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外資系企業でエスカレーションメール/チャットを英語で書くときのコツ

今の会社に来て英語のエスカレーションメールを書くことがなくなったのですが、過去のメモを発掘して、そういえば英語のエスカレーションメールを日本人が書くのってコツがあったよね、と思い出したのでメモっておきます。

英語で頑張ってエスカレーションメール書いたけど上が動いてくれない!が結構ありまして、嘆いている人のメールを見ると書き方がイマイチだったりするんですよね。

日本語で書いてGoogle翻訳をかけた、その後内容を整えた、みたいなやつだと動いてくれないことが多かったです。

書き方にコツがあるんです。

今だったらメールじゃなくチャットかもしれませんね。
ただチャットであっても上司をチャットに呼んできてダラダラと書いたり、今までの履歴を全部読め!と言うよりは、同じようにサマリを書いてあげた方がこちらの目的達成の近道になります。


エスカレーションとは

何かトラブルがあり上の方の上司に動いてほしい時などに依頼をする際になんらかの依頼をすることがエスカレーションです。

私は長いことアメリカ系のソフトウェア会社にいるのですが、日本の会社と階層構造がちょっと違います。

私の場合はコンサルティング部門なのですが、日本のコンサルティング部門のトップのさらに上司はAPACのコンサルティング部門の統括の上司です。

その上がワールドワイドのコンサルティング部門の統括です。

その上がさらにワールドワイドのCxOとかです。

じゃあ日本法人の集団との上司部下関係はと言うと、組織階層構造的な上下関係にはなっておらず、バーチャルチームだと思っていただくと良いかと思います。

トラブルがあった時はまずは日本のコンサルティング部内で上司に相談しつつ、日本のコンサルティングチーム営業チームの混合チームが一緒に対処するのですが、場合によってはAPACの上司を動かしたい場合、あるいはAPACの上司経由でどこかの部門に依頼したい場合があります。
この時に上司がやり取りしてくれるほど詳細を把握していれば話は早いのですが、そうではない場合、担当レベルである自分がエスカレーションメールを書いていました。

NGパターン

受け取り側が日本語ユーザーの場合、

  • 割と長いメールでも最後まで丁寧に読んでくれる

  • 文章からしてほしいことを推測してくれるので、状況のみ伝達するとなんとかしてくれる

この2つは英語ユーザーの場合当てはまらないと思ってください。

日本語で元の文章を書いてGoogle翻訳すると、高確率でこの2つのパターンにおちいります。

うまくいかないパターンではどう言う結果になるかというと、

  • そもそも返信もアクションもない、無視される

  • 「で、何?」とだけ返ってきて、状況の共有のみでメールのやり取りが何往復も発生する (そして数日が経過する)

  • メールの往復をしているうちに忘れ去られる

もっと悪いパターンだと、あとで別経路でトラブルの話を聞いた時に上司が「なんで知らせなかった!」と言ってきて怒られ、「だって送ったのに返信しなかったじゃん」と言うと「書き方が悪い!」とさらに怒られ、スキル不足と評価されたりします。

このパターンにおちいらず、読み手が迅速にアクションしてくれたり、詳細を把握したいのでミーティングして欲しいと返ってきたら「よし!!!」と思って良いです。

ステップ1: 情報収集する

いきなり文章を書く前に、受け取り側の情報収集をしましょう。これ受け取り側が友達とか取引先の方、お客様なら普通にやってますよね。

なぜこれをやるかと言うと、受け取り側に「確かにこれは自分がやらないと」と思ってもらうためです。

APAC全体を見ている上司の方は常に忙しいので、基本的に手は空いていません。
したがって通常の仕事を整理してもらって対処に当たってもらう必要がありますので、緊急度が正しく伝わることが重要です。

緊急度をアピールするためには、「日本側が」どう困っているかと言う説明をするより、「読み手であるあなたが」これを放置すると困るよね、の観点で書きます。

私の頭の中ではこの段階では下図を意識しています。
だいたいこんな時はモスクワ分析をベースに考えています。

モスクワ分析 (をする自分の頭の中)

ステップ2: ストーリーとストーリーに必要な情報を精査する

情報収集をしたら、上司が確実に動いてくれるようなストーリーを考えます。

例えば売り上げ系であれば例えばこんなものがあります。

  • これを放置しておくと四半期のゴールである売り上げXXX円に未達になる

  • これを放置するとこの顧客を失うが、年間XXX円を売り上げているお客様で、継続的な大きな売り上げの減になる

  • 大きなお客様で、このプロジェクトは小さいかもしれないが、同じお客様からXプロジェクトYプロジェクト合計XXX円の案件があるため、横展開されると大きな売り上げ減になる

ストーリーが決まれば、それをわかるように説明するための要素が何かがはっきりします。

この要素がメールに書くべき内容です。

なおここがうまく書けない場合は、自分から日本の上司宛にという建前で英語でエスカレーションメールを送り、日本の上司からAPACの上司に補足をつけて転送してもらう段取りにしていました。

受け取り側への要求を明確にしておく

受け取り側に何をしてほしいのかを明確にします。

要求は例えば

  • 担当部門に繋いでほしい

  • お客様とのミーティングに出てほしい

  • 解決方法が想像できないので、内部ミーティングに出てアドバイスが欲しい

  • 本件さらに上の上司に連携し、注視してもらって欲しい

など、次のアクションが想像がつくようなものであるのが望ましいです。

この時メールの受け取り側がそれよりベストな方法があると思うのであればアドバイスをくれるので、日本チームが思うベストで構いません。多分。

ステップ3: メールを書く

ここでやっとメールを書きます!

例えばこの記事の内容をエスカレーションメールをにしてみると、こんな感じになります。(内容がわかるように日本語で書きます。)
文字が小さいのでクリックして拡大してください。

サンプル

ポイント1: フォーマット

HTMLで視覚的にわかりやすいようにフォーマットすることがお勧めです。

過去うまくアクションしてもらえたエスカレーションメールがチーム内にあれば、テンプレートの参考にすると良いと思います。

ポイント2: サマリ

伝えたい内容は3行で書け!とよく言われます。
3行じゃなくてもいいですが、それだけ短くしろと言うことです。

基本的にここが長いと読んでもらえません。

皆さんもメールを受け取った時にメール本文部分が文章で埋まっており、ぱっと見が黒っぽいメールを受け取って「うわぁ」と思ったことはありませんか?
この「うわぁ」はNGです。

私が個人的に目安にしていたのは、メールの画面を相手が開いた時に、冒頭の文章が画面の半分程度で終わっていること、その後の「課題」「背景」などの箇条書きセクションの上の方が画面の下にスクロールせずに見えていることです。

ポイント3: 箇条書きセクション

必ずしも箇条書きでなくても良いですが、箇条書きにするくらいのつもりで書きます。

「課題」「背景」など項目の並びは、上の方に確実に読んで欲しい項目、下の方に重要度が低い項目を配置します。

箇条書きセクションは重要で、文章で記述された部分と違って目に入ってきて理解しやすいので、サマリを読み飛ばしてここだけ読んでもわかるように書きます。

上記サンプルで書いた項目は個人的な基本セットです。
内容によってこれを軸に項目を増やしていました。

課題

サマリ部分に書いてありますが、念のためここにも書きます。

例えばサマリ部分を流し読みしていたり、日本人の書いた英語がつたないと、サマリからこちらの意図を拾ってもらえないためです。

背景

背景や経緯を書きます。
ここは文章になることも多いです。

背景と履歴がそれなりに長い場合は別項目にし、必要に応じて項目の順番を整理します。

履歴がそこそこある場合は時系列に書くと良いと思います。例えば

2024/1/20 : XXXを連絡
2024/1/23 : XXXの旨連絡あり

履歴部分サンプル

依頼事項

上司に対して依頼したいアクションを書きます。
これもサマリに書いてあっても改めて書きます。

期待する結果

問題を解決するために何かをしてもらう目的でメールを送るのですが、解決した状態の定義が上司と自分でずれていると大問題です。

自分が「解決した」と判断できる条件を書いておきます。

実施しなかった場合に発生するリスク

ここが重要で、実施しなかった時あるいは放置した時などに何が起こるかは、上司側で優先順位を判断するのにとても重要です。

読み手は他の作業やメールをしていて頭がいっぱいの時にメールを読みますので、これが解決しなかった時に過去に得た情報と繋がるかどうかは正直怪しいんです。
ですのでこれは明確に書きます。サマリに書いてあっても再度書きます。

ステップ4: 送信前チェック

できれば事前に誰かに読んでもらえると良いかと思います。

一般的な英語メールのマナーはここには書きませんが、こう言ったメールだとやりがちな点として以下のようなものがあります。

  • 日本語が混じっていないか … 日本語が紛れているだけで読んでくれなくなることがあります。特に冒頭。読み手が忙しい時ほど他の言語に対する拒否感が強くなるので、日本語が混じっていないようにチェックしてください。

  • 大文字を使った強調も避ける … 文章全体が大文字になっていると、大声で叫ばれているような印象を受けるそうなんです。

  • 色をたくさん使うことは避ける … 強調したいところほど太文字や色分けしたくなりますが、これも上記と同じく避けましょう。

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