シェアードもどきシステム誕生


ユーロラックシステムを大幅に拡張

 前回まではmake noiseの0-ctrlなどの記事を書いていましたが、しばらく浮上しない間にユーロラックシステムが大幅に拡張されました。
 手持ち機材の整理も兼ねて、最新版の機材紹介記事を書きます。
 想像より読んでいただいていることがじわじわ分かってきたので緊張しますが、好き放題書く遠慮のなさは直らなそうです。

最近の動画投稿on X(Twitter)

 

 前から比べると中規模以上のシステムになってきました。
 内容についてご紹介していこうと思います。

Make Noise Shared Systemを目指して?

 ユーロラック導入当初は、同Make NoiseのTape & Microsound Music Machineを参考にシステム構築を進めていました。

 が、色々やっていくうちに欲が増してしまい、シーケンサー使いたいだのVCAが足らないだのやっていき、最終的にはMake Noiseのフラッグシップシステム(って言っているのを見たことないけど多分)であるところのShared System、しかも最新バージョンと近似した構成に辿り着いています。

全景


ここにさらに0-ctrlも同時に使っています。

構成ブロックについて

 運用の基本としては、
①XPO → QPASのパーカッシブライン
②SPECTRAPHON → X-PANのリード&アンビエンスライン
上記2系統で全体像を作ります。

パーカッシブライン

 ①のラインは0-ctrlのダイナミックエンベロープを活かしてQPASをVCA兼VCFとして機能させています。QPASのLEVELはエクスポネンシャルカーブのVCAとして挙動するため、減衰のキレがよくパーカッシブなサウンドを作りやすいです。
 0-ctrlのダイナミックエンベロープをいじることで、Buchla Bongo風なパーカッションから、フィルターレゾナンスをビヨビヨ言わせる典型的な感じまで。ピッチ感が必要な際は、0-ctrlのCVを、1Uラインに仕込んでいるMosaicのクォンタイザーを通してXPOを操作します。

リード&アンビエンスライン

 ②のラインはSPECTRAPHONをReneでコントロールし、リードやらアルペジオやらを作ります。左右のオシレーターは独立して動くので、ReneのXとYのCVで2トラック使えます。
 そして、スペクトル・オシレーションの音を適宜X-PANでクロスフェードさせることで、それっぽい電子ノイズ系統の音を飾りとして追加できます。FMや色んな変調要素があるおかげで、リード音のピッチと連動しているんだかしていないんだかよく分からないけどそれっぽいノイズが鳴るので、空間系エフェクトと合わさると雰囲気が出ます。
 本当はもっと頭を使った用法がある気がしてなりませんが、何かを意図して倍音に向き合うのはよく分からないので放置してます。

モジュレーションソース

 モジュレーション部門は、MATHS、WOGGLEBUG、ZADAR、Ochdともう他はいらんだろ、ってくらい搭載されてます。全部使い切れないくらいあるので日々試行錯誤しています。
 MATHSは説明不要の何でも屋さんですね。色んなトリガーやCVを突っ込んで、何が起きているのか自分でもよく分からない複雑なエンベロープを楽しんでいます。レスポンスカーブの可変具合が広くて、さすがの名機だなあと日々感じています。 
 WOGGLEBUGは好き過ぎてディスコンの旧版も現行の新版も持っています。そしてどちらも搭載しています。ケース幅の都合でメインケースに新版を搭載。ランダムボルテージがないと生きていけない体にされて久しいです。バーストトリガーを1U部門に搭載しているFLIP(MutableのBranchesと同機能)で更に確率的に分岐させて色々と暴れてもらっています。Reneのmodトリガー
 ZADARは10HPにして4系統のエンベロープを出力できるので、2個あるTallinのコントロール要員を基本として考えています。プリセットにはだいぶ複雑な波形もあるのでエグいモジュレーションも可能です。シンプルな波形以外使いこなせる自信はありません。
 Ochdは初期メンとしてずっと搭載しています。8LFO、WOGGLEBUGのバーストを突っ込んで周期をランダマイズしつつフィルターやX-PANのモジュレーション等をやってもらったり。

1U部門

 1U部門はユーティリティ的なものが並んでいます。
 両サイドのUSB端子は、いずれやるつもりの人前演奏に備えてUSBライトの触覚を生やせるようにしました。
 マスタークロックとしてMosaicのクロックジェネレーター。こいつをTEMPIに入れて、色んなシーケンサーやエンベロープジェネレーターを駆動させています。
 AFTER LATER AUDIOのFLIPは先述した通りMutableのBranches、確率でABにトリガーが分岐します。SHTHは名前の通りサンプルアンドホールドとトラックアンドホールド。FLIPとのコンボでランダムボルテージが作れます。
 MOSAICのクオンタイザーも先述の通り、主に0-ctrl用。WOGGLEBUGやSHTHと合わせるのも良いかなと思っています。ランダムボルテージをクオンタイズしていい塩梅のランダムフレーズが鳴ってくれます。
 IntellijelのDuattは念の為入れているアッテヌバーター。Quadrattも持っているのですが、大体のモジュールのCVインにアッテネーターが付いていることに気付いてしまい、なんか無くてもどうにかなってる気がしてる。使わないなと思ったらなんか別のものにしたい気もするが、何を入れていいかも分からないので保留。
 ステレオアウトは何やかんやした最終的な2ミックスをケースのジャックから出すために必須。

偏愛するTallin、およびオーディオルーティングについて

 VCAにはTallinを2つ搭載しています。個人的には、もはやTallinが全てのキャラクターを作っているくらいに思っています。まだ誰にも言われていないけど、いつかこいつが自分のシグネチャーサウンドとなってもいい。そのくらい偏愛してます。Tallinを外す時は、全然別のシステムを意図的に組む時が来るまで考えられないですね。
 VCAとして単純に優秀で、エクスポネンシャルレスポンスとリニアレスポンス2つのエンベロープ受けがあります。バスドラキックとか結構しっかり作れちゃう。
 そして1番の良さは、何と言ってもかっこいい潰れ方、ひずみ感。キャラクターも3種類ある。すっぴんのシンセ音ではない、これぞアナログ機材的な音として味付けしてくれるので個人的にはかなり感動したものです。Make Noise信者感がベースにありつつ、XAOCもかなり好きです。
 そんなこんなで色々な音が出ているわけですが、XAOCのSopotで全部まとめてます。
 こいつも地味に優秀で、ステレオLRをそれぞれ最大4入力1出力にまとめられるうえに、モノ出力を別途4入力できて、LRに振り分けができます。
 各入力のレベル操作ができないので入力前にバランス調整を頑張っておく必要はあるものの、ステレオサミングミキサーとしては小サイズでコスパいいんじゃないかなと。Tallinと似た質感のソフトクリッピング回路とのこと。
 そんで、Sopotでまとめた音はMIMEOPHONに全部入れてます。リバーブとディレイの間みたいな音にできるのでアンビ感を最終的にここで作る。いじり過ぎるとエコー音自体がなんかうるさいのであまり積極的な操作はしていません。

シーケンサー部門

 最後はシーケンサー部門。メイン中のメインはRene2です。0-ctrlは無くてもやれるけど、Reneはないと割と何もできません。なぜならReneじゃないと音程のあるCVが出ないからです。

 さてそんなRene2。今更語る必要はないであろう、Make Noiseの有名モジュール、なのでしょう多分。近年は恐らくErica Synths Black Sequencerあたりの方が搭載率高そうなイメージです。あまりRene使ってる人を現場で見かけません。
 Rene2の魅力は、XとYの2+1種類(+1は2種類の副産物的な出力なので「飾り」)のCV及びGATE出力を、4*4グリッドでオーソドックスな16ステップシーケンサーから、クロックやグリッドの走り方をモジュレーションして通常のシーケンサーではあり得ない偶発的なシーケンスを可能にする点です。その他のシーケンサーでここまでオーソドックスからバグった動き(褒めてる)まで出来る子は未だ少ないのではないでしょうか。
 なお、Reneには旧型Rene1もありまして、導入にあたり偉大なる先達に一週間ほどお借りしていじり倒しました。師曰く、「1と2は別物やで」と。見た目そんな変わらないしそんなバカな、と思いましたが、真実でした。どう違うかはいずれ詳しいRene評を書くのでその時に詳細をば。

 で、Reneの魅力は先述のようにmodにあると思っています。ちょっかい出すと変な走り方をする。頑張ればコントロールできるかもしれませんが、コントロールするくらいならコントローラブルなシーケンサーを使うべきです。
 modでどんな感じになるか。例えばということで自演のものを。

 安っぽい似非民族音楽になってしまったもののなんか面白いので良し、という自己評価なんですがそれはそれとして。見切れているのですが、Reneの隣にはWOGGLEBUGがいます。バーストゲートをmodに突っ込んで、色んなイベントが発生させています。いつ何が起きているかはあまり把握していません。
 クロックを一瞬加速させたり、グリッドの場所が瞬間移動したり、蛇行の仕方が変わったり。ピッチCVの設定は、似非民族音楽スケールをとりあえず設定して、走らせた音を聞きながらオクターブの上下含めいい感じに散らばるよう何となくいじりました。何となくできることがReneの、ひいてはモジュラーの魅力です。

とりあえずまとめ

 一応、全体像に触れたのでここまでとします。
 これまでお読みいただいたように基本的な運用方針は決めているものの、それ以外の使い方もできるよう試行錯誤と散財を繰り返しました。
 ジャンル的な意味でのやりたいことは特にない人間なので、例えば明らかにテクノ的なことはできないです。テクノ風の音は出せなくはないけども。
 シェアードもどきに求めたことは、古き良き電子音楽における抽象性や、実験趣味に答えてくれる振り幅の広さです。ジャンル的にやれることはかなり限定されますが、自分の音楽的欲求にはそこそこ応えてくれるようになってると思います。
 今回の記事についてはシステムへの思いと自分語りが中心になっておりますが、今後も個別モジュールなどの記事も書いていこうと思います。

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