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長編小説「盆踊りの夜に」
夏の夜更けの一人暮らしの部屋の中に、太鼓の音がひびきわたる。
その音は、エアコンの吹き出し口から漏れ聞こえていた。私はベッドの壁際に頭をよせて耳をすまし、音をできる限り聞きとろうとする。太鼓はリズミカルに叩かれ、鈴が鳴り、それから人々の賑やかな歌声も聞こえてくる。それは、子供の頃に実家の近くの公園で行われた、盆踊りの歌だった。
八月の第三週が近づくにつれて、太鼓の音は不思議なことに、夜になる
夏の夜更けの一人暮らしの部屋の中に、太鼓の音がひびきわたる。
その音は、エアコンの吹き出し口から漏れ聞こえていた。私はベッドの壁際に頭をよせて耳をすまし、音をできる限り聞きとろうとする。太鼓はリズミカルに叩かれ、鈴が鳴り、それから人々の賑やかな歌声も聞こえてくる。それは、子供の頃に実家の近くの公園で行われた、盆踊りの歌だった。
八月の第三週が近づくにつれて、太鼓の音は不思議なことに、夜になる