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「The HEART of BUSINESS ハート・オブ・ビジネス」by ユベール・ジョリー

著者は、米国ベスト・バイの元CEOで、現在はハーバード・ビジネススクールの上級講師をしている。不振に陥っていたベスト・バイを見事に立て直した著者であるが、その時使った手法が「パーパス」の重視である。会社と社員のパーパスを一体化することで、社員のエンゲイジメントを向上させ、事業を再建・発展させることができた。

本人はフランス人で、パリ政治学院、ビジネススクールのHECを優秀な成績で卒業し、マッキンゼーでパートナーとなったのち、いくつかの会社のCEOを経て、ベスト・バイの再建を託された。本人も書いているが、キャリアの最初は、所謂トップダウン式の経営手法を駆使していたが、だんだん現在のビジネス環境には向かないと自覚し始め、この本で書かれている「パーパス」重視、人材重視の経営手法を採用するようになったようである。

最近日本でも、「パーパス経営」という言葉やそれに関する本をよく見かけるが、真剣に実践している企業がどれだけあるのだろうか?相変わらず、社員はコストという意識で経営している経営者が多いのではないだろうか?中高年社員だけでなく、若い社員も会社に対するエンゲイジメントが世界的に低いというのは、経営者の人材開発に対する意識が低い証拠ではないかと感じる。

この本で、経営者の事業の状況把握は、「人」→「ビジネス」→「財務」の順番にすべきと強く主張している。これまでは、その逆が当たり前であった。

今月の日経新聞の夕刊の書評欄で、経営学者の入山章栄氏が、「素晴らしい一冊だ。多くの方に一読を強くお薦めする」と大絶賛している。自分はこの書評が出る前にこの本を購入していたが、確かに一読に値するいい本だと思った。

評価は、5/5です。

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