オンラインズーム保育#3

*写真はみんなのフォトギャラリーから拝借しました。

 ズームのプラットフォームを使っての教室運営も、軌道に乗りはじめました。ズームに子どもたちがログインすると、まずひとりひとりに向かって、
「元気にしてる?」
と尋ねます。昨日のズームでも、まちまちにログインしてくる子どもたちと、そんなふうに言葉を交わしていると、子どものひとりが、挨拶もそこそこに唐突につぶやきました。

「元気にしてる?」

「うんうん。太陽はどうして沈むんかなあ?」

「?!」

 ズーム教室では、子どもたち全員の集中力の持続を考慮して、一回につき30分と決めています。短時間で、読み書き、数、運動、情緒面のサポートをまんべんなくできるように、予め、チームを組んでいる先生と指導案を作成して、コンピュータの前に座ります。
 慣れないオンラインでの教室運営で、教師として不安なのは、子どもたちが口々に話しはじめて収拾がつかなくなること。

太陽はなぜ沈むのか?

先生の指導案には、そんなすごい質問に対する傾向と対策はないよ。とほほ。どうしよう。適当に相づち打って、指導案どおりに進めようか。

 で、ふと思いました。本人は今、この瞬間に疑問を感じてる。先生は、予想外の展開でちょっとパニクってる。でも、めっちゃ素晴らしい質問だと思う。それで、その質問をそのまま他の子どもたちに投げかけてみました。

「なんでだろうね。みんな、どう思う?」

4歳になる子どもが手をあげました。

「雨が降ってさ、雨が太陽を押しのけて、それで雲が出てきて太陽が落ちる」

 なーるほど。そんなふうに考えたことなかった。
他の子どもたちも、それをじっと聞いていました。この意見にインスパイアされたのか、彼ら彼女らも、太陽を、風や雲と関連づけて自分の考えを出し合いました。(記録しておけばよかった!←英語での会話は、その場ではなんの支障がなくても、思い出そうとすると、かなり記憶が抜け落ちているということは日常茶飯事です。これは自分の英語力や記憶力の限界なのか、それとも母国語以外の言語で生活している人に、共通するものなのか知りたいです)

 ここで大切なのは、正しい知識や答えを導きだすことではなく、クラスメイトのつぶやきに対して、それぞれが、そのことについて考えてみること。そして、それを自分なりの言葉で表現してみようとすること。予定どおりに事は進まなくて当然だ。人間同士なのだから。それでいいのだ。

 つぶやいた子は、外で体を動かして遊ぶのが大好きな男の子。もう何週間も自宅待機がつづいて、学校にも行かないし、天気がよくて、外の明るい時間は長くなっていくのに、ほんのわずかな時間しか外で遊べない。なんだかよくわからないけど、なんか違うなあ、と、今までと生活のリズムが違うことを感じとっているのかもしれない。そこから、太陽はのぼり、そしてまた沈むということに興味をもったのだろうかと、ズーム教室をログアウトしたあとに思いました。

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