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窓辺からの眺め#10

美月は部活に向かう大翔の後ろ姿を見つめていた。彼女の目には寂しさもあったが、それとは少し違う、名前のつけようのない感情が宿っていた。自分も帰ろうと階段を降りて行くと、まだ笑い声を上げている大翔と鉢合わせした。男同士の楽しげな会話に、美月の心はほんのりと刺激され、苦々しさを感じた。そしてその瞬間、自分がどれだけ緊張しているかに気付き、その矛盾に思わず苦笑いした。大翔の悪いところを挙げるとすれば、それは彼の時折見せる無神経さだと、美月は思っていた。

「また明日な!」大翔の明るく元気な声が美月の心を直撃した。彼女の心臓がドキッと躍った。だけど美月は涼しい顔を保ち、ゆっくりと立ち去った。少し勝ち誇った気持ちにもなったが、次はきちんと彼に挨拶を返そうと決め、彼女はその日の反省を心に留めた。

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