Intermission(ほんじつはおやすみ)~お と す れ~

…それで、この間背伸びをしているように見えて思わず写真に収めた木の芽、あれはトウカエデのものだった。街路樹としてあちこちに存在しているからきっと珍しくはないだろう、どこからか種が運ばれてうちの裏庭にも一本育って居るくらい。水かきのある動物の手のひら足のひらを思わせる葉の形が好きで、かぜの中にいっしょにいると自と目をつぶってその音を聴くならい…なつだったからかな、そのこかげがすずしくて… 今はまだその芽もそれを楽しみに眺める人も、海風が吹きつけるとひゃっと縮み上がりたいくらい…だけどそれはトウカエデだから!夏の陽射しをきらめきに還して木陰を作り、そして風には楽器となるあの一枚一枚の、みどりのきざしが、まだそよぐほどの余裕も一切なく固く枝から突き出して、内側を向いて肩を寄せ合うように身を護りながら日毎肥える陽ざしにひたすら呼び掛けているようだ…ワタシもまだ立ち止まらず、一瞬の瞬きで過ぎるうちに、瞼の内は明るい光の、むねのうちにはかたまってあるものが霧散するあのじかんの、ひとかけらをてにいれ…握りしめて歩いていく。