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銀皮88 役者インタビュー #9 菱井喜美子

空降る飴玉社のクラシックシアター
『銀皮の中のY(M)は、88℃の熱さを知っている。』
役者インタビュー #9 菱井喜美子

Q. 今作で演じる役はどのような人物ですか

菱井:敦津さんというね、独自の珈琲を長い間淹れているらしいです。職人さんだろうと思うんですけど。私も役者だから職人さんみたいなところがあるじゃありませんか。そこでドッキングをさせてね、掴んでいこうかなと思うんですけど。私自身はね、珈琲とかお料理の専門とかね、そういうことは分からないんです。ただ、自分がやっている役者の仕事として長いことやっていることを重ねて掴もうとしています。長いことやっている役者さんも京都で少ないのでね、作家の加藤さんも私をそこに使おうとして若い俳優とのつながりを求められたんじゃないかなと思うんですけどね。


Q. 今作の印象について聞かせてください

菱井:私たちは劇行為というもとがあるとすると、葛藤があるということを習ってくるじゃありませんかね。それがあまり葛藤というものがなくて、饒舌に述べられていく状態を…ということがね、今の人たちの、私たちが考えている演劇というものとズレがある感じはする。言わんとすることはわかるんですけど、対立したり葛藤したりして変化していくというのが演劇の醍醐味と思って育ってきましたからね。それがなくてもできるというのが、映像が入ってきたりすると繋がっていく面はあるんですけれども、お芝居だけというのはわりと葛藤とか行動とか行為というものが、はっきりくっきりしたほうが面白いんじゃないかな。シェイクスピアの昔からのを私は習ってきましたのでね。そういうのと、今時の作り手さんとはズレがありますね。

–新劇はそっちですもんね

菱井:そうですね。私らは新劇で育ってきましたからね。それはそれでまたいいという面もありますしね、またそれをぶっ壊して古いものを新しく、それは果たしてお客がどうだっていうことが勝負になっていくかもしれませんね。


Q. 珈琲に関するエピソード

菱井:昔ね芦田鉄雄という役者が人間座にいてたんですけども、今はいないんですけどもね、その人は珈琲が好きで専門的に淹れ方まで指導されるんです。よく淹れてもらって、一遍ちょっとすーってお湯をさして蒸らすっていうか…そういう劇団の思い出があります。もう何十年も前。そんな仲間がいましたね。だから、珈琲っていうとその役者を思い出します。その役者はそんな上手であったとは…わかりませんけど(笑)

–人間座の近くにもいくつか珈琲屋さんが

菱井:この頃、珈琲も高いのでよう行きませんねえ。やっぱり安い珈琲で自分で淹れて。そんな惨めな生活ですぅ。ちっとも変わりませんわー。


2019.8.13
インタビュイー:菱井喜美子
インタビュアー:田中直樹(劇団ひととせ)
編集:しき(來來尸來)

公演情報

空降る飴玉社のクラックシアター
『銀皮の中のY(M)は、88℃の熱さを知っている。』

脚本・演出:加藤 薫

《公演日時》
2019年8月15日(木)14:00/19:00
8月16日(金)13:00/18:00
8月17日(土)13:00/18:00
※開場は開演の30分前です。
※満席時はご予約にて日時指定頂いたお客様優先となります。

《料金》
当日 1,500円
前売 1,300円
Twitter割引1,000円

《会場》
人間座スタジオ
〒606-0865 京都府京都市左京区下鴨東高木町11

《予約》
https://www.quartet-online.net/ticket/ginpi_88

《Cast》
谷内 一恵
音蔵 乙葵
大谷 彩佳(同志社小劇場)
青木 琴音
出町 平次(來來尸來)
坂口 弘樹(勝手にユニットBOYCOTT)
ナカメキョウコ(エイチエムピー・シアターカンパニー)
藤村 弘二

菱井 喜美子(人間座)

《STAFF》
舞台監督 :長峯 巧弥
照明 :御手洗 幸助
音響 :鈴木 邦拡
舞台大道具:ユー(劇的集団忘却曲線/トイネスト・パーク)
舞台美術 :塚田 縁
衣裳 :松崎 雛乃
小道具 :加藤 薫
宣伝美術 :えび天(劇的集団忘却曲線)
イラスト :吉村 紗奈
制作・広報:吉田 香月(LPOCH)、しき(來來尸來)、田中 直樹(劇団ひととせ)、かづちやえ(演劇Unit∮Ring)

《あらすじ》
何百回も何千回も淹れた珈琲は、シンクに捨てられた。

毎年五山の送り火の夜に、祖母が大切な人たちに振る舞う珈琲は、人と人を繋ぐ力がある。たとえ離れてしまっても編んで繋いでいく不思議な力。
私にもいつか、そんな珈琲を淹れることが出来るだろうか。

ある日の夕方、実家にいる弟から電話がかかってくる。

ばあちゃんが怪我をして病院に運ばれた

淹れかけの珈琲をそのままに、私の夢が詰まった店に「closed」の看板をかけて深夜バスに乗り込んだ。

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