Intermission(ほんじつはおやすみ)~あじさいのたち場~

大樹の足許北西側に植えられたあじさいの株十ほどあって、たった30センチしか離れていなくてもそれぞれの生きる環境はまったく異なるようー夏中樹影の庇護の下にあった株たちは秋深まってその樹が落葉するまではかなりの本降りでないと天水をあてにできないし、一方夏の間その同じ木陰に入れずずっと直射日光に晒され枯れ落ちたかに見えた株は、今は降っても照ってもマイペースの緑を保つ、その間位は通年安泰、半日は日陰、半日は日光浴、雨が降れば風と共に吹き込んでくるし、葉から葉を伝い滴る雫を時間をかけてうけとれるからーそうして樹のねもと、懐深いところに配置された株たちは、陽射しと雨の両方から遠ざけられて、難儀しているーでももしかすると、そこではものすごくゆっくり成長していくのかもしれない、長く生きるのかも、十株それぞれに異なる時間を生きているのだとしたら…