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双玉詰将棋事始

【はじめに】
堺健太郎と申します。詰将棋作家springsの妻です。
私は、詰将棋創作をはじめて1カ月ほどになりますが、最近になって詰将棋の芸術性を少しずつ理解できるようになりました。
そこで、せっかくならばなにか創作して、発表してみたいと思うようにもなりました。

そんなときに、駒井めいさんの『めいまが』にて、超短編双玉詰将棋コンクールが開催されると知り、双玉の詰将棋を創るべく、まずは情報収集しようという思考に至りました。

今回の投稿では、
1.気になる作品について自分なりに分析
(詰将棋メーカーにおける双玉7手詰め以内の問題)
2.今回のまとめ
を記載します。

なお、箇条書きの中にある専門用語の下の文は用語の説明ではなく、作品においてどのように利用しているかなどを自分の言葉でまとめたものなので、ご承知おきください。

【1.気になる作品について自分なりに分析】

①free/springs作

◆アンピン
ピンしている駒を王手によって動かす。
◆特徴
変化を含め、2種類のアンピンがある。
◆感想
2種類のアンピンを3手で実現する配置がよかった。

②詰将棋No.44/もじゃさん作

◆逆王手
開王手し、その合駒で逆王手をする。
◆感想
やはり桂の限定合で逆王手するのがかっこいい。

③simultaneous/springs作

◆2回の開王手
単に開王手をすると合駒が効くので、もう一方の開王手によって駒を移動させ合駒をできないようにしている。
◆感想
飛車がなければ詰まないことが理論的に考えられるのは楽しい。

④詰将棋5手/駒井めいさん作

◆逆王手
線駒での王手に対し合駒で逆王手する。
これによって合駒をピンされた状態にする。
◆感想
3手目が逆王手を解除しながら、一手詰の局面に持ち込む気持ちのいい手。

⑤還る/springs作

◆大駒捨
線駒での王手を可能にするための捨て駒。
◆逆王手
線駒での王手に対し合駒で逆王手する。
◆感想
5手内にに2つのテーマをおさめている。と金の役割が非常に大きく感じられる。

⑥Shetou/Hydrangeaさん作

◆大駒捨
効きのないところに大駒を捨てる。
◆逆王手
上記を取って逆王手
◆開王手
開王手に使用する駒が逆王手の合駒になっている。
◆感想
5手中、攻め方の3手が上記項目を1つずつ満たしており、密度が高い作品。

⑦ロイヤルバッテリーをどう開く?/シナトラさん作

◆開王手で逃れる紛れ
紛れが縦、横、斜めの3種類の開王手で逃れている。
◆感想
3種類の開王手の紛れを組み込み、かつ単手数で詰むことに芸術性を感じた。

⑧Yuanlin/Hydrangeaさん作

◆開王手(1回目)
◆逆王手
上記の移動合が逆王手になっている。
◆開王手(2回目)
上記の移動合が開王手(詰み)になっている。
◆感想
一手一手がテーマを実現していて、作ってみたいと思える作意。

⑨すりぬけ/θさん作

◆駒捨
利きのないところに駒を捨てる。
◆開王手
限定移動で開王手をする。
◆感想
受方玉の移動範囲を制限する、見事な捨駒と限定合だった。

⑩素数を数えて落ち着こう/keima82さん作

◆開王手
限定移動で開王手をする。
◆感想
短手数かつシンプルな構図で、変化の手順も美しい。

⑪数学の教科書に掲載希望/θさん作

◆大駒捨
利きのないところに大駒を捨てる。
◆開王手
◆感想
初手の大駒捨てが見えづらく面白い。また、開王手が龍の筋を通して気持ちいい。

【2.今回のまとめ】
①アンピンには以下のような種類がある
◆ピンしている駒自体がラインの外に移動する
◆ほかの駒が線駒と玉の間に移動する
◆玉がラインの外に移動する
◆ピンしている駒を取る

②逆王手に関する気づき
◆合駒で逆王手がかかることが多い

③開王手に関する気づき
◆成生がある場合は限定したい
◆線駒移動による開王手は成生、限定移動をしたい

④駒捨に関する気づき
◆受方の利きのないところへの駒捨をしたい

⑥その他の気づき
◆作品の構図はシンプルな方が美しい
◆詰上図に働きの少ない駒がないようにしたい

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