車に貼るマーク(シール)の種類と意味について
3級整備士の闇です!
第141回の今回は車に貼るマーク(シール)について書いていきたいと思います。
〈初心運転者標識〉(初心者マーク・若葉マーク)
車に貼られているマークやシールでよく見かけるのが、緑と黄色の葉っぱのような形をした初心者マークです。
道路交通法第71条5では、運転免許を取得して1年以内は、この初心者マークを貼るように義務付けられています。初心者マークは若葉マークとも呼ばれますが、正式名称は「初心運転者標識」となります。
初心者マークの表示義務を怠った場合、違反点数や反則金が科せられます。このように初心者マークは表示が義務付けられているので、免許を取得して1年以内は必ず付けるようにしましょう。また、自動車学校で卒業記念品として初心者マークがプレゼントされることも多くなっています。
法律では免許取得から1年以内の方が初心者マークの対象となっていますが、自動車免許を取得してからしばらくペーパードライバーだった方が、再び車を運転するときも、まだ運転に自信がないので、初心者マークを付けるケースも多いようです。
〈高齢運転者標識〉(高齢者マーク・シルバーマークマーク・四つ葉マーク)
高齢化に伴って高齢者ドライバーも増えてきており、高齢者ドライバーだということを周りに知らせるためのシールが高齢者運転マークです。正式名称は「高齢運転者標識」といいます。
高齢者マークは黄色、黄緑色、オレンジ、緑の4色の葉っぱのような形をしています。
日本人の平均寿命は年々延びており、元気な高齢者も多いのですが、70歳を超えてくると、いろいろな機能が低下し、運転時にも支障をきたすようになります。
ここで周りのドライバーにも注意を促すために、高齢者ドライバーマークを車に貼ります。
また、高齢者運転マークはデザイン面で不評であったため、2011年2月にデザインが更新されており、以前のデザインは水滴型のマークで、その色合いから「もみじマーク」などと呼ばれていました。
なお、高齢者運転マークの表示に関しては初心者マークのような義務ではなく、「努力義務」となっています。
〈聴覚障害者標識〉(蝶々マーク)
聴覚や身体に障害のある方が運転をしていることを、周りに知らせるためのマークもあります。
聴覚障害を持ち、普通免許所を持っている場合は、運転時に聴覚障害を持っていることを周りに知らせるために、青色の円の中に黄色い蝶々が描かれている聴覚障害マーク(正式名:聴覚障害者標識)を貼ります。
聴覚障害者で運転の資格があるドライバーは、特定後写鏡(ワイドミラー又は補助ミラー)の装着と聴覚障害マークの表示が義務付けられ、違反した場合は罰金と違反点数が科せられます。
その一方で、聴覚障害者を保護するため、聴覚障害者標識を表示した車に対して幅寄せや割り込みなどの行為をした場合、罰金と違反点数が科せられます。聴覚障害者はクラクションが聞こえないことがあるため、周囲の車の配慮が必要になるのです。
〈身体障害者標識〉(クローバーマーク・四つ葉マーク)
また身体的な障害を抱えながら普通自動車を運転するときは、青色の円の中に白色でクローバーが描かれている、身体障害者マークを車に貼って運転を行います。このマークは、クローバーマークや四つ葉マークと呼ばれますが、正式名は「身体障害者標識」となり、表示は努力義務となっています。あくまで努力義務なので、表示しなくても罰則はありません。
ただし、身体障害者標識を表示する場合は、他のマークと同じように表示位置に関して「車体の前面と後面の両方に、地上0.4メートル以上1.2メートル以下の見やすい位置」と定められています。
また、身体障害者標識を表示して身体障害者が運転している車に幅寄せや割り込みをした場合などにおいても、他の標識と同じように罰金と違反点数が科せられるので注意が必要です。
〈障害者のための国際シンボルマーク〉
青いベースに車椅子がデザインされたマークを国際シンボルマークといいます。1969年に国際リハビリテーション協会により採択されたマークのことであり、「障害のある人々が利用できる建築物や公共輸送機関であることを示す、世界共通のマーク」です。
そもそも、建築物や公共輸送機関を対象につくられたマークであり、個人の車に表示することは、国際シンボルマーク本来の主旨ではありません。
日本における国際シンボルマークの使用管理を担っている公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会でも、国際シンボルマークを個人の車に表示すること禁止はしていませんが、表示しても、道路交通法上の規制を免れたり、障害者専用駐車場を優先的に利用できる証明にはならないことを注意喚起しています。
〈マタニティマーク〉
マタニティマークは、妊産婦に対する気遣いなど、やさしい環境づくりのために厚生労働省が推進している「健やか親子21」推進検討会において、応募の中から2006年に選ばれたマークです。
マタニティマークは厚生労働省が商標の登録をしていますが、広く普及させるため、使用規定さえ守れば自由に使用することが認められています。
このマークは、妊産婦が交通機関等を利用する際に身につけることで、妊産婦であることを示し、周囲が妊産婦への配慮を示しやすくするためのものです。
また、交通機関、職場、飲食店、その他の公共機関等がポスターとして掲示することで、環境づくりを推進することも目的とされています。
ただし、マークの使用が自由に認められているからといって、マークを改変して類似するデザインを使用することは認められていません。また、営利目的で使用することも控えるように呼びかけられています。
〈BABY IN CARマーク〉
最近よく見かけるようになったBABY IN CARマークは、アメリカの育児用品メーカー(セーフティファースト社)が1980年代に作成した「Baby On Board」というステッカーがその起源といわれています。その後、日本人でもわかりやすいように「BABY IN CAR」に単語が変化しました。
初心者マークなどに対しては、周囲の運転者が保護する「初心運転者等保護義務」がありますが、BABY IN CARマークについてはそれらの義務はありません。
しかし、赤ちゃんを乗せている車なので、無理な割り込みなどを控え、安全運転を心がけてもらいたいという意思表示の意味があります。また、このマークには、赤ちゃんが乗っている車にも配慮を示すことで、社会全体で安全運転を目指すという意図も込められています。
〈初心運転者標識・高齢運転者標識・聴覚障害者標識・身体障害者標識の4つのマークの重要な共通点〉
初心運転者標識・高齢運転者標識・聴覚障害者標識・身体障害者標識の4つのマークには、2つの共通点があります。
1つ目は取り付ける場所であり、「車体の前面と後面の両方に、地上0.4メートル以上1.2メートル以下の見やすい位置」に表示すると決められています。
もう1つの共通点は、これら4つのマークを付ける対象者がマークを付けた場合、危険防止のためやむを得ない場合を除き、幅寄せや割り込みなどをすると、道路交通法違反となり、反則金や違反点数が科せられることです。
例えば初心者マークの場合は「初心運転者等保護義務」と呼ばれています。
4つのマークは、マークによって表示することが義務になっている場合や、努力義務になっている場合もありますが、表示する場合の位置や、表示している車に対して幅寄せや割り込みを行うと罰則がつくことは共通となっています。
今回は車に貼るマーク(シール)について話させていただきました。
ぜひまた見に来てください!
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