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旅客機の機種の見分け方

突然ですが、皆さんは空港で旅客機を見たとき、すぐに機種を見分けることはできますか?

小さな飛行機と大きな飛行機の違いや、ジェットエンジンかプロペラ機かの違いは外見から見分けることは簡単ですが、詳しく「あれがボーイング777-300だ!」「ボーイング787-9だよ!」などと見分けるのは知識と見た回数が多くなければ難しいと思います。

そこで、今回は旅客機の外見による違いに注目し、機種を見分けるポイントを解説していきます。



なぜ飛行機の外見はどれも同じに見えるのか?

ほぼ全ての旅客機の胴体は円筒形でできています。
なぜかというと、工学的な研究で「円形が圧力に強い」という結論が出たからです。

ほとんどの旅客機は上空約10,000m(約33,000ft)を飛行します。
上空10,000mというと空気も薄く、地上よりも大気圧が弱くなります。
登山するときにポテトチップスなどのお菓子を持っていくと、袋が膨張してパンパンになりますよね?
飛行機が上空でパンパンになると大変なことになりますよね......

そこで客室内では客室与圧調整系統(Cabin Pressure Control System)を使って過度な膨張を防いでいます。

しかし、膨張を完全に防ぐことは困難です。
つまり、上空では知らない間に膨張していることになります。

このとき、四角形だとどうなるのか。
角に圧力が集中し、その部分から強度が落ち、亀裂が入り大変なことになってしまいます。
実際にこのことが旅客機事故で証明されました。

円形だとどうなるのか。
円形は中心からどの方向に対しても力が均等に分散します。
中心から弧までの距離、つまり半径がどれも等しくなります。
逆に四角形(正方形)で考えると、中心からかく辺までの距離は直角の角へ向かうほど遠くなります。
このことから、円形が耐久性に優れ、円筒形が旅客機に採用されています。

もう一点関連するのは、旅客機は超高速度で飛行するということです。
速い速度で安全に飛行するためには、できるだけ空気抵抗を減らす必要があります。
円形だと、空気抵抗も等しく分散できるため、旅客機に採用されました。



エンジンによる違い

旅客機はプロペラエンジンと言われる「ターボプロップエンジン」と、ジェットエンジンと言われる「ターボファンエンジン」の2つに分けることができます。

【ターボプロップエンジン】

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【ターボファンエンジン】

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主要機種のエンジンによる分類は下記の通りです。

ターボプロップエンジン
・DHC8-Q400
・ATR42
・ATR72
・SAAB340  など
ターボファンエンジン
・CRJ各種
・BOEING各種
・AIRBUS各種
・EMBRAER各種   など
※機種が多い為、省略

※画像はGoogleなどで検索し、参照してください。



ボンバルディアDHC8-Q400とATR72の違い

DHC8-Q400(通称ボンQ)とATR72の違いは、前方左側にあるドアが旅客用か貨物用かの違いです。

DHC8-Q400は前方左側に他の旅客機と同じように搭乗用の旅客ドアがあります。

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一方で、ATR72は前方左側に大きなドアがありますが、こちらは貨物用です。
乗客は後方左側のドアから乗るので大きな違いがありますね。

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(画像:JAPAN AIR COMMUTERのHPより借用)



BOEING737とAIRBUS A320の違い

どちらもLCCや国内地方路線で大活躍の機体です。
皆さんも見かける機会が多いと思います。

B737とA320を見分けるポイントは2点あります。

1点目は機首部分にあります。

簡単にいうとイルカとクジラのような違いです。

B737はシュッとした顔つきです。
またコックピットのガラスが細いのが特徴です。

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一方で、A320はまるくて優しい顔つきです。
また、コックピットのガラスがB737と比較して広いです。

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同じ角度で並べてみると下図のようになります。

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どちらがどの機種かわかりますか?

2点目は機体後部の違いです。
これはAPU(補助動力装置)の排気口の形が異なるので、違いが出てきます。

【B737のAPU排気口】

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【A320のAPU排気口】

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BOEING767とBOEING777の違い

B767とB777の決定的な違いは胴体の長さです。

B767の長さは約54m〜61m
B777の長さは約63m〜73m

10メートルほど違いがあるので横から見るとハッキリとわかりますが、角度を変えると見分けがつけにくいこともあります。

そこで、3つのポイントに絞って違いを解説します。

1点目はメインギア(主脚)のタイヤの本数による違いです。

B777はタイヤが1列につき3本あります。
主脚のみで12本、前脚を含めると14本です。

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一方、B767はタイヤが1列につき2本あります。
主脚のみでは8本、前脚を含めて10本です。

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2点目は機体後部の違いです。
機体後部についているAPU排気口の形状が異なります。

【B767のAPU排気口】

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【B777のAPU排気口】

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3点目は片面あたりのドアの数の違いです。

B767は2〜3ヵ所
B777は4〜5ヵ所


B737とA320の違いのように、B767とB777はコックピット(機首)付近の形状から判断することは難しいです。
両機種の機首付近の外観にはほとんど差が見られません

スライド1

B777が開発された当初は、B767の派生型として計画が進められていました。
その為、コックピット内部のデザインは異なりますが、外観は似ているのです。

また、機首の外観が似ていることで、B767とB777を正面や、空港の展望デッキ、搭乗口から見たときに、判断がつきにくくなっていると考えられます。



まとめ

今回は主要な旅客機の見分け方について、解説してみました。

各機種の派生形(777-200, 777-300など)については別の記事で解説したいと思います。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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