『#クラリミコン3』関連記事[The Loving Sounds] 4.リミックスノ巻(最終回)
S.KT.です。
曲を作っています。
『#クラリミコン3』関連記事[The Loving Sounds] の第4回。
最終回の今回は「リミックスという曲作り」についてです!
はじめに
実はこの記事、第2回の後に公開されるはずの記事でした。
しかし自身の事情が重なり、大幅に執筆が遅れてしまいました…
本来は「The Last Song」リミックスの自分なりのポイントをまとめる記事になる予定でしたが、自身のリミックスを解説する記事に変更してお送りします。
とはいえ、これからリミックスされる方にも参考になるように記事は組み立てていきます!
『クラリミコン3』詳細ページ
S.KT.のマガジン『#クラリミコン3』
1.あなたが作りたい音楽は?
突然ですが、あなたが作りたい音楽を想像してみてください…
ふわふわしたかわいい曲が作りたい?
ロックでハードな曲が作りたい?
コードマシマシのおしゃれな曲が作りたい?
スウィングの効いた賑やかな曲が作りたい?
曲の雰囲気から使いたい音まで、どんな要素でも構いません!
方向性を決めることは、曲作りのモチベーションを維持するのに非常に有用な手段です。
「まずこれをする」「次にこれ」と、迷うことが少なくなりますからね!
参考になるのは、やはり各々にとって聴き馴染みのある曲や音です(いわゆる「リファレンス曲」というものです)
今回私は「The Last Song」の重要な要素の一つと言える象徴的な音「秒針」を取り上げ、「時間」をテーマにリミックスを行いました。
2.シンプルなコードから複雑なコードまで
コードのシンプルさ
第1回の記事で「シンプルめのコードだからアレンジしやすいかも!」と宣った言いましたが、どういう意味なのか。
それは、これをみていただければわかります。
コードとは、音を積み重ねてできた集まりです。
大体3音以上でコードと呼ばれ、名前がついています(「ド、ミ、ソ(= Cメジャー)」など)。
「The Last Song」のコードの進み方は、以下の繰り返しで構成されています。
書いてある英語は「ドレミファソラシ」=「CDEFGAB」です(ざっくり)。
レファレンス:サビ
これを見ると、実は使われているコードは「Eメジャー(E), G♭(G♭メジャー), G#マイナー(G#m), Bメジャー(B)」たった4つしかありません!
これをローマ数字(数字)に置き換えると…
そして、数字で上のコードを書き直すと…
なんか簡単に見えますね!
これが「シンプルめのコード」と宣った理由になります!
お気に入りのコードを取り入れる
「…でも結局よくわからない」と言う方も安心です!
近年のコンテストではコードが入ったMIDIファイルがありますので、各音楽制作ソフトでこれを読み込むことで、全くわからなくても形にできます!
それでもこの数字を知っておく最大のメリットは、次のように「既存のコード進行を楽曲に取り込める」ことだと考えております。
コード進行は改変自由ということで、私S.KT.は過去のコンテストにおける獲得投票数第1位(およびミニアルバム収録楽曲)の楽曲のコードを解析して取り入れてみました。
楽曲の音源を(コード解析のためだけに)録音しておけば、初心者でも簡単に楽曲のコードがわかる… そう、Chord aiならね(ステマではありません)。
Nomad AI「Chord ai」
例:サビラスト2小節
こちらがアレンジコンテストVol.3の獲得投票数1位、006さんのアレンジを解析したものです。
非常に切なさが溢れるこのコードを取り入れられたのなら…!
そう思った時、数字が役に立ちます。
今回は太字の箇所にコードを追加してみました!
例:「The Last Song」サビ
原曲の「| 4 | 5 | 6 | || 1 | 5 | 」のコードで、最初の「4」および最後の「5」が、アレンジ版の最初の数字と一致しています。そこを軸にして、まるまるコードを置き換えてみました。
細かいことを抜きにして、
コードを表す最初の数字が一緒ならそのコードは使える
ことは覚えておくと良いでしょう!(コードによって雰囲気が変わることに注意)
完全な初心者は配布データを取り入れれば形になりますし、知識をつけてきた方はステップアップするにつれて自由にコードを取り入れたり、組み立てたりできるようになるのです…!
「シンプルながら、アレンジによって幅を広げることができる」初心者でも楽しみやすい、コンテストに非常にマッチしたコードだと言うことがお分かりいただけたと思います…
3.アカペラデータを活用する
今回配布され、その楽曲内での使用が条件となっているアカペラデータは、いろいろな形でリミックスに使われています。以下は一例です:
そのまま歌う
与えられたデータを並べただけであら不思議!楽曲がより鮮やかになったではありませんか…!
そのまま並べるだけでも、曲に彩りを加えられます!
配置を変える
「この歌詞を後に持ってきたい」「1番と2番を逆にしたい」など、あらゆる配置換えが可能です!
刻んで配置する
「この歌詞を繰り返したい」「このフレーズをカットしてみたい」など、歌の体裁を崩すリミックスも存在します!
音を加工する
「この歌声を高くしたい」「この歌声をラジオから流したい」など、あらゆる希望に応えてくれるのがDTMです!
サンプラーに取り込んで楽器にする
ここまでくると、もはやボーカルは一つの楽器となります…!新たなる歌ができるかも…?
内容が分かりにくいですが、過去の記事でも似たようなことを書いています。
今回のボーカルデータは「The Last Song」を聴くと分かるのですが、お二人が歌うパート、ハモリ、クランさんのソロ、リオンさんのラップなど目白押し!様々な歌い方やサウンドが込められているため、多様な活用法を見出してみてください!
ちなみに、「一部のリミックスでボーカルデータ以外のクランさん・リオンさんの声が聴こえてくる」といったことがありますが…
実はボイスサンプルパックがBOOTHにて販売されております!
「おはまるすいさんほいほいほい!」など、KAWAIIボイスを使ってみたい!という方はチェックです!
というわけで、S.KT.はほぼ全てぶっ込みました。
自由すぎるが故に悩ましい部分でもありますが、ちょっと変えるだけでもいいアクセントになります。リミックスならではのボーカルデータの改変…お試しあれ。
4.90秒という戦略
全曲を視聴する代償(?)… それは一人当たり90秒までしか流れないという「制約」…ッ!
そこで、参加者たちは冒頭90秒に思いの丈をぶつけることがあります。
実際曲のつかみは大切ですよね…
私の場合は…
1番と2番を入れ替え、90秒でできる限りサビの展開を聴かせる
より多くの展開を詰め込み、飽きさせないようにする
など初心者なりに考えてみました…
今回のコンテストでも、90秒でダイナミックな変化が感じられる楽曲が数多く登場しました!
DTMerたちの戦いはすでに、始まっている…!
(もちろん本コンテストにおいては楽しむことが一番です)
5.リスペクトといくつかの導入
商業の音楽であまりやりすぎると怒られる可能性がありますが(許可的な意味で)、クランとリオンさん主催のコンテストはその辺りが割と自由でした。
「こんなのあり!?」といったものも…
とはいえ、コードを借用する、販売されているサンプルパックやプリセットの音色を使うなど… 使っても構わないものはあるので活用しましょう!
さて、今回のS.KT.のリミックスではいくつかの要素が入っています。
過去コンテストなどの要素の取り入れ
今回は過去のコンテストで獲得投票数第1位に選ばれた方、およびミニアルバム収録者の楽曲(全7曲)を取り入れました。また、ボーカクラリオの要素(巡音ルカのボイス)や自身が参加した過去の楽曲(クラリミコン1と2,クラリオアレコン4)も取り入れています。
(なお、コンテストの元になった企画「添削企画」の要素を入れ忘れていたことには後から気づきました…)
クラリオアレコン Vol.1:第1位「うさぎ」さん
クラリオアレコン Vol.2:第1位「006」さん
クラリオアレコン Vol.3:第1位「006」さん
クラリミコン Vol.1:第1位「SAKURA BEATZ.JP」さん
クラリミコン Vol.1:1st ミニアルバム収録「Wag@Beep」さん
クラリミコン Vol.2:第1位「006」さん(配信リリース+2nd ミニアルバム収録決定!)
クラリオアレコン Vol.4:第1位「Wag@Beep」さん
お気に入りのコード進行
また、とある楽曲からコード進行を取り入れています。
flumpoolさんの「証」です。
なぜこの楽曲が登場したのかというと、卒業シーズンゆえの親和性…
そして何よりもコードがエモーショナルだったことです!
今回はCメロのパートのコードを丸ごと入れ替えることで対応しました!
このようにいくつかの要素は取り入れることができますが、あまり似過ぎないようにする必要もあるので悩ましいところです…!
(個人的に作っている場合はこの限りではありません)
自分のエッセンスとして取捨選択する力が求められますが、活用される場面は数多くございますので参考までに…
6.秘密を仕込む
やはり「音」ならではのサプライズは仕込みたいと言うもの。ヘタなミックスで埋もれ気味なものの今回仕込んだネタをお教えします。
モールス信号
1つ目
2つ目
いずれも、直前の歌詞とリンクした内容となっています!
…と言いたいところでしたが、2つ目は思い違いでした…(イントロの歌詞)
ネタを仕込むことで、気づいた方に「おぉ!」と思わせることができるかもしれません!気づいてもらえないリスクはありますが…
おわりに
今回は小手先の話が多かった一方で、ミックスなどの音を整える話をあまりしませんでした…
この辺りは私の実力不足もありますので、興味のある方はさまざまなサイトを見て学んでみてください…!
リミックスには受賞者のような圧巻のリミックスや、私S.KT.のような個性的でやたら香ばしいリミックスなどさまざま。
是非自分の色を追い求めて取り組んでいってください!
以上をもちまして、『#クラリミコン3』関連記事[The Loving Sounds] は終わります!
非常に長くなりましたが、お読みいただいた皆さん、本当にありがとうございました!
関連リンク
YouTubeチャンネル『クランとリオン【初心者向けDTM動画】』
YouTubeチャンネル『クランとリオン【VTuber】』
X (Twitter) アカウント『クランとリオン【DTM VTuber】』
https://twitter.com/kurantorion
完成したリミックス
以上、失礼いたします。
(S.KT.)
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