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忘れられない喫茶店のお話

~珈琲を好きになったきっかけ~

大学時代の珈琲館でのアルバイトをきっかけに好きになりました。
それまでは甘いカフェオレや砂糖を入れた珈琲くらいしか飲まなかったのですが、初日に「喫茶店で働くのであれば本当のおいしさを知りなさい」と店長が淹れてくれた珈琲のおいしさに衝撃を受け、その奥深い香りに魅了されました。

豆を挽いている時に立ち上がる香り、ドリップしている時のゆったりした時間の流れ、喫茶店のまったりした空気感、それら全てがなんとも言えず心地よくて好きです。

私のお気に入りは定番ですが「炭火珈琲」です。
街でお店を見つけるとついつい懐かしくなり立ち寄ってしまいます。

~忘れられないお店~

さて、今回忘れられない喫茶店として書くのはアルバイト先だったお店ではありません。かれこれ5年くらい前の夏、出張先でふと訪れた長崎県にある喫茶店です。

珈琲を好きになってからは、旅先や出張先でなんとなくよさげな雰囲気のお店にふらっと立ち寄ったりしていました。チェーン店というよりは、昔からその街にあるような喫茶店に入るのが好きでした。

翌日朝から仕事のため、長崎へ前泊。お昼前に現地へ行けたこともあり知人に長崎の観光地を案内してもらい、居酒屋でおすすめのご当地料理や地酒を教えてもらうなど出張の醍醐味を満喫。解散してホテルへと向かいました。

チェックインした時間は19:00頃とかなり早い時間だったと思います。せっかく普段来れないような街にきているし、夜風を浴びながら散歩でもしてみようとふらふら歩きまわることにしました。

散歩中、ふと一軒の喫茶店が目に留まりました。外観とお店の名前にすごく惹かれ、立ち寄ってみることに。

<珈琲専科 囁き坂>

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いろんな喫茶店にふらふら入っていきますが、どんなお店だったか覚えていないことが多いです。ただ、このお店だけは1度しか行けていないのに5年経った今でも忘れられず、ずっと記憶に残っています。

雰囲気だけではなく珈琲も最高においしかった。暑い日だったのでアイス珈琲を頼んだのですが、好きになったきっかけの一杯と同様、こんなにおいしく奥深いものなのかと二度目の衝撃を受けました。まるでウイスキーのようで、珈琲なのに酔いそうなくらい特別な香りがしました。

また、お店のマスターも粋な方だったのでよく覚えています。珈琲を飲んでるときに「どう、おいしいでしょ?」と声をかけられてから少し雑談をしました。本当においしい珈琲だったので素直に感動を伝えたところ、マスターが「ブラックじゃなくてこっちも試してみなよ」と言いながらおかわりのアイス珈琲をサービスで、砂糖とミルクと一緒に提供してくれました。

当時、珈琲はブラックで味わうのが一番だと勝手に思い込んでいたので「砂糖とミルクを入れなくてもおいしいのにな」なんて考えていました。
しかし、おすすめされた通り砂糖とミルクを入れるとまるで別物になりました。キャラメルのような濃厚な味わいに三度目の衝撃を受けました。

マスター曰く「珈琲の味わい方に正解はない、ブラックが好きならそれでいいし、時には砂糖やミルクで違った味わいを楽しむのもまたいい」ということでした。お店の中はまるで理科の実験室のようで、本当に珈琲が好きで研究、追求された一杯なんだと感心しました。

珈琲のことやマスターの家族のこと、私がなんの仕事で出張に来ているのかなど、他愛もない会話を1時間程してからお店を後にしました。

何の気なしにものすごくいいお店、いい人に巡り合えたことに高揚感を覚えホテルへと帰っていきました。

喧騒から離れ、ゆったりした特別な時間を過ごすことができる喫茶店の醍醐味がつまったようなお店でした。もし、長崎に行く機会があったら是非立ち寄ってみてほしいものです。

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