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日本も昔は土葬の国だった! 火葬文化についてのお話


現在、日本では人が亡くなるとほぼ100%で火葬されています。

亡くなられてから死亡届を役所に提出し、「火葬許可証」を受け取って火葬し埋葬する。
これがザックリとした通常の流れです。

ですが、日本でも昔は土葬が主流だった頃があるそうです!
海外では土葬の国も多いですが、日本でというとちょっとビックリですね。

今回は、そんな火葬文化についてのお話です!




日本の土葬時代


日本の埋葬方法の歴史や火葬の歴史について、ハッキリとした起源は分かっていません。

ただ、日本で火葬の文化が一般市民に根付いたのは、明治時代初期頃と言われています。

それまでも火葬が行われていたようですが、
かまど塚などに火葬された痕跡が残っている古墳も発見されている事から、上流階級の方だけ火葬が行われていたのと考えられています。

その頃は一般的には土葬が主流で、故人様を棺に納めてそのまま埋葬していたそうです。
そして、近隣の人々が列をなして墓地まで棺を運ぶ「野辺おくり」という死者を弔う儀式も全国で行われていたそうです。

明治時代には神道が推奨されるようになり、廃仏毀釈の動きから、
1873年に火葬禁止令が出されたこともありました。

しかし、土葬用の土地やお墓の不足、公衆衛生面などの観点から、
1875年には火葬禁止令が撤廃され、伝染病による死者は火葬を義務付けられていたと言います。

この流れを受け、明治時代に煙突の付いた火葬炉などが登場し、火葬技術が格段に向上して一般的に普及したと言われています。




日本で火葬が主流な理由


火葬が主流となりましたが、現在も土葬が禁止な訳ではありません
実は土葬が行われる地域も残っています。

しかし、現実的には土葬を許可している自治体も少なく、
公衆衛生面が課題となったり、土葬を承諾する墓地を探したりと、土葬するのはハードルが高いというのが現状です。

また、「土葬許可証」も必要となるそうです。

火葬文化に影響する「仏教」


現在、日本は世界一の火葬大国ですが、
公衆衛生の観点や土葬が可能な墓地や土地が少ないこと以外に、日本が仏教圏なことも火葬が主流になった理由の1つです。

宗教上においての火葬は、
古代のインドに始まると言われているそうです。
仏教の開祖である釈迦が亡くなった際、
彼の遺体が火葬されたことが仏教での火葬の始まりだとされています。

人が火葬される際、「荼毘に付す」と表現されることがありますが、
これは仏教の経典などに使用されていた言葉で、
この「荼毘」は火葬を意味しています。

日本で初めて「仏教式火葬」をされた人物は、遥か昔の
飛鳥時代末期、僧侶だった道昭であると言われています。

彼は当時の唐に渡り、インドから帰国した唐王朝初期の僧侶である玄奘の弟子になった人物ですが、
道昭が仏教式火葬式を知り、彼が望んで火葬を叶えて貰ったという説が濃厚だと言われています。

ちなみに余談ですが、玄装は「西遊記」に描かれる三蔵法師のモデルとなった人物だそうです。


仏教では火葬が主流ですが、
キリスト教やイスラム教では、遺体を傷つけることは故人への侮辱になると考えられており、火葬は禁じられています。
海外で土葬文化が多いのはそれが大きな理由です。



海外でも火葬が広がっている


しかし近年では、海外でも火葬の文化が浸透しつつあります。

キリスト教やイスラム教のような宗教上の理由がある場合は未だに土葬が一般的ですが、
アメリカでは近年、火葬が増えていると言います。

土葬が減ってきて火葬が広がっている理由としては、
ご遺体の長期保存方法、いわゆるエンバーミングの費用が高く、また感染症の蔓延防止など公衆衛生の観点が大きな要因となっているそうです。

国によっては、墓地の土地確保も要因になっているそうで、
火葬が主流の国も増えていくだろうと言われています。



日本でもかつては行われていた土葬。

「ご遺体を傷つけない」という観点から見れば望む声もありそうですが、人々を守る "公衆衛生" を考えれば、やはり火葬が望ましい気もしますね。

しかしエコの観点から見れば、やはり負担が大きく課題も多い「火葬」

次なる新しい方法など、人の弔い方も新たな形を模索してく必要があるのかしれません。





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