小説「たいせつなもの」
世界中のどの陸地からも極めて遠く離れ、見つかることもほとんどない島があった。
その島に住む者は藁や葉っぱで作った家や洞穴などに住み、野菜を作ったり、獣や魚を捕まえたり、草木や果実を集めて生活の糧としていた。そしてほぼ毎日のように、島のほぼ中央にある最も高い丘にある“イチバ”と呼ばれる広場に集まり、それぞれ欲しい食料を交換しあっていた。何の食料を持ってくることができない者でも、石や器の加工が上手い者はその手間の代わりに食料を得るものもいたし、絵を描いたり、歌や踊りで人々を楽