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名刺を捨てよ、町へ出よう。そして名刺を持とう。

スキルノート主宰の芦沢です。勤めの仕事と、その他にコミュニケーションスキルやキャリアの多様性に関するセミナー講師をしています。今年一年様々な皆さんと仕事をご一緒させていただき、また多くの方にご参加いただき、気づいたことを備忘として記しておきます。

2020年とそれから先、私たちを取り巻く「はたらく」環境は確実に変わっていきます。人生100年時代や、労働人口の減少、AI社会、Iotなど様々に変化の要因が溢れています。この辺りは社会での理解が共有されてきたと思います。

一方で毎日の通勤電車や、勤務先での定例会議、新卒学生の就職活動、転職サイトの募集要項など、目の前の「はたらく」景色は少しも変わっていません。なぜでしょう?

少し話を変えます。皆さん「名刺」はお持ちですか?お勤めの方は会社が支給してくれますね。その名刺は好きですか?これからの「はたらく」を切り開いていく可能性やワクワク感を感じていますか?

私が開いている「はたらきかたを考える場」では、一旦いつもの名刺は忘れてもらいます。自分が子供の頃に夢中になったこと、今も楽しく続けている趣味、人と違う特技や性格、苦手なこと、まだ取り組んでないけどいつか実現させたいこと、などを4つに区切ったA4用紙の象限に書いていきます。それを使って5〜6人のグループで自己紹介をします。すると自分が「得意・強み」と思っていたこととは違う項目に他人は興味を持ったり、「苦手なこと」に多くの共感を得たり、逆に苦手ではなくて特徴だと指摘されたり、他にもたくさんの質問を投げかけられます。

そうか、家計簿をつけるというこんな些細なことで困っている人がいて自分はそれを苦もなくできてるのか!とか、下手な字で悩んでいたけど「ユニークなフォントですね」と褒められてオリジナルの手書きフォント師になれるかも!と気づいたり。

でもって、その自己紹介シートと他者とのやりとりをヒントに、名刺を手書きで作るんです。肩書きは自由に、何でも良い。自分がやってみたい、他人に喜ばれる役割を文字に表現していきます。英語が得意だから英語で道案内〜のような発想の方には問いかけます。それはあなたでなければ出来ない役割ですか?何か特徴は?ほかの得意と掛け合わせてみては?等々。

得意=世の中で価値が認知されているものが多いので案外競争が激しい世界だったりします。キャリアコンサルタント資格を取ったらすぐに個人客が申し込んでくれるわけではないですね、既に4万人を超える先輩コンサルタントがいるわけです。じゃあそこで「自分オリジナル」をどのようにして見出すのか、相手にわかりやすく肩書きに落とし込むのか、考えながら手書きで名刺を作ります。

名刺は集中して20分間、10枚くらい作ります。一枚一枚考えながらバージョンを変えたり、役割そのものをまったく違うものにしたり。中には「いつか実現したいと温めていたのです」という素敵な屋号とロゴまで書いてくださる方もいます。

そうして完成した名刺を持って、名刺交換タイムの始まり。会場内の20〜30人の中を歩き回り、気の赴くままに「あ、この人と話したいな」という相手を見つけて名刺交換します。

「はじめまして、○○と言います。△△のしごとをしています。」*まだ一回もやってない
「素敵ですね、どちらにお店はあるのですか?」
「店舗はなく、出張でお客様のところに伺います。関心を持っていただきありがとうございます。」
「ぜひお願いしたいのですが、お幾らくらいになりますか?」

という具合に名刺交換から話が続いていきます。この時点で私の役割はただ見守ること。皆さんが実に楽しそうに、積極的に、そして想像力を働かせて、顧客に接して提供できることを説明し、お互いにわかりあっていく時間です。またよろしく、とペアが解消してまた次の方とご挨拶。相手が見つからない方のペアリングのお手伝いを少し差し上げるくらい。

15分、20分、止めない限り場は盛り上がり、どんどん熱気が溢れてきます。数分前に作ったばかりの名刺に、魂が入っていく時間です。自分が想定していたことと違うレスポンス、大抵は前向きで勇気をもらえる反応と期待の言葉をいただけます。この名刺、いけるかも。世の中で必要としている人がきっといるに違いない、という想いを深めていきます。

過去に30回くらいこのワークを続けてきて、さまざまな新しい肩書き、名刺に出会いました。

・シニア専門スタイリスト
・ジビエレストラン
・持ち味発見士
・おもてなし中小企業診断士
・絵本勉強家

そのどれもが、まだ世の中にはない役割です。その人だけが提供できる価値が表現されています。私から問いかけます。みなさん、実に楽しそうに名刺交換していましたね。いつもの名刺交換と違いますか?「違う違う、全然!」「こっちの方が楽しい、ワクワクする!」「もう開業した気分、出来そうな気がしてきた!」

何が違うのでしょうか。同じ名刺でも会社から与えられた役割の名刺と、自分が生み出して顧客の反応を直接に得られた名刺の違いです。期待役割が自分自身にあること。会社名や組織内の肩書きなどの客観的な要素ではなく「あなただからお願いしたいんです」というメッセージを、手作り名刺交換からは実感を伴って受け取ることができるからです。

話を戻します。2020年とその先、私たちを取り巻く「はたらく」環境は確実に変わっていきます。人生100年時代や、労働人口の減少、AI社会、Iotなど様々な変化を受け入れて、柔軟に変化を楽しんでいくには、一度持っている名刺を捨てて、そして社会に接してみて、自分がやりたいことと必要とされていることの接点を探ってみてはいかがでしょうか?

誰かに与えられたものでなく、自分で考えて日々研ぎ澄ましていく役割とそれを表すオリジナルの肩書き。自然とはたらくことが楽しくなり、定年が存在しない社会での期待役割を得ることができます。100歳まで、元気に活躍できる名刺です。私は過去のワークショップで何百人もの新しい名刺が誕生する瞬間に立ち会わせていただき、そのたび新鮮な驚きと発見と期待に出会いました。

素晴らしいことに、そのうちの何名もの方々が、数ヶ月後から数年後にその名刺を本当に実現させていき、複業として開業したり独立して会社を興したりしています。一度名刺を捨てて、そして作ってみる。ぜひ一緒に本当の名刺を持って町に出ていきましょう。

#はたらくを自由に

skillnote111@gmail.com

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