ゆめ(5/9)

教卓がある真ん中の列。前から2番目の席。

転校してきた。友達がいないわけじゃないけど、なんとなく、だれとも話せない。別に話したいとも思わない。
自分がクラスで浮いている事は分かっている。


集会に参加しなければならなかった。
舞台の上で話す先生。

下にいる私たちは、巨大なプールの中にいる。
水色の四分円のプール。

前の方で話を聞かなくちゃいけない。一応話は聞きたい。

前へ前へ行くと、深くなる。どうしてみんなは普通にしてられるんだろう。
どうして溺れる人がいないんだろう。どうして立っていられるんだろう。


もうどうでもいい。ふつうに聞ける人の方がおかしい。

ちがうね。私ひとりがおかしいんだ。もうそれでいいよ。知らないよ。


プールから出ようと後ろにとぼとぼ一人で歩いた。淵まできた。

「前の方、すげぇ深いよな」

走ってきてくれたが誰だっけこの男の子。顔がながい、人懐っこそうな男の子。

深くて地上になかなか上がれない。
苦戦してたら、サーーーーーッと水が引いた。水が無くなった。


地上に上がるのに余計身体が重い。なんとか上半身だけ陸にあがった。手に力を込めて、下半身もあげなきゃ。

アイスを買います