コンピューターは人間より幼い高級電卓

私の本職はシステムプログラマーです。昼は主に、コンピューターと孤独な会話を交わしています。せっかくなので、少しだけコンピューターの話をしましょう。

よく、「パソコンは難しいから分からない」という言葉を耳にします。「難しくて嫌いだ」と。けれど、システム屋さんに尋ねれば、たいていの人は「高級な電卓」などと答えると思います。

「いいですか、コンピューターは高級な電卓です」

私がIT業界に入ってすぐ、プログラムのPの字も知らない私に、言語を教えてくれた人が、最初に言った言葉です。

プログラムというのは、コンピューターに仕事をさせるための指示書みたいなものです。コンピューターは自分で考えたりしません。何か仕事をさせたいのであれば、その道筋を、全部最初から人間が書いておかないといけません。

しかも、ちょっとでも手順を間違えると「わかんないです」と叫びだします。電卓だって、正しい数字を入力しないと、正しい答えは出てきませんよね。それと同じことです。

そして、ちょっとでも手順を間違えると、コンピューターはすぐに大声で警告します。「無理です」「分かりません」「そんなデータありません」この泣き声に、プログラマーやSEは頭を悩ませています。

ちなみに、コンピューターはプログラムを直接読んでいるわけではありません。人の手で書かれたプログラムは、コンピューターの理解できる言語(機械語)に一度翻訳されています。

翻訳が必要ない言語もありますが、それはまた、別のお話。

分かりやすく、分かりやすく説明して、「分かりません」と泣きわめくコンピューターを相手にするのは、とても大変な作業です。その難しさは、「空はどうして青いの?」という無邪気な質問に答える時と似ているようにおもいます。

無邪気な質問に答えながら、やっと上手く仕事ができるようになると、それはもう喜びもひとしおです。

コンピューターの操作が難しいと感じる人は、ぜひ、子どもを相手にしていると考えてください。そうすればきっと、イライラすることも少なくなると思いますよ。

(もちろん、叩いてはいけません。それはものすごく、虐待です)

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