暗唱できる好きな短歌50首

いい短歌ってなんだろう。ぼくの中でこたえが出てないのだけど、今日はとりあえず「どれだけ人の短歌覚えてるか」思い出せるだけ思い出してみた。なんとなく次のルールになってます。

・ひとり2首まで
・暗唱できても好きじゃないのはパス
・順番はシャッフル


長月優
 いちばんにあかるい水として涙 地球はあかるい惑星である
 
宇野なずき
 こんにちはチャッカマンです冷え切った心と家を燃やしませんか
 
小坂井大輔
 目に映るすべての景色が詩なんだよわかるか、なぁ、火ぃ貸してくれるか

しゆ
 やすみなく響くノイズが心なら、これは失敗作の芸術

三上春海
 幸せがテトラポットになりました かに どこまでもすべり落ちます

加藤治郎
 角砂糖そんな上から落としたら、ぼくの後ろに立たないでママ

五島諭
 ひとりでに世界が進化する夏のスプリンクラーひかりばらまけ

あみー
 坂道をのぼる自転車バイセコー くだる自転車なおバイセコー

山中千瀬
 永遠に忘れられつつバッファローみたいにきみは比喩を知らない

はね
 ヘッドホン強く押さえてアイミスユー、アイミスユーがあふれてしまう

穂村弘
 可能性。すべての恋は恋の死へ一直線に落ちてゆくこと

黒木うめ
 処女性が足りなくなってこっそりと部屋を抜けだす(ねえ、おにいちゃん)

加藤治郎
 ひとしきり母の叫びが風に添う 雲のぷあぷあ草のれれっぽ

斉藤斎藤
「わたしって足りない人じゃないですか」(a)足りている(b)足りていない

三上春海
 不思議ちゃん 牛の脾臓を舐めるとき目がやばくなる その 不思議ちゃん

二藍
 長い長いアコーディオンの左右なるぼくらの再会劇は音楽

藤原伊織
 殺むるときもかくなすらむかテロリスト蒼きパラソルくるくる回すよ

北原未明
 生きてゆくための呪文はろりぽっぷ、ろりぽっぷ、おー、ろりろりろりろ

六条くるる
 「もし君が愛なら僕は罪ですね」
 「(何言ってるの? この人キモイ)」

りゅう(サイボーグ)
 かなしみのすべてに名前を付けようよ このかなしみは「クリームブリュレ」

中澤系
 あやまたず意味はあまねく射るまるで動物園のエイプのように

中澤系
 3番線快速電車が通過します理解できない人は下がって

御糸さち
「あひるの、あ」「いぬの、い」かなの練習をする子は告げる白熊の死を

川北天華
 問十二、夜空の青を微分せよ。街の明りは無視してもよい

德永裕一郎
 いつかまた電線の空に引っかかり誰かを愛すこともあるのか

宇野なずき
 僕だけがインターネットの亡霊で他のみんなは居酒屋にいる

深水きいろ
 二センチの幅で世界が嘆いても君は変わらずゾンビを歌う

ゆりり
 爪切りの銀を見つめる満月へ おやすみ 規則正しい音より

いくすけ
 ブルーベリー摘みて届けし高原の涼しさ閉じ込め恋するタルト

しゆ
 嘘つきをやめて僕らは何になる 雨音になる 喧騒になる

五島諭
 空までの距離に引きつる 縄梯子摑もうとして伸ばした手から

十返舎一九
 この世をばどりゃお暇に線香の煙とともに灰左様なら

たろりずむ
 永遠に帰らぬ人を待つ朝に飲む致死量のコーンポタージュ

水没
 さようなら美徳としての鉄の斧 女神は手指の匂いを嗅いだ

穂村弘
 誕生日は炎の儀式。いい?いくよ?はーいーかーつーりょおおお、ふううううう

さちこ
 シャイニング・マスタベーション
(そう、それは光り輝くためのオナニー)

佐藤聖
 花壇にはまだ黒翅蝶群れ飛んでいて(太陽を轢き殺せたら)

岡野大嗣
 道ばたで死を待ちながら本物の風に初めて会う扇風機

さちこ
 町はもう魔法少女の夢のなか大人のいない戦争がある

近江瞬
 僕たちは世界を盗み合うように互いの眼鏡をかけて笑った

ねやあ
 “too late to be lemon.”君が乗る鈍行列車を爆発させて

山中千瀬
(ぼくたちは全ての物語の模倣)雪の降る日に手をつないだの

平岡直子
 すごい雨とすごい風だよ 魂は口にくわえてきみに追いつく

俵万智
 我という三百六十五面体ぶんぶん分裂して飛んでゆけ

小林通天閣
 ぽきりぽきり

 そして静かになる前戯

 僕が蜘蛛を食べるところ見てて

おり
 全身の骨を抜かれるころ鯖は海の記憶を失っていた

はね
 淋しい、と書いてその木と木のなかで雨に濡れてるけものが俺だ

吹田セイジ
 ”明らかである”とは誰にとってだろう。くらげさんにもわかることかな

黒木うめ
 春なのか君はコーラとカルピスを混ぜて爆撃用とほほえむ

朽木誠一郎
 どうしたの、さいきんやけに 冷たいじゃん おれ何かした?みたいな天気


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?