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価格をどう設定するか

最近、縁あって地域の物産館で私の作品を売るスペースを頂いた。
主にブックカバーやアクセサリーなどを並べている。

いろいろ学ぶことが多い中で、一番頭を悩ますのは価格設定である。

最初はとにかく売ろうと、安く設定することも考えた。
しかし曲がりなりにも自分の時間を割いて、心を込めて作った作品達。
ここで一旦立ち止まり、私の主義を考えてみることにする。

商品の金額とは、顔も見ぬお客様との唯一の会話の手段である。
金額を通して、自分が何を伝えたいか。

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まずは、物を大切にして欲しいという思い。
これだけのお金を出して買ったのだから、長く大切に使おうとしてもらいたい。

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そして、私の時給。
暇に任せて作り始めた物だが、その時間を読書などに使うこともできた筈である。
その貴重な時間を、作品作りに割いたことを伝えたい。
もともと体の弱い私にとって、作品作りはかなりの重労働だ。
寡作であることも、金額を高く設定する理由のひとつである。

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最後に、長く続いて身に染み付いたデフレの空気への殴り込み。
100円均一では決して手に入らない作品を提供したい。
真っ白な頭で、この作品に見合った金額であるかどうかを、お客様に考えてもらいたい。

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売れればいいという問題ではないと、私は考えている。
確かに金額を300円なり500円なりに安く設定すれば、たくさん売れるだろう。
しかし、たくさん売れると困るのは私である。
生活のかなりの時間を割いて、ただの作業として作品を作る機械に成り下がってしまう。

そうはなりたくない。

私にとっての適正な値段で、本当に気に入った物を、少人数でもいいのでお客様に買ってもらい、買って良かったと思ってもらえるように、私も技術と心を磨きたい。

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適正な価格設定を考える上で、大いに参考になったのは、今まで読んできた本から学んだ哲学だ。
その哲学が自分の中に脈々と流れていると感じている。

国分功一郎氏の『暇と退屈の倫理学』から引用しよう。

「わたしたちはパンだけでなく、バラも求めよう。生きることはバラで飾られねばならない」(ウィリアム・モリス)

私の作品が、お客様の生活の中でのバラになってくれることを願っている。

楽しいお勉強カフェを作りたい!