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ニキビの塗り薬、正しく使えてますか?

ニキビを治療したくて受診する患者さんから「前に塗り薬をもらったが効かなかった、塗ったら余計に荒れた」との声を聞く事があります。

ニキビ治療は、
①時間がかかる
②開始初期に一旦肌が荒れやすい
という厄介な点があります。

まず、ニキビは慢性の皮膚疾患。すぐには完治しません。
そしてニキビ治療で使う薬で乾燥や刺激感が出る事があります。
しかしそれが嫌で使うのを止めてしまうと治療自体が始まりません。

ニキビはどうやって治療するのでしょうか。
ニキビ薬の塗り方、初期に起こりがちな困った症状への対処についてお話します。

1. 同じ薬を使っても同じ治療とは限らない

保険診療では、医療機関や医師ごとのオリジナル薬はありません。医師は決まったニキビ治療薬の中から選んで処方します。
しかし同じ薬を使っても患者さんが塗り方を理解しているかどうかで効果は大きく変わります。

【同じ薬=同じ治療】ではないのです。

皮膚科の治療では塗り薬が大きな役割を果たしますが、塗り薬の面倒な点は、一回量・塗る範囲・タイミングが人によってバラつきがある事です。
適切な量や塗り方でないと治療効果が大幅に下がる事もあります。

もし以前の治療の時には、塗るのをすぐ止めてしまった、自分がどう塗っていたか忘れてしまった、という人。
この後も読んでぜひもう一度トライしてみてください。

☆同じ薬でも塗り方で効果は変わる。正しい塗り方で再トライを!

2. ニキビ治療ではピーリング薬剤が超・重要

ニキビの塗り薬は大きく分けて2種類。

1. ニキビの炎症を鎮める抗菌薬(抗生剤)

2. ニキビの元となる毛穴の詰まりを防ぐピーリング作用を持つ薬剤

1.抗菌薬
ニキビ(特に赤みのあるニキビ)に塗るだけ、簡単です。
不快な副作用もありません。

2.ピーリング薬剤
ニキビ治療は、これがうまく使えるかにかかっています。
ピーリング(peeling=皮膚を剥く)作用は、ニキビ治療に必須。
新たにできるニキビの芽(=毛穴の詰まり)をできにくくしていきます。
今あるニキビを抗菌薬で治しても次々と新しいニキビができるのでは治療とはいえません。
ニキビ治療の目標は【ニキビ肌からの脱却】であり、これがピーリング薬剤を使う目的です。
ニキビ治療は抗菌薬&ピーリング剤の二本立てと思ってください。

しかしピーリング薬剤には下記のようなネガティブな面があります。
①即効性が低い → 効かないと感じる
②肌が荒れる → 合わないと感じる
これをどう乗り越えるかが重要なので次に詳しく述べます。

☆ピーリング薬剤はニキビ治療に欠かせない


3. ピーリング薬剤による肌荒れと対処法

特に使い始めの頃に、副作用が起きやすいです。それなりの割合で起きます。
副作用というと怖い感じもしますが、理解していればいわば「想定内の反応」で対処可能です。
頻度は少ないけれど「想定外の反応」として、ピーリング薬剤の成分へのアレルギーがある人もいます。
アレルギーの場合は塗り方を工夫しても、その薬は使えません。

では実際どういう副作用が起きるのでしょうか。

刺激、乾燥:想定内の反応
使い始めてしばらくで、乾燥・ヒリヒリ・刺激感・薄い皮ムケが起きます。
数週間〜1ヶ月程度でおさまる事も多く、そう怖いものではありません。
塗り方を工夫すると、中断したくなる程の強い反応は起こさずに使える事がほとんどです。
そして「そういう薬だ」とわかっている事で落ち着いて続けられるとも言えます。
後で述べる対処や塗り方でこの反応を上手にコントロールしましょう。

☆治療初期の乾燥やヒリヒリは想定内。上手に乗り越えよう。

ピーリング剤へのアレルギー:想定外の反応
ベピオゲル、デュアック配合ゲル、エピデュオゲルの主成分【過酸化ベンゾイル】にはアレルギーがある人が一定数います。
アレルギーといっても体にはほぼ影響しません。塗った部分の皮膚に【赤い、痒い、腫れる】などの症状が起きます。
どこに塗ったかひと目でわかるくらいクッキリと赤くなる人もいます。

もし最初に「少し乾燥や刺激が起きます」と軽めの説明だけを受けていたら、この反応に怖くなって中断する可能性は大きいです。

でも真っ赤になっても痕も残らず治りますし、この成分以外の別の薬もありますのでご安心ください。
くれぐれもニキビ治療自体に心が折れてしまわない事を願います。

初期の乾燥や刺激の反応なのかアレルギーなのかの判断は難しいかもしれません。
怖いと感じる症状が出たら自己判断で中断しないで主治医の先生に相談しましょう。

私見ですが…
このような不安を相談した時に、面倒くさそうな顔をする皮膚科医はニキビ治療が好きではないかも。
可能なら他の先生を探してしまいましょう!

☆アレルギーは予測不可能。不安に感じる反応があればすぐに受診を。


ピーリング剤の上手な塗り方
実際にどう使えば、副作用をできるだけ抑えられるのでしょうか。
※あくまで私が診療で行っている説明です。様々なご意見があるかもしれませんがご容赦ください。

ピーリング薬剤は、ニキビができにくい肌に整えていくために使う薬です。
ニキビにチョンチョンと『点で塗る』ではなく、おでこ・鼻・ほほ・アゴなどニキビがよくできる部分に広めに『面で塗る 』が正しい使い方です。
また効果を判定するには一定期間(数ヶ月〜)は使い続ける必要があります。
ニキビは急には完治しないことも知っておきましょう。

私は、治療開始したら最初は数週間以内に再診してもらうようお伝えしています。
もちろん真っ赤になったりヒリヒリが辛ければすぐに来てもらいます。
最初の刺激や乾燥を上手にコントロールできたら、最低でも2-3ヶ月は継続を。効果を感じない時は別の薬剤に変更します。

副作用を最小限に抑えるために
・まず全体にしっかりと保湿する
。
・乾燥したり荒れている部位にはピーリング薬を塗らない
。
・最初は『オデコだけ』など部分的に始めてみる。1週間ごとなど様子を見て順に範囲を広げる。


これでもヒリヒリ乾燥の症状が強く出る人は、ピーリング薬剤を毎日ではなく1〜2日おきに塗るところから慣れるのもよいですし、ヒリヒリが強ければ塗ってその夜のうちに洗い流してもOKです。

また目や口の周りなど皮膚の薄い部分に薬が付いてしまう事のないよう注意も必要です。

刺激の反応は、初期さえ上手に乗り越えれば多くの人が長く使えます。
繰り返しますが、ニキビは慢性疾患。
ピーリング薬剤を適切に使って少しずつツルツル肌を目指しましょう。

☆塗り方を工夫してピーリング薬剤と上手に付き合いましょう。

4. ニキビの美容治療ってどうなの?

美容クリニックなどの自費(保険外)のニキビ治療では、薬もオリジナルだったり様々な治療があります。
これらは実際どうなのでしょう。
自費治療でも効果がある治療ももちろんあり否定すべきものではないと思います。ただし医療機関によっては高額な治療もあります。
そして自費治療では、高校生が一人で受診して治療を受けることはできません(通常未成年では保護者の同意が必要)。
ニキビが皮膚の『疾患』である以上、治療の入り口は誰もが受けやすい保険の治療であって欲しいというのが私の意見です。
保険内での治療を行った上で効果が不十分な場合や、ニキビ痕も含めて治療したい時※に、自費の治療へと進むという段階を踏むことをおすすめします。
※ニキビ痕に対する有効な治療は保険診療にはありません…(T T)

☆美容治療もニキビに効果的だが高額な事も。まずは保険での治療を!


以前の塗り薬が効かなかった合わなかったという方、思い当たる事がありませんでしたか?
もしあれば、もう一度しっかり治療してみるキッカケとなってくれたら嬉しいです。

自分も経験していますが、できてしまったニキビ痕を治すのはなかなか大変です。時間もお金もかかります。
できるだけニキビ痕を作らないためにも早い段階から適切なニキビ治療を受けて頂けたらと心から願います。

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横井彩@日本橋いろどり皮ふ科

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