見出し画像

車検証の携帯義務はコピーでも満たせる?紛失時の再発行方法も解説!

3級整備士の闇です!
第140回の今回は車検証の携帯義務について書いていきたいと思います。

〈車検証の携帯義務はコピーでも適用されるのか〉

車両運行時の車検証の携帯は、道路運送車両法第66条で定められています。そして、条文の中には「写しでも可」といった文言はみられないことから、コピーされた車検証があるだけでは取り締まりの対象となり、不携帯の罰則が科せられることになります。

車検証の原本とコピーの扱いの違いについては次章以降でも順次触れていきますが、ここでは、まず車検証と車検証に記載されている内容について解説していきます。

〈車検証とは〉

車検に通ると交付される車検証(自動車検査証)は、車が国の保安基準を満たしていることを証明する書類です。2年毎など定期的に訪れる車検時はもちろん、街頭検査と呼ばれる検問の際など車の状態が車検証に記載された通りであるかの確認を要する場面でもしばしば提示を求められます。

〈車検証に記載されている内容〉

車検証に記載されている主な内容を、以下に列挙します。

・自動車登録番号(ナンバープレート記載の番号)、または車両番号

・登録年月日/交付年月日

・初度登録年月(普通自動車)/初度検査年月(軽自動車)

・自動車の種別(普通・小型・軽自動車・大型特殊など)

・車名(自動車メーカー名)

・車台番号(個体識別機能あり 車検に必須)

・乗車定員

・最大積載量

・車両重量/車両総重量

・車の寸法(全長・全高・全幅)

・エンジンの型式/原動機の型式

・総排気量、または定格出力

・燃料の種類(ガソリン・軽油・電気など)

・所有者の氏名・住所

・使用の本拠地の住所

・有効期間の満了日

〈車検証に関係する法律〉

車に関する法律にはさまざまなものがあり、それぞれが異なった目的を持っています。その中で、車検や車検証について定めているのは「道路運送車両法」という法律です。ここでは、まず道路運送車両法の説明をし、続いて車検・車検証に関する罰則、そして車検証を紛失した場合の対処法について解説していきます。

〈道路運送車両法とは〉

道路運送車両法は、「道路交通法」と並び車に関する多くの法律の中でも重要な役割を担っており、車検に関して直接規定した法律として知られます。本法では、次のような内容を規定しています。 

所有権の公証の実施や自動車登録の手続き

自動車の安全性の確保と公害防止のための保安基準

保安基準に沿った定期点検整備などの自主的整備

国が実施する車両検査の方法や車検証の有効期間

上記の保安基準に則って国が実施する車両検査が「車検」です。そして、車検証および検査標章が、保安基準適合性を公的に証明する役割を果たしていることはすでに触れた通りです。

〈車検証不携帯のまま走行した場合〉

道路運送車両法第66条では、運転時の車検証と車検シールの携帯を義務付けています。そのため、不携帯で捕まると同第109条9項により50万円以下の罰金が科されます。一方、車検証の不携帯は交通違反とはなっていないため、道路交通法に基づく違反点数の累積はありません。

〈車検切れの車で走行した場合〉

「無車検車運行」として道路運送車両法第58条違反となり、以下の罰則が科されます。

刑事処分:6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金

行政処分:違反点数6点、免停30日間

なお、車検切れ車は自賠責保険も切れていることが少なくありません。その場合には、次のように罰則が加重されます。

刑事処分:80万円以下の罰金または1年6ヶ月以下の懲役

行政処分:違反点数6点、免停90日間

〈車検証を紛失した場合の対処〉

車検証を紛失した場合には、ナンバープレート管轄の運輸支局などで再発行の手続きを行う必要があります。普通自動車の申請時に必要書類は、以下の通りです。

・再発行申請書

・手数料納付書(検査登録印紙)

・使用者の印鑑もしくは署名(代理人申請であれば委任状)

・理由書(紛失または盗難の欄に印をつける)

・本人確認ができる身分証明書

また、車上荒らしなどの盗難による紛失の場合には、万一悪用された時を考えて、速やかに被害届を出してください。

〈車検証の原本提示が求められるケース〉

行政での手続きでは、書類の原本提示が主流です。車検証が必要となるさまざまな手続きについても同様であり、運輸支局などでコピーを提示しても申請が却下され、再度手続きを行わなければならなくなります。ここでは、車検証の原本提示が求められる主な手続きをご紹介していきます。

〈車検の手続き〉

車検では、車検証と実車とを突き合わせての「同一性の確認」から検査が始められます。そして、その後も変更や改造が行われていないかについてはもちろん、各検査項目につき車の状態が車検証の記載内容通りであるかが順次確かめられることになります。

〈一時抹消・永久抹消の手続き〉

車を廃車にするためには、抹消手続きが必要になります。抹消手続きには、一時抹消・永久抹消の2種類の方法が用意されています。

一時抹消は、文字通り一時的に登録を抹消するだけで、再登録により公道走行が可能になる手続きです。自動車税を支払う必要がなくなることや、自賠責保険の還付金を受け取れるメリットがあります。

一方、永久抹消は車の登録を永久に抹消する手続きで、再登録はできません。自動車税や自賠責保険金に加え、自動車重量税の還付金を受け取れるメリットがあります。

一時抹消・永久抹消いずれの手続きでも、管轄の運輸支局や軽自動車検査協会に出向き、窓口に現在の車検証とナンバープレートを返納して手続きを進める必要があります。

〈名義変更の手続き〉

売買や相続により車の所有者が変わる場合には、名義変更手続きが必要になります。正式には「移転登録」といい、新所有者の住所を管轄する運輸支局などで手続きを行います。

手続きでは、旧所有者の実印が押してある譲渡証明書や印鑑証明書などに加え、満了日を迎えていない車検証が必要です。新しい車検証が交付されたら、記載ミスの有無はもちろん、名義変更手続きが正しく行われたことを必ず確認してください。

〈住所・氏名変更の手続き〉

転居により住所が変わったり、結婚などにより氏名が変更したりする場合にも、変更手続きが必要です。正式には「変更登録」といい、管轄の運輸支局や軽自動車検査協会で手続きを行います。

手続きでは、車検証やナンバープレート(管轄が変わる場合)はもちろん、現在の住所・氏名とのつながりが分かる書類を提出する必要があります。住所変更であれば住民票か戸籍の附票を、氏名変更であれば戸籍謄本か戸籍抄本を準備してください。

なお、これらの変更登録については、道路運送車両法で変更後15日以内に手続きするよう定められています。罰金が科される可能性もあるため、引っ越し作業などで忙しくても忘れずに済ませておくことが大切です。

〈仮ナンバー取得の手続き〉

車検が切れてしまった車を自走させて車検場に持ち込むためには、仮ナンバーを取得する必要があります。仮ナンバー取得の手続きは、ご自身が住む市区町村役場で行います。必要書類は、運転免許証などの本人確認書類、運行期間を含んだ自賠責保険証、手数料、自動車臨時運行許可申請書、車検証です。

仮ナンバーは通常即日で交付され、最短ルートかつ最大で5日間の使用が認められます。

〈車検証以外で携帯しておくべきもの〉

法律で公道走行中の携帯・搭載が義務付けられているものは、車検証だけではありません。以下、車検証以外で携帯しておくべきものを3つご紹介していきます。

〈検査標章〉

公道走行時の車検証携帯の義務化を定める道路運送車両法66条1項では、併せて検査標章を表示すべきことを明文化しています。車検証と検査標章、すなわち「車検シール」は両方とも運転する際には必携すべきものであり、どちらかが欠けた状態であれば取り締まりの対象となります。

〈自賠責保険証〉

強制保険である自賠責保険に関しては、未加入や保険切れによる「無保険車走行」に対して罰則が科されることはよく知られていますが、加入の事実を証明する書類である自賠責保険証の不携帯もまた処罰の対象になります。たとえ事故を起こしていなくても、保険証の不携帯で捕まれば30万円以下の罰金が科せられます。

〈免許証〉

運転免許証については、道路交通法に携帯に関する規定があります。そのため、検問などで警察官から免許の提示を求められた際に不携帯が発覚すれば、「免許不携帯」として取り締まりの対象です。不携帯には交通違反通告制度が適用され、点数こそ加算されませんが、3,000円の反則金の支払いが科されます。

今回は車検証の携帯義務について話させていただきました。
ぜひまた見に来てください!






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?