映画「アクト・オブ・キリング」

長いから少し放置していたけれどようやっと見ました。

「アクト・オブ・キリング」

インドネシアでの共産主義者（と決め付けられた人々）の大量虐殺を行ったプレマンと呼ばれる"民兵"の人々についての映画。

加害者の彼らが、被害者を演じるという結構びっくりする内容です。

今まで見てきた中でもかなりトップで気が滅入る映画でした。

「完全な悪」の立場の人々は気づかずに、当然のことをした様な振る舞いでいることに寒気を覚え、更には国を上げて肯定しているのが恐ろしい。

そして人間の誰でもその立場になり得ることも強烈にやるせ無くて、彼らを批判していいものかと不安になる。

『アクト・オブ・キリング』ジョシュア・オッペンハイマー監督インタビュー:「この映画は、嘘で塗り固められた勝者の歴史がもたらした有様を映している」

気になる人は監督のインタビューが一番わかりやすいかなと思います。

というかこの作品のレビューって感想とかここの見方、とか言うことほぼないな。ここで誰かが気になって見ることに繋がったらいいなと思って書いてみようかな、くらい。

プレマン＝フリーマン（自由人）だと誇りを持ってこれまでの虐殺を演じてくれる彼らは、善良なる市民だと監督も言う通り、怖いのは洗脳、教育、状況などの外的要因が大きい。

一人の人が何らかの要因で殺人を犯すのでは無くここまで組織として黙認されてるんだからそれはそうだよね。

個人的に印象に残ったのは、映画の中で映画を作る構造の為だけど、
演者としても「共産主義者」をやりたがらないよ！と言われてたこと。

彼らが英雄的な存在として映画を撮るために頼まれた事なら、信頼に基づいて「役」を演じるのは例え共産主義者としても名誉だったり楽しいことだったりしないのだろうか？と思ったけれど拒否される。

みんな少しでも「共産主義的」と勘違いされて殺されるんじゃないか、
不安や共産主義者としてのレッテルは全くの事実無根でも殺された人がいた事実を知りつつも黙認して恐れているのではないかと感じる。

まあ実際そうなんだろうな…。

そして検索しようとすると候補に出てくる嘔吐のシーン。

あれは本気なんだろうか…。
実際無意識の中で罪の意識を抱いていたのが、映画の撮影を通して意識の中に浮上したことは事実なのだろうけど、芝居の様に感じる。

が、上のインタビューで言われていた様に、自らの意識を向けること自体困難である状況にあってこの撮影が辛かったことは事実で、それでもむしろ大きく国と言う単位からも罪を認めること、贖罪を許されていないこともまた事実。

あのシーンが嘘か本当かは、この映画の中ではもはや些細なことかもしれない。

内容に直接関係ないが、私はオリジナル完全版を見た。これは166分。
通常は121分。

通常版は見ていないけど、完全版はちょっと間延びしていると感じる長さだったかな。

結構何度も殺害する再現をするんだけど、多分通常版で十分の内容なんじゃないかと推察します。

謎のシーンもちょくちょく挟まれてくるんだけど、
（多分プレマン達の撮った映画のシーン？）
これだったり再現だったりがちょっと長くて無意味に感じられる。

通常版を見ていないのに言うのはどうかとも思うんですけど、長く見たからより多く感じれると言う類いのものではないと思われるので。

ちょっと長いけど、Amazonプライムで見れるのは嬉しいので興味持ったら見てみてください。
なんも考えないで言えば、無茶苦茶最悪の気分になる映画だな…。という総評なんだけども…。
合わせて上にある監督のインタビューを読むとより理解しやすく、この延長線上に自分自身も立っているという事実を突きつけられる。

もう実際搾取とか環境問題とか、本当に難しいし、小さい何かをしたからと言って問題を解決する手助けをしているつもりになるのは大間違いで。

だからと言って傍観する訳にはいかないし。

雁字搦めで正解はない話だけど、考えて何か行動するのは間違いじゃないと思いたいです。

人間は欲望を持ち争う生き物なんだなと、この映画以外でも色々実感します。

何書いていいかわからなくなるな。
実際に見るのが一番早いんだという元も子もないことを言ってしまう。
内容としては薄いし短いし参考になるかはわかりませんので、他の人のレビューも是非見てみてください。

また、ルック・オブ・サイレンスの方はまだ未視聴なのでこれから見てまた色々と見方が変わったりするのかな。

そちらも書いたり、追記したりするかもしれないです。