スキモノについて〜古民家住みたい〜
はじめまして。
都心在住の子連れが、古民家に移住するまでの備忘録として始めました。
就職を機に上京した田舎者の私は、
もうとにかく東京が好きで。
文明最高!
高層ビル群大好き!
ハチ公前交差点大好き!
人混み最高!
東京しか勝たん!
と本気で思っていて、
東京ライフを謳歌していた。
そして、故郷で過ごした年月より東京歴のほうが長くなってきた頃、
ご縁と子どもに恵まれた。
それまで仕事、飲み、遊びに明け暮れていた私は、
家は「風呂と寝床に身分証明機能がついてくる」ぐらいの場所だったが、
子どもが生まれてからは仕事も在宅になり、
家は「主に生活をする場所」に。
1DKの部屋では手狭になり、賃貸を探すも高い。
そこで、「借りれないなら買えばいい」という謎の理論で
2LDKの中古マンションを買った。
買ったほうが月々の費用は数万円安いのだ。
(都内なら流動性もあるので売るときのリスクも低いかなと。)
フルリフォーム付きの条件だったので、
すべての部屋や収納の壁と天井の壁紙を決め、その他細々としたところを指示しながらリフォームを進めた。
何度も現場に足を運んでは、
職人さんにお菓子や飲み物を差し入れ。
そうした経緯もあり、
住む前からマンションへの愛着は高まっていた。
リフォーム工事が終わったとの連絡があり、
ウッキウキで夫とともに仕事を休んでマンションへ。
忘れもしない、あの瞬間。
ピカピカの室内に初めて足を踏み入れた時。
床がぐにゃぐにゃしとる。
見た目はフローリングなのに、
ぐにゃぐにゃしている。
足裏の起伏に沿って、床がしなっているような感触。
足元がおぼつかない、という表現がピッタリだ。
足つぼ台に乗ったあとに裸足で歩くと、
まだツボを押されているような感覚ありますよね。
あれですよ。(わからん人はやってみてください)
さすがにクッションフロア※でもこんなにグニャグニャしないはず・・
※クッション性があり柔らかい質感を持ったシート状の塩化ビニル製床材(サンゲツHPより)。木目調の柄などもある。上記リンク先参照。
施工ミスか・・?!と思い、すぐに仲介さんに確認。
「すみません、どうも床がぐにゃぐにゃしているんですが・・
これ大丈夫なんですかね?」
返ってきた答えは、
「マンションの規程で、リフォームをするときは、
指定の基準を満たす防音対策を床に施す必要があります。
この床材は防音のフローリングシートです。」
正しくは覚えていないが、そんな感じの答えだった。
・・
防音とグニャグニャ関係ある?
そこからだった。
内装のチープさが気になりだした。
ドアやクローゼットの扉は、某国内メーカーのもので、
くすみっぽい色した木目調のデザイン。
いかにも最近流行っていそうな色だ。
近くで見ると、木目調プリントのドットが見える。
ドアの窓に使われているのも、プラスチック?みたいなペラペラの素材。
全体的に軽い。これはドアではない。
パーテーションみたいな、軽い板状のものだ。
リフォーム中は、嬉々として選んでいた、
壁紙(ビニールクロス)も嫌になってきた。継ぎ目見えてるし。
トイレ、洗面台・・ピカピカの新品だけど、
リフォームマンションではおなじみのデザインのもの。
ユニットバスは濃い目ブラウンの木目のシートが施され、
精一杯に高級感を演出しているのが伝わるが・・・・
罪深いのは鏡。
洗い場から浴槽にわたって伸びている、横長の鏡。
シャワー浴びている時は、中腰にならないと顔が見えない。
もちろん風呂に浸かっていたら見えない。
風呂から立ち上がったときに自分の下半身だけ映る。
広さを演出したいんだろうけど、
機能的に滑稽だ。
これ考えた人、自分ちの風呂は絶対こうやってないだろ。
いやこれなら縦長に鏡設置してほしいわ・・
なんか、すべて安っぽい。
と感じる。(風呂についてはシンプルな不満です)
そのときふと、マンション購入のために情報収集をしていた頃に見た、特集記事を思い出した。
ふーん、そうなんだ〜
ま、タワマンとか買わ(え)ないしな〜(ハナホジ)
と他人事のように感じていた。
が、築40年以上のいわゆるビンテージマンションであっても、
当然当てはまるのだ。これが。
思えば、この前に住んでいた1LDKのマンションはまだマシだった。
リフォーム時期は2010年代だったはず。
素足で歩くと気持ちのよい、フローリング。
ドアは、一応ドアらしい重みと質感がある。
合板には変わりないだろうけど。
狭くて狭くて、
早く脱出したかった部屋が恋しくなった。
私はこれから、ニセモノに囲まれて暮らすのか。
という悲しさとともに、
いや、これまでも、ニセモノに囲まれて暮らしてきたのか。
という虚しさがこみ上げてきた。
そこから、かつて夢見ていた古民家への思いが再燃した。
古民家との出会いは、10年以上前。
徳島県神山町に視察にいったとき。
古民家を活用して、オフィスやサーバールーム(!)、
民泊など素晴らしい施設がたくさんあった。
今PCを探ったら写真がたくさんあったのでまた振り返ろうと思う。
とても感動したものの、
古民家は山奥(失礼)にいかないと住めないんだろうなと。
いつか住めたらいいな!
ま、老後かな!
ぐらいの気持ちでいた。
それから、古民家界隈で有名なクロニカ大原さんの存在を知り、
ブログを隅々まで、有料記事も含めて読み漁って
古民家への思いをつのらせていた。
それでもなお、「老後に住めたらいいな・・」ぐらいの気持ちだった。
しかし、今回のマンションの件を通じて
「本物に住みたい」という強い願望が生まれた。
100年を超える木をはじめとした自然素材でできた家の居心地の良さ。
古民家には、日本人が何百年も繋いできた暮らしの知恵が詰まっている。
そして、都心での子育てに限界を感じていたことも一因だ。
都心に暮らしていると、
子どもを取り巻く環境は日々悪化していると感じる。
ここでは細かく書かないが、とにかく窮屈だ。
それなら、
落ち着いた地域で、
広々とした古民家で、
のんびり暮らすのも楽しそうじゃないか。
老後じゃない。
子どもが小さいうちにこそ、行ったほうがいい。
楽しいに決まっている。
やりたいことは山積みだ。
そう思って今年の春から物件探しを開始した。
その記録を残していく。