柔らかい貝殻

『柔らかい貝殻』

砂浜に転がる貝殻

主が居なくなって

どれだけ経つのだろう

打ち寄せる波と

砂に削られて

丸みを帯びて柔らかい


何気なく拾い上げたのに

私の欠けた心に

ピタッとハマった


私はそっと

貝殻を

ポケットにしまった


主の居なくなった貝殻

私の欠けた心に収まった貝殻


ふたつが交わったその空に

浮かぶ夕陽は

とても眩しくて

涙が溢れた

海が生まれた



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