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資料性博覧会17へ行った結果、2万円散財した話

 おれのことは摩撫甲介と呼んでくれ。毎日大量の本を読んでいるがお前たちにレビューするつもりはない。
 本日24/08/10に秋葉原で行われた同人即売会「資料性博覧会17」へ行ってきたので、熱気冷めないうちに感想を書き記そうと思う。


資料性博覧会17とは?

 まんだらけが主催している資料性の高い同人誌の即売会で、今回は17回目らしい。ポスター絵を漫画家のpanpanyaが担当している。

なぜ行った?

 

この辺の新刊が気になったので、行ってみることにしたのだ。

始まり

 電車に揺られつつ、途中まで読み進めていたジム・トンプスンの「ポップ1280」新装版を読み終える。ブラックジョークの効いたいいノワールだった。
 肩がけにしたボンサックに文庫本をしまい込み、地下鉄半蔵門線の秋葉原駅を降りる。地下道の壁では先日電撃卒業を発表したVtuberのポスターが笑っていた。階段で地上へ上がる。
 やたらと高いビルの隙間から降り注ぐ日差しは強かったが、耐えられないほどじゃない。腕時計は1230過ぎ。開始が1100からだから出遅れた形だ。寝坊した朝から飯の類は喰っていなかったが、それほど腹は減っていなかったので後回しにする。それよりも目当ての本が売り切れるのが心配だった。
 会場はでかい建物なのですぐわかるだろうと思っていたが、周りはどれもこれもでかい建物ばかりだったのでよくわからず、結局GoogleMapを頼りに歩き、会場へ到着する。
 秋葉原UDXという建物の2階の大きなホールがそこだった。


パンフ


 入ろうとするとチケット代わりのパンフレットの購入を求められ、応じる。500円。
 同人即売会へ行くのは初めてだったが問題はなかった。

経過

 会場内は空調が効いていてそれなりに涼しい。
 思ったより混んでおらず、秋葉原のメインストリート(ラジオ会館とかソフマップとかステーキ屋があるあたり)より遥かに空いているのは幸いだった。
 同人誌即売会と言いつつも、まんだらけ主催なためかマニア向けAVビデオテープや古雑誌が売られていたり、全身入れ墨の怪人が古いポルノコミックや250万円で戦争画の原画を陳列している。
 壁際では何人もの占い師が席を並べている。
 反対側の窓際では、ホラー漫画家の呪みちるや金風呂タロウがグッズを捌いている。
 どうやら凄いところへ来てしまったようだ。

 サークルブースは幾多もの机で構成されていて、卓上に今回売り出される本とそのサンプルが置いてあり、近寄ると嬉しそうに内容を教えてくれる。 購入するとなると参加者との現金でのやり取りになる。途中現ナマが尽きたので1階にあるATMに一度現金をおろしに行った。

 サークル漁りは購入したパンフレットは読まずに行った。数は多くないし、そのほうがサプライズ感あっていいだろうとの判断だ。
 2,3周して一段落した。腹が減ってきたので一旦会場を出て飯屋を探す。看板が目についた博多ラーメン屋にしようかと思ったが並んでいたので、冷麺を売っていたスンドゥブ屋に入った。
 案内されたカウンターで冷麺とスンドゥブのセットを頼む。辛さを訊かれたので最も辛いレベル6にしてもらう。
 スンドゥブは辛いスープに豆腐が浸かった料理になっていて、匙と箸は金属製だった。それなりに辛いのだが、辛いだけでなく妙に美味かったので冷麺共々飲み干す。帰宅後に腹痛が始まったがイーブンだろう。

 その後会場に戻りまた周回していくつか購入。満足し会場を出ると隣にまんだらけのブースがあった。そこではポスターやら野球グッズやら古漫画などが売られている。新刊らしきマニアックなホラー漫画の単行本を購入。会場を後にした。
 街に繰り出すが2週間前にパルプ飲みの際に秋葉原に来ていたので、さほど品揃えは変わっていないだろうと判断し駿河屋だけに留める。気になるプラモがあったがプレミア価格の上どうせ勿体ないので作らないと考え、購入を諦め、帰路についた。

結果

戦利品の紹介といこう。

鉄窓花書房(tamazo) - 台湾の壁 壱

 鉄窓花書房(tamazo) - 台湾の壁 壱

 まんだらけの委託で買ったもの。
 ひたすら台湾の建物の壁が乗っている写真集。
 雰囲気が良い。ウェザリングの参考にもなる。
 1300円くらい。

空想特撮愛好会 - 特撮恐竜映画110年史

 空想特撮愛好会 - 特撮恐竜映画110年史

世界中の劇映画で「恐竜が出てくるもの」をできる限りレビューするというコンセプトの力作。洋泉社のムック本感があり非常に良い。「元恐竜の怪獣」もカウントされるのでゴジラなんかも出てくる。スタッフクレジットや背景情報も紹介されていて濃度が高い。
1400円くらい。


オカダキサラ - TOKYO やさしくやさしく閉じてください

オカダキサラ - TOKYO やさしくやさしく閉じてください

2018~19年の東京オリンピック前の東京における市民達の生活風景を捉えた写真集。
特殊な綴じ方の書籍で、柔らかな樹脂製のピンでそれぞれのページの左上がまとめられており、普通にめくってもよし、上にずらすようにめくってもよい。ピンが抜けやすいので気をつけよう。
街を歩いていても一人ひとりに注目することはないので、街には大勢の、無数の人生を持った人間が生活していることを思い出させる。
4700円くらい。

9月に個展があるってさ

小玉大輔(マクラウド) - 刑事映画クロニクル①興隆篇

小玉大輔(マクラウド) - 刑事映画クロニクル①興隆篇

刑事映画の詳細な歴史本。演出法の変化や裏話や撮影秘話まで書いてある力作。
1200円くらい。2はなかった。売り切れてたかもしれない。

グッピー書林plus IKKYU - 怪奇貸本収蔵館 第三号 竹内寛行編

グッピー書林plus IKKYU - 怪奇貸本収蔵館 第三号 竹内寛行編

竹内寛行という漫画家を知っているだろうか?
貸本時代の墓場鬼太郎を、水木しげるから引き継ぎで描いていた男である。水木が原稿料不払い等のトラブルで他社に移籍したためだ。そこで彼は鬼太郎夜話とタイトルを改めて描き始めたが、元の出版社は売れ筋だった墓場鬼太郎を捨てるわけにはいかず、竹内寛行が起用されたのだ。
なお鬼太郎が妖怪とのバトル漫画路線になったのは竹内のほうが先である。
その竹内寛行の貸本時代の作品を同人出版したのがこれだ。権利者不明なので問題は無いと思う。多分。

内容は優しい老婆を殺した強欲男が因果応報の末路を遂げる「血痕」と、寺で働く殺人老婆が人を殺して子供に喰わせていく「吸血婆」の二本立て。
ド迫力の線画で描かれるホラー漫画。良き。
1000円くらい。この本はよく売れていた。

パンケーキ神殿 - ウルトラファイト総合研究報告 -撮影・ロケ地・放送・受容-

パンケーキ神殿 - ウルトラファイト総合研究報告 -撮影・ロケ地・放送・受容-

円谷プロが制作した2分半の特撮番組「ウルトラファイト」について非常に詳細な取材をされた大著。ファンのおれにはマジでマストな一冊。巻末に参考資料一覧が載っていて個々の文献にアクセスしやすいのもありがたい。
撮影時期の考察やテレビの地方放送欄が載っていたりロケ地を特定されたり熱量が尋常でない。
1300円くらい。

アンド・ナウの会 - 僕らを育てた監督のすごい人 満田かずほ編 上下

アンド・ナウの会 - 僕らを育てた監督のすごい人 満田かずほ編 上下

満田かずほはウルトラマンなどに監督で参加した人物。その彼にオーディオコメンタリーやインタビューを行ったものを書き起こしたのがこれ。
制作当時の貴重な情報がゴロゴロ出てくる。
他にも色々な業界人へのインタビューを行っている。
池谷仙克と小林修の本は買っておけばよかったか?
それぞれ900円くらい。

コーンビーム - MDMZOPE

コーンビーム - MDMZOPE

海外の映画について書いているサークル「コーンビーム」の同人誌を4つ。
合わせて4500円くらい。これらを買いに行ったのだ。

これはモンド映画やショックメンタリー(事故や死などの衝撃映像)やゴアミックステープ(それら映像やスカトロAVやら過激オナニーの詰め合わせ)のレビュー本。ものによっては3時間超えの作品もあるので、それらを数十時間分鑑賞した筆者の根性と精神ぢからには感服する。

コーンビーム - Funest Records

コーンビーム - Funest Records

これは日本未公開のPOV・モキュメンタリー・ファウンドフッテージ映画のレビュー本。

コーンビーム - Incognita.

コーンビーム - Incognita.

コーンビーム - Incognita2

コーンビーム - Incognita2

上二冊は日本未上陸の映画合わせて100本のレビュー本。ずっしり重くなかなかの力作。
それぞれ細かく感想が書かれていて興味深い。

館 友二 - 小さな野獣

館 友二 - 小さな野獣

かつてマガジンに連載されていたものと読み切り三作との詰め合わせ。
誕生とともに両親を失った少年が寂しさが故に次々と殺しを行う戦慄の表題作。奇怪な赤ん坊を拾った少年が育児に奮闘する不穏な「この子誰の子」。治安の悪いギャグ「かぎっ子マフィア」。死を告げられた青年の彷徨を描くデビュー作「ブロウアップ」。
暗く勢いのある絵が特徴で、間も素晴らしい。権利者不明とのこと。
まんだらけで販売中。2500円くらい。

未来へ

自分の興味のある事柄を調べ上げ、まとめ、書籍にして売る。
全く、彼らの熱量は凄まじい。
買わなかったが「ハトに注意の看板をひたすら集めたもの」や「橋の塗装記録オンリー」やら「5センチくらい厚みのある1973年の特撮関連の雑誌記事」なんかが売られていて、方向性や嗜好は問わず情熱とはかくも人を動かすのだなと実感した。
次も開催されるだろうし、気になる本があったら多分いくだろう。

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