三大宗教:ヒンドゥー教・イスラム教・キリスト教
世界にはいろいろな宗教があり、それぞれが独自の聖典を持っています。聖典は信仰と実践の手引きを提供し、文化的な基準をつくる中心的な役割を果たしています。これらは行動の指針、励まし、神とのつながりを与えてくれます。ここでは三大世界宗教と呼ばれるヒンドゥー教、イスラム教、キリスト教の主な聖典について紹介します。
ヒンドゥー教
ヴェーダ:天啓聖典(シュルティ)
シュルティとは、サンスクリット語の「聞く」という動詞の語根、 √śru(シュル)から派生された名詞で「聴聞」を意味し、永遠に存在するものを指します。それは神からリシ(聖仙)たちにより受け取られて、口伝で継承されたものと言われています。
ヴェーダ聖典やウパニシャッドと呼ばれる奥義書はシュルティ、天啓、または啓示聖典と呼ばれます。
ヴェーダは、単なる古代文書や宗教的テキストという枠を超えた存在です。サンスクリット語で「知る」という意味の動詞、√vid (ヴィッド) から派生した名詞で「知識」を意味します。これは単に知識を蓄えるという意味ではなく、宇宙の根底にある真実、生命の本質、そして存在そのものについての深遠な理解を含意します。ヴェーダの知識は、神から人類への啓示とされ、天啓聖典と呼ばれます。これは、私たちの物質的な世界を超えた、より高い真実への洞察を提供するものです。
ヴェーダが示す知識は、私たちの日常生活においても実践的であり、心の平和、内なる満足、そして最終的には解脱へと導くものであると強調します。ヴェーダの教えが単に理論的な探究に留まるものではなく、私たちの精神を高め、真の自己実現を達成するための実践的なガイドラインであると説いています。
ヴェーダの成立
起源は約5000年前、その後、聖仙ドヴァイパーヤナ・ヴェーダ・ヴィヤーサによって、ヴェーダは4つの主要な部分に編纂されました。
ヴェーダの構成
リグヴェーダ: 10,600以上の詩節、宇宙の秩序や神々への賛歌、哲学的な考察を称えるテキストです。これらの詩節は、存在の奥深さと神聖な原理に光を当て、私たちを高次の理解へと導きます。
ヤジャルヴェーダ: 1,975詩節、儀式や犠牲の儀式に焦点を当てています。これは、形而上学的な理解と物質世界との関係を構築する方法を提供し、儀式を通じて宇宙との調和を促進します。
サーマヴェーダ: 1,549詩節、旋律と詠唱に重きを置いています。サーマヴェーダは、音の力とその精神的な影響を探求し、聖歌を通じて宇宙の調和と一体感を味わうことを可能にします。
アタルヴァヴェーダ: 5,977詩節、魔法、癒し、実用的な知恵をカバーしています。アタルヴァヴェーダは、日常生活における実践的な課題に対処し、健康、保護、繁栄を促進する方法を提供します。
さらに主要な13のウパニシャッドがあります。
これは現実、自己、神の本質を探る哲学的な論考です。
イーシャ・ウパニシャッド (18節)
ケーナ・ウパニシャッド (35節)
カタ・ウパニシャッド (119節)
プラシュナ・ウパニシャッド (67節)
ムンダカ・ウパニシャッド (65節)
マーンドゥーキャ・ウパニシャッド (12節)
タイッティリーヤ・ ウパニシャッド (30節)
アイタレーヤ・ ウパニシャッド(33節)
チャンドギャ・ ウパニシャッド( 627節)
ブリハッドアーラニヤカ ・ウパニシャッド (434節)
シュベータシュヴァタラ・ウパニシャッド (113節)
カウシタキ・ウパニシャッド (50節)
マイトリ・ウパニシャッド (73節)
合計:3,084節
スムリティ聖典
ムリティはサンスクリット語の「想い出す」という動詞、 √smr(スムリ)から派生した名詞で天啓聖典(シュルティ)の規定原則と同じ結論が思い出されることを意図して、編まれたものを指します。したがって、シュルティに反するものはスムリティとして認められません。
18のプラーナ(40万節以上)
マハーバーラタ(18巻、約10万節。批判校訂版で約75,000詩節、補遺『ハリ・ヴァンシャ』と合わせると90,000詩節)
イスラム教
コーラン
イスラム教の中心にあるのが、預言者ムハンマドに神から直接示されたと信じられているコーランです。コーランは114章から成り、合計6,236の詩節が含まれています。テーマは神学、道徳、個人の行動の法的な原則です。
さらに、イスラムの学者たちはコーランの解釈のために注釈書(タフスィール・アル=ジャラーライン)を編纂されており、時代や状況を超えた有用性を保証しています。サヒーフ・アル=ブハーリー(ハディース:預言者ムハンマドの言行録) 2700節は預言者の言葉と行動の記録で、日常生活での実践的な手引きを提供しています。
キリスト教
旧約聖書と新約聖書
キリスト教には、旧約聖書と新約聖書の2つの主要な聖典があります。それぞれの内容は以下の通りです。
旧約聖書: 約23,000から24,000の詩節から成り、歴史的な物語、詩、予言、法律が含まれています。これはユダヤ教とも共有されており、創世記、出エジプト記、詩篇などの基本的な書物が含まれます。
新約聖書: 約7,900から8,000の詩節から成り、イエス・キリストの生涯、教え、死、復活に焦点を当てています。これには福音書(マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネ)、使徒たちの手紙などが含まれます。
これらのテキストはキリスト教の神学の基盤を形成し、世界中の数百万人の信者の信仰を導いています。
まとめ
聖典を探ることで、それぞれの宗教が補足的なテキスト、注釈、地域ごとのバリエーションを持っていることが分かりました。ヴェーダ、コーラン、聖書と呼ばれるもにのは、常に私たちに励ましを与え続けています。この探求が、自分の信仰を深め、他の信仰を理解する助けになることでしょう。
※ここでは聖典の一部を紹介しておりますが、すべての文献を網羅しているわけではありませんので、ご了承ください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?