レトロ印刷で同人誌を作った話
レトロ印刷さんで、制作中ゲームの紹介本を作りました。
レトロ印刷さんといえば、特殊装丁マニアの同人作家にとっては、知る人ぞ知る、一度は利用したい印刷所ランキング上位に位置する印刷所です(オレ調べ)。
その最大の特徴は、オフセット印刷でもオンデマンド印刷でもない、「リソグラフ印刷」であるということ。
リソグラフ印刷とは、「デジタル孔版印刷」とも呼ばれるものです。
身近なところだと、学校でよく手にするわら半紙に印刷されたプリントなんかは、リソグラフ印刷で刷られたものだったりします。
そしてこのリソグラフ印刷、最大の売りは「版ズレ」「かすれ」「色ムラ」「混色」「インク落ち」がランダムに出現するということです。
通常の印刷であれば、これらは製品のばらつきとして検品の際に弾かれてしまうものです。
しかしレトロ印刷とは、その名前が示す通りレトロな、ちょっと昔の、ランダム性を楽しむものです。
このランダム性とレトロ感をぜひ自分の本でもやってみたいと常々思っていたのでした。
が、レトロ印刷さんは同人誌印刷特化の印刷所ではないので、会場への直接搬入などはやっていません。
そのため、毎度直接搬入締め切りギリギリ入稿マンだった二次創作活動時代は、なかなか手を出すことができませんでした。
しかし今は違います。
オフラインイベント自体にそう頻繁に出ることがなくなった今は、イベントからイベントまでのインターバルがそれなりにあり、締切に追われるということもそこまでありません。
というわけで、余裕を持って原稿をできる今こそ、レトロ印刷さんに挑戦する好機となったのです。
制作した本は、前述した通り現在制作中のゲームの紹介本です。
まだシナリオ制作中でキャラクターデザインもラフしかできていませんが、シナリオ初稿が終わるまではあまり目立った活動もできないので、そういう意味でも「今はこんなのを作ってるよ!」とアピールできるものが欲しかったのです。
というわけで、何はなくともまずは資料請求です。
レトロ印刷さんの印刷見本、「あそびかたろぐ2」は、紙も印刷も装丁も、めちゃくちゃ「良い」ので装丁マニアにはおすすめです。
見本を見ながら装丁案を考え、とりあえずこんな感じにしました。
本文2色刷り、それもページごとに刷り色を変えるというのは、一般的な同人誌印刷所だとなかなかできないことですが、レトロ印刷さんなら追加料金なく可能です。
ただし制約もあります。
今回、中綴じ本にすることにしたので、ページ数は4の倍数になります。
また、レトロ印刷さんでは丁合を自分でやらなければなりません。
つまり、中綴じ印刷で1枚の紙の表裏に印刷されるページを、それぞれ自分で配置して原稿を作らなければなりません。
そして多色刷りをする場合、刷色ごとに版を分けることも必要です。
この時点で頭がこんがらがってきましたが、コピー紙で実際に同じページ数の中綴じ本を作ってページ配置を確認しました。
その後、まずは通常通り原稿を作っていきます。いつも通りInDesignで
それからページごとにEPS形式で書き出し、Photoshopで色ごとに版分けをします。
この辺のやり方は人によって変わると思いますが、私の場合はCMYKチャンネルをなんかこう…いい感じに…アレしてどうにかしました。
で、表紙込20ページ分の2色刷り原稿ができました。
事前に見積もりをお願いしていたのですが、表紙にツヤプリ加工をする関係で実際の原稿データが必要でした。
しかしこの原稿データの作成に失敗しまくり、3回くらい見積もり依頼をする羽目になりました…最初からPSDで出せばよかったんだよ…
ともあれ、見積もりも出してもらい、原稿も出来上がり、イベントの前週に自宅に到着するように入稿して脱稿です!
納品された本はこんな感じ↓
やっぱり同人誌は紙本に限る…
特殊装丁からしか得られない栄養素がありますからね…
実際に制作したこの本は、BOOTHにて販売しております。
ゲーム本編のリリースまでこいつで引っ張るつもりなのでよろしくな!
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