敢行して奪うことでゴールへ向かう。その勢いに気圧されファールを貰うと満田のFK。遠目からのキック、誰に合わすかと思った瞬間放ったキックはニアサイド。逆を突かれたGK間に合わない。が、ガツンという音と共にポストに跳ね返されてしまうとこぼれ球に誰も反応できずに難なくクリアされてしまった。

 その後も惜しい場面は続く。チャンスはつくり出すものの仕留めることができない。それ故に慎重になったのかバックパスが多くなる。パスにミスが出る。そこをパスカット。カウンターが始まるとそこから完全にペースはマリノスへと持っていかれるのだった。

 サイドからのドフリーでのドリブルはGK大迫のファインセーブで救ったものの右サイドスペースにでたボールにエウベルが走る。ただし満田が対応しボールに追いついた。ゴールラインぎわでは満田が先にたどり着くもののそこでなぜか入れ替わられる。フリーでゴール前へ速いクロス。中央に入り込んだアンデルソン・ロペスが合わせるとGK大迫も抑えることができずゴールに押し込まれてしまった。満田のクロスによって生まれた先制点は満田のミスによってあっさりと振り出しに戻されてしまったのだった。

 それからというものマリノスに一方的に攻められるようになってしまった。クリアボールを何とか処理しようとナスが奮闘するものの潰されてしまう。チームの配置が重くなる。後ろの人数が多くなり奪ったところで前に突き進めない。そして困ったことにこういう状態になるとGK大迫もゴールキックをラインを割ってしまう。守って守って守ってばかりの展開。もはや点を入れるどころかマイボールにすらできない有様。やはりいい時間帯で追加点を取れなかったのが大きいのだった。

 これを打開すべくメンバー交代をしようにもこれ以上の上積みは期待できそうもない。が、左サイドを東に代わって志知が入った。手は打ち尽くしたと思っていたもののこういうカードがあったのだった。

 後半のメンバー交代はなし。マリノスは潤滑油を注ぎ込んだかのように淀みなくボールが動いていく。人と人の間に入るのが上手い。常に後手後手を踏むサンフレッチェ。こういう時、ナスのプレスは荒くなる傾向がありまたしてもイエローカードを貰ってしまう。そこで2枚目のカードを懸念して中野と交代。それにより中野が右サイドに入って満田がシャドーに入るのだった。するとここから右サイドが活性化してくる。満田が中央に入ることによりサイドへのサポートもでき流のだった。

 ショートパスによる繋ぎ。満田によるスルーパス。が、中野は反応できない。どうも中野には縦へ抜けるという感覚が備わってないように見える。

 そしてそこを潰すべく永戸が中野へのチェックに行く。右サイドへ飛んできたボールは競りながらもクリア。それにより再びマリノスボールとなるものの中野はうずくまったまま。しかしそれに気を止めることはできない。容赦無く襲いかかってくるマリノス。自陣を固めるサンフレッチェ。瞬間も気を抜けない中、一旦ゲームが止めて主審が中野の元へ駆けつけるのだった。

 ここでVARのチェック。そしてそこで気づいたのだが競り合いの時、永戸が不用意に手を振り下ろし中野の首を絞めるような動きになっていたのだった。危ない。これは完全に危険なプレーだと思っていると主審のホイッスル。VARのジェスチャーの後、掲げられたのは長門へのレッドカード。なんと、マリノスから退場者が出たのだった。

 数滴有利になった。サンフレッチェ。ここで一気に形勢が転じてくる。ボールが前へ進ようになる。攻撃へと舵を切れるようになる。ところがボックスに入りきれない。相手守備ブロックを周回するようなパス回しばかりが続く。そんなもどかしさを感じてる時に自陣でFKを得る。ゴールまでは遠すぎるもののゴール前へ密集する両選手。セットした野津田。ゴールへ向かうゴールを蹴るかと思いきや縦へのグラウンダー。すーっと伸びるボールを追いかけた森島。ゴールライン手前で追いつきクロス。これに合わせたピエロス。見事なまでのタイミングで当てたヘディング。が、そのボールはバーの上を飛んでいってしまうのだった。

 あれを外すとは。

 確かにあのサインプレーは見事だった。見事だっただけに決めて欲しかった。鳴り物入りで加入したピエロスだったものの残念ながら得点力はないようである。セットプレーの守備ではほぼピエロスが弾き出してしまうもののゴールに入れるヘディングは得意じゃないようだった。

 そんなイメージが出来上がってしまったせいか、ペナルティエリア内で倒された場面で笛を吹かれることはなかった。PKじゃないかと一瞬喜びそうになった。だけどあまりにも簡単に転んだようにも見えた。ゴールへ向かう姿勢が見えなかった。ゴールへと立ち向かう迫力がないのだった。

 結局のところトップに得点力がないと守ってる相手を崩すのは難しい。人数の少ないマリノスを崩せない。繋いで繋いで活路を見出そうとするがもたつく隙にボールを奪うと速い展開でカウンターに持っていかれる。スピードに乗ったヤン・マテウス。駆け戻るサンフレッチェのDF。ボックス内でのマルコス・ジュニオールのヒールによるワンツーは完全に裏をかかれゴール前のマテウス。次の瞬間、起こったのはシュートではなく荒木の後ろからのクリア。それをGK大迫によりクリア。それにより試合は終わりを告げたのだった。

 やられなくてよかった最後。マリノスは数滴不利にも関わらず勝ちを狙っていた。対して数滴有利になったサンフレッチェはそれを生かしたようには見えなかった。昨シーズン、サンフレッチェに退場者が出た試合は完全に防戦一報になったことを考えるとやはり物足りなさを感じざるを得なかった。

 開幕3試合未だ未勝利。14本のシュートを放ちながらも枠内はその半分。どうしてこうもシュートが入らないんだろう。ゴール、ゴールが欲しい。一体このチームは誰が点を入れるべき選手になるのだろう。未だにそこが見えてないとこに燻るものを押さえつけることができないでいるのだった。

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