見出し画像

X mas に可愛いサンタを拾う話

〇〇「ちょっと肌寒いな…何も考えずに家を出るんじゃなかった…。」

クリスマスシーズンになり、暑かった日々の欠片もなく、急激な寒さが襲っていた。

〇〇「はぁ、マジでどうするかなぁ…」

クリスマスはサンタさんからプレゼントがもらえるんだと、子どもたちは喜ぶだろう。もちろん、大人になっていくに連れてそんなことはなくなっていく。

「ケーキはいかがですか?」

ケーキ屋さんの前ではケーキを買ってもらうためにビラを配っていた。

〇〇「こんな寒い中大変だなぁ…」

そう思って通り過ぎようとしたとき

「きゃっ!」

咄嗟に声のする方を見る。

「ねぇ、寒いでしょ?温かいところ連れて行ってあげるから来なよぉ」

サンタ姿の少女は厄介な客に絡まれているらしい。

〇〇「まあ、そういうこともあるか…」

よく見るとまでは言わないがありがちな光景を不憫に思いながら通り過ぎる。 

「やめてくださいっ!」

「お嬢ちゃん、楽しいとこ連れて行ってあげるからさぁ」

あ、これ…やばいやつ?そう思った。

〇〇「おい、おっさん!その手離せよ」

少女はこちらを見る。

「何だね君、僕は寒くて可哀想だから温かいところに連れて行ってあげようとしてるんだよ」

〇〇「おっさんの相手をするために立ってるわけじゃねぇんだよ!」

「な、なにを言うんだね」

〇〇「そもそも、嫌がってるじゃねぇか」

奈央「離してくださいっ!」

少女は掴まれている強引に振りほどいた。
意外とやれる口なのかもしれない。

〇〇「路上でさ、寒い中頑張ってる女の子に対してダサいんだよ」

「チッ 邪魔が入りやがった…」

そう、捨て台詞を吐いて去っていった。

奈央「あ、ありがとうございます…」

〇〇「怪我はない?災難だったね…笑」

奈央「いえ、たまにいるんです。あーやって絡んでくるお客さんが」

〇〇「たしかに、可愛いから…かな笑」

奈央「か、可愛い…////

彼女の顔がみるみる赤くなっていく。
その姿すら可愛い。

〇〇「おっと、いけない仕事の邪魔しちゃったね」

奈央「いえ、助かりました…笑」

〇〇「じゃあ、僕はこれで…」

奈央「ま、待って下さい…!」

!? 

奈央「ケーキ買って行ってくれませんか…?」

なるほど、そうきたか…。

〇〇「わかった、買っていくよ」

まあ、どこかでケーキは買おうと思っていたからな。

奈央「ありがとうございます!」

そのケーキ屋さんはリーズナブルな割に高級感のあふれるお店だった。

〇〇「いいお店にあえて良かったよ笑」

奈央「あ、あの これを…」

彼女は小さなメモ帳を手渡してきた。

奈央「後で見てくださいねっ、絶対ですよっ」

小声だが、とびっきりの笑顔で言う。

〇〇「わかった、ありがとね笑」

「ありがとうございましたー!」

〇〇「いいお店だったな。あの子可愛かったし笑」

自然と笑みがこぼれる。

〇〇「あ、そうだ」

彼女から渡されたメモ帳を見てみた。

📝
先ほどはありがとうございました。
あ、私、奈央って言います。

お礼とかお話したいので、連絡先書いておきますね

@naomochi_918

あ、追加しないとダメですよ?
じゃないと探し出しますからね? by奈央

〇〇「おぉ…」

思いがけないメモの内容に呆気を取られる。
文章からただならぬ雰囲気を感じたため、素直に追加することにした。


📱追加しました。五百城〇〇って言います。

よろしくね、奈央ちゃん!

〇〇「こんな感じでいいか?」㌰

30分後

📱追加してくれたんですね!

よろしくお願いします、〇〇さん!

奈央📱「今から時間ってありますか?」

〇〇📱「予定ないから大丈夫だけど…」

奈央📱「駅前に来てもらうことって出来ますか…?」

〇〇📱「うん わかった、向かうよ」

奈央📱「待ってますねっ」

時刻は21:30

要件はわからないけど、特に予定もないので行ってみることにした。

〇〇「まあ、女の子1人で待たせるわけにはいかないもんな…。」

駅前

〇〇「寒っ、クリスマスだもんなぁ」

奈央ちゃんを探そうとすると
一際目立つ、サンタ姿の女の子が居た。

奈央「あ、〇〇さんっ!」

〇〇「なおちゃん、さっきぶりだね」

奈央「はいっ!」

何故、サンタ姿なのか疑問に思う。
訳アリそうだが、聞いていることにした。

〇〇「なおちゃんはなんで、サンタ衣装のままなの?」

奈央「それはですね~」

「〇〇さんにもっと見せたかったからですっ!」

〇〇「えっ…?」

突然のセリフに言葉を失う。

奈央「だから、〇〇さんに会いたかったんですっ!」

〇〇「僕に?」

奈央「はいっ!この人しかいないって思ってて」

こういうパターンがあるんだと呆気を取られる。

〇〇「いや、でも会ってそんなに経ってないし…」

奈央「なおじゃ、だめですか…?」

!?そんな顔されたら

〇〇「も、もちろん可愛いと思うよ」

奈央「そっか…////」

〇〇「立ち話も何だから移動しない?」

奈央「でも、この格好だと…」

〇〇「こんな事言うとアレかもしれないけど、ウチ来る?」

奈央「いいんですか?」

〇〇「もちろん、家に行きたくないってならアレだけど…」

奈央「行きたいです!行きたいです!」

流石にそんな食い気味に来るとは思っていなかった。

〇〇「わ、わかった あんまりきれいじゃないけど…」

〇〇宅

奈央「お邪魔しまーす」

〇〇「どうぞ…笑」

奈央「なお、男の人の部屋来ると初めてなんです!」

〇〇「そ、そうなんだ」

全くそういうつもりがなかったため、少し動揺してしまう。

奈央「へんたい…」

小声だが、そういったような気がした。

奈央「あ、そうだ プレゼントなんですけど」

〇〇「プ、プレゼント…?」

奈央「私がプレゼント…じゃダメですか?」 

胸の奥底が、キュンっとした。
おもわず抱きしめてしまう。

〇〇「よろしくね、奈央ちゃん」 

聖なる夜に愛の溢れる声が木霊していく。

思わぬ出会いから始まる、2人のストーリーはまだまだ始まったばかり。

クリボッチなのも悪くないのかも…?


To be continued…?