「自転車」の迷子状態 -歩道走行とママチャリの功罪-

こんにちは、岩紺です。 

都会で自転車って走りにくいよね

突然なんですけど、自転車って都会だと走るの難しくないですか?
車道走るのが基本って言ってもなかなか怖いし、かといって歩道も歩行者がいて事故の危険もあるし、正直走りにくい。自動車のドライバーから見ても自転車は正直怖いし、迷惑に感じる場面も多いですよね。
(最近はUber Eatsの配達とかで利用されるケースも多いですね。)

では、なんで自転車がそんなどっちつかずの状況、いわば「迷子状態」に陥ってしまったのか。

実は数年前、自転車シェアリングについて研究していて、この問題について調べる機会があったので、今回は少し紹介したいと思います。

歩道走行の経緯

まず、本来自転車は軽車両の扱いであるため、原則として車道を走行しなければなりません。欧米各国では自転車の歩道走行は固く禁じられており、日本でも1960年代までは自転車の歩道走行は道路交通法で禁止されていました。

しかし、高度経済成長期に自動車の利用が増大し、道路環境が悪化します。そこで「暫定的な措置」として1970年に道路交通法が改正され、運転者が危険だと判断した場合「例外的に」歩道を通行できるようになりました。(あくまで一時避難的なイメージの対策です。)

しかし、「暫定措置」として許可された自転車の歩道通行でしたが、その後抜本的な対策が上がるわけでもなく、適切な処置が取られることが無いまま時間だけが過ぎます。結果的に「暫定」と言いつつ40年近くが経過してしまったため、自転車は歩道を通行できるということが半ば当たり前のことという認識が市民に広まってしまいました。

2008年の道路交通法改正でようやく13歳未満や70歳以上などが運転する場合や安全上やむをえない場合のみ歩道走行できると定められましたが、時すでに遅しといった感じで市民の意識レベルではあまり改善されていないのが現状です。道路整備も自転車の存在を前提にできているものは少なく、結果的に自動車と自転車が気持ちよく共存できている場所は少ないでしょう。

日本独自の「ママチャリ」 

自転車が邪魔者扱いされるようになったもう一つの要因として、自転車の歩道通行が一般的になったことで安価で低速度での運行に特化し、短距離移動や荷物の積載といったニーズに向いた低速型自転車が大半を占めるようになったことが挙げられます。(日本では一般的に「ママチャリ」と呼ばれます。)

低速型の自転車では車道上において、自動車と共存できるだけのスピードで安定して走ることは難しく、必然的により一層の歩道走行を促進させることになりました。昭和40年代以降の日本におけるママチャリの普及は、自転車を誰でも利用できる身近な存在にした一方、「自転車は車両である」という意識の低い利用者を多く生んでしまったと言えます。中高生の通学など、免許なしで子どもが気軽に利用できるというのも拍車をかけてしまったのかもしれません。これが今日の日本における自転車の歩道走行の実態につながってしまっているようです。

今後の話

まあこういった経緯が理解されたところでどうにかできるのかといえば難しい話です。「ママチャリ」も日本の環境に適した形で進化し、受容されているのは悪いことばかりではありません。

ただ、クロスバイクなどの本格的な高速型自転車の人気も高まり、エコ・健康などの観点で自転車通勤なども増加する中では、「自転車は交通の中でどういう位置付けであるべきなのか」ということは考える余地があるのかなと思いました。(自転車レーンというのも一朝一夕に増やせるものでもないですし。)

自分も専門家ではなく素人ですが、これを読んだ人が何か考える結果になればと思ったり思わなかったり。

今回はこの辺で。

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